労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成31年(不)第6号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  大阪府(「府」) 
命令年月日  令和2年2月12日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、府が、非常勤職員の任用根拠の変更に伴う労働条件の変更について組合が申し入れた団体交渉において、①任用根拠の変更についての協議を拒否し、②組合の給料表提示要求に対して虚偽の賃金単価を提示し、③それによって、団体交渉拒否を繰り返さないとの誓約及び労使関係の正常化に努めるとの組合との協定書を反故にしたこと、が不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
 大阪府労働委員会は、申立てを棄却した。 
命令主文  本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  (争点)本件団交申入れに対する府の対応は、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為に当たるか。
1 本件団交申入れに対する府の対応が、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるといえるかについてみる。
(1)非常勤講師等の任用根拠の変更についての団交における府の対応が、正当な理由のない団交拒否に当たるかについて
ア 府は、義務的団交事項である非常勤講師等の任用根拠の変更について、交渉事項でないという趣旨の発言を繰り返しており、府のかかる対応は、労働組合との団交に臨む態度として望ましいものとはいえない。
 しかしながら、一方で、府は、非常勤講師等の任用根拠の変更の内容について、本件提案において具体的に説明した後、第1回団交では、自らの基本的立場を説明した上で、組合の質問に対して、任用根拠の変更の取扱いは総務省マニュアルを踏まえたものである旨説明するとともに、総務省マニュアルの記載の理由についての組合の質問に回答し、さらに、組合の求めに応じて、任用根拠となる条文について国に問い合わせ、第2回団交では問い合わせた結果及びこれについての自らの見解を組合に説明しているのであるから、府は、本件団交において、任用根拠の変更について、組合の理解を得るべく説明に努めたものということができる。
イ 以上のことからすると、府は、非常勤講師等の任用根拠の変更についての団交に、実質的に応じているということができるから、府の対応が、団交を拒否したものとまで評価することはできない。
(2)給料表に関する団交における府の対応が、誠実交渉義務違反に当たるかについて
ア 府が組合に提示した各金額の合理性についてみる。
 府は、各金額を常勤職員の時間単価として提示しているが、非常勤講師の報酬単価との比較として提示しているのであるから、その計算式を、府が主張するように、非常勤講師の休日に関する任用形態の多様性を踏まえたものとしたことが、特段、不合理であるとはいえない。
 以上のことからすると、年間給与額を除する分母において休日を減じていない府の計算式が、不合理であるとまではいえず、もとより、府が、恣意的計算方法を用いて虚偽の時間単価を本件団交において示したということはできない。
イ ここで、本件団交における各金額をめぐる府の対応についてみる。
 府は、本件団交において、各金額についての組合の質問に逐一説明をし、求められた資料を、約束どおり、後日、組合に提出しているということができる。
ウ さらに、本件団交における給料表の作成等に係る府の対応についてみる。
 府は、本件団交申入れの要求事項である非常勤講師等の賃金に関して地公法が定める給料表を提案することについても、組合の質問及び指摘に逐一回答し、給料表を提案せよとの組合の要求に応じられない理由を説明しているということができる。
エ 以上のことを併せ考えると、本件団交における給料表に関する府の対応が、誠実交渉義務に反するものであったとまでいうことはできない。
(3)以上のとおりであるから、本件団交申入れに対する府の対応が、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとはいえない。
2 最後に、本件団交申入れに対する府の対応が、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であるといえるかについてみる。
(1)本件団交申入れに対する府の対応が、正当な理由のない団交拒否に当たらず、かつ、誠実交渉義務に反するものともいえないことは、前記1判断のとおりであるから、府が、本件団交申入れに関して団交に応じない等の対応をとったとも、組合との間で今後正常かつ良好な労使関係を形成するよう努めることを怠ったともいうことはできず、それ故、府が、本件各誓約文及び本件協定書に反する行為を行ったとはいえない。
(2)したがって、本件団交申入れに対する府の対応が、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であるとはいえない。
3 以上のとおり、本件団交申入れに対する府の対応は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとも、第3号に該当する不当労働行為であるともいえないから、本件申立ては棄却する。
 
掲載文献   

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