労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成31年(不)第9号 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  令和2年3月6日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、和解協定書において誠実に協議を行う旨を約したにもかかわらず、会社が団体交渉において、組合が申し入れた9項目の事項のうち、昼食代手当に関する要求についてのみ回答し、その他は事前に文書で回答したとおりであるとして、若干の質問に答えるのみで、交渉に応じなかったことが、不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
 大阪府労働委員会は、会社に対し、労組法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、誠実な団体交渉応諾とともに、文書の交付・掲示を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人から平成31年1月21日付けで申入れのあった団体交渉に、文書回答で十分であるとすることなく、誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交するとともに、縦2メートル、横1メートル大の白色板に下記の文書と同文を明瞭に記載して、本社正面玄関付近の従業員の見やすい場所に2週間掲示しなければならない。
 年 月 日
組合
 執行委員長 A 様
会社         
代表取締役 B
 平成31年2月20日の貴組合との団体交渉において、文書回答で十分とした当社の対応は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 
判断の要旨  争点(本件団交における会社の対応は、不誠実団交に当たるか。)
ア 会社は、本件団交における協議事項について、いずれも義務的団交事項であるにもかかわらず、①31.2.12事前回答書に一定の回答を記載し組合に手交しているものの、本件団交の冒頭において、協議事項(vi)の昼食代手当の復活についてのみ回答した31.2.20回答書を手交して読み上げ、組合が説明を求めても、これで十分である旨答えるのみで、社長自ら、文書回答で十分であり交渉するつもりはない旨発言しており、また、②協議事項(v)、(ⅷ)、(ix)については、組合が質問した事項に対しても、具体的な回答や説明を行うことなく、社長の考えを述べるにとどまり、組合に対し、具体的な根拠や方策を示すなどして十分説明を尽くしたとはいえず、そもそも、③協議事項(i)、(ii)、(iii)、(iv)、(vii)については、本件団交においては、一切具体的な回答がなされていないのであり、このような、専ら文書回答のみで十分であるとする会社の対応は、組合を納得させようとする努力をせず、組合の理解が得られるよう説明を尽くす意思を欠いた、不誠実なものといわざるを得ない。
イ 加えて、組合と会社の間で締結された30.12.27和解協定書において、会社は、「組合の組合員の労働条件に関する団体交渉の申入れに対して、根拠を示し、質疑応答に応じるなど、誠実に協議を行う。」と合意しており、上記アの会社の対応は、誠実に協議を行う旨合意した30.12.27和解協定書にも反しているといえる。
ウ 以上のとおりであるから、会社は、本件団交において、誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する誠実団交義務を尽くしたということができず、本件団交における会社の対応は、30,12.27和解協定書にも反するものであり、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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