概要情報
事件番号・通称事件名 |
東京都労委平成29年(不)第42号その1
ヤマト交通不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X組合(「組合」) |
被申立人 |
Y会社(「会社」) |
命令年月日 |
令和元年9月17日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
会社は、組合に対し、平成29年2月8日及び3月17日付けの文書により、重要な秘密書類の保存場所として組合事務所のある場所を使用する必要に迫られたなどとして、5年(本社移転時)から貸与してきた組合事務所を4月10日までに明け渡し、防犯カメラのある食堂(乗務員の休憩室)の一角に移動するよう通知した。
本件は、会社が本件明渡しを組合に求めたことが、支配介入に当たるか否かが争われた事案である。
東京都労働委員会は、会社に対し、支配介入の不当労働行為に該当するとして、組合事務所の従前どおりの貸与とともに、文書の交付・掲示を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人会社は、申立人組合に対し、組合事務所の明渡しを求めることなく、従前どおり貸与しなければならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートルx80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に楷書で明瞭に墨書して、被申立人会社の本社及び営業所内の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
記 年 月 日
組合
執行委員長 A1 殿
会社
代表取締役 B
当社が、貴組合に対し、組合事務所の明渡しを求めたことは、東京都労働委員会において、不当労働行為であると認定されました。
今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注:年月日は文書を交付又は掲示した日を掲載すること。)
3 被申立人会社は、前項を履行したときは、当委員会に速やかに文書で報告しなければならない。 |
判断の要旨 |
(争点)組合事務所の明渡しを求めたことについて
賞与の支給を巡って労使関係が良好とはいえず、組合が組合事務所を使用する必要性が極めて高い状況下において、会社が、長年にわたって貸与し続けてきた組合事務所について、本件明渡しを求める理由を説明して組合の納得を得るよう努力することなく、合理性のない理由で本件明渡しを求めたことは行き過ぎであって、組合運営に不便と打撃を与えるためになされたものといわざるを得ない。よって、会社が本件明渡しを組合に求めたことは、支配介入に当たる。 |
掲載文献 |
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