労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成30年(不)第42号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  令和元年10月21日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、①組合員に対する配車回数について非組合員との間で差を設け、ある時点からは、配車しなくなったこと、②組合からの団体交渉申入れに応じなかったこと、がそれぞれ不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
 大阪府労働委員会は、会社に対し、①の配車しなくなったこと及び②について不当労働行為に当たるとして、不利益取扱いの撤回、バックペイ及び誠実な団交とともに、文書の手交を命じ、その他の申立てを却下・棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員A2及び同A3について、日雇労働被保険者手帳を使用して就労している他の者と同程度の頻度で雇用し、就労させなければならない。
2 被申立人は、申立人組合員A2及び同A3に対し、平成30年3月以降、再度、就労させるまでの間、同人らが日雇労働被保険者手帳を使用して就労している他の者と同程度の頻度で雇用され就労していれば得られたであろう賃金相当額の5割を支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人が平成30年3月1日付けで申し入れた団体交渉に応じなけれぱならない。
4 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。

 年 月 日
組合
執行委員長 A1 様
会社        
代表取締役 B

 当社が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。

(1)平成30年3月以降、貴組合員A2氏及び同A3氏に対し配車しなかったこと(1号及び3号該当)。
(2)貴組合が平成30年3月1日付けで申し入れた団体交渉に応じなかったこと(2号該当)。

5 申立人の平成28年l2月から同29年5月までの間の配車に関する申立てを却下する。
6 申立人のその他の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 平成28年12月から同30年2月までの間のA4組合員、A2組合員及びA3組合員に対する配車日数は、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たるか。また、この間の3名の組合員に対する配車日数に係る行為は、労働組合法第27条第2項の継続する行為に当たるか。
ア 本件組合員らの賃金は、原則として、1就労日当たり、即ち配車1 日分について金額が定められ、毎月10日に、前月の就労に基づき算出した額が支払われていたことが認められる。また、組合は、本件組合員らは、配車差別により経済的損失を受けている旨主張しており、配車差別が行われれば、その不利益は賃金額として表れることから、本件の判断に当たっては、1か月間の配車とそれに基づく賃金の支払を併せて、1つの行為とみるのが相当である。
 したがって、本件申立てがなされたのは平成30年7月5日であるから、同29年7月10日に支払われた賃金の算出根拠となった同年6月の配車より前に当たる平成28年12月から同29年5月までの間の本件組合員らに対する配車日数に関する申立ては、1年を経過してなされたものであるから、労働組合法第27条第2項及び労働委員会規則第33条第1項第3号により却下する。
イ 平成29年6月から同30年2月までの間、会社が本件組合員2名に対して、非組合員に比較して、会社の配車にみられるばらつきの域を超えて、配車日数を減少させたということはできず、また、この期間、A4組合員は労働災害により就労していないことが認められる。
 したがって、平成29年6月から同30年2月までの間の本件組合員らに対する配車日数は、組合員であるが故の不利益取扱いとも、組合に対する支配介入に当たるともいうことはできず、この点に係る組合の申立ては棄却する。

2 平成30年3月以降、会社がA2組合員及びA3組合員に対し、配車しないことは、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たるか。
 本件組合員2名へ配車を行わないことは、組合員であることを理由に正当な理由なく収入を得る機会を奪ったものというのが相当であり、また、かかる行為は、組合を弱体化させるものというべきである。
 したがって、平成30年3月以降、会社が本件組合員2名のみに対し、配車を行わないことは、組合員であるが故の不利益取扱いであるとともに、もって組合を弱体化させるものと判断され、かかる会社の対応は、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為である。

3 組合の平成30年3月1日の団交申入れに対する会社の対応は、団交拒否に当たるか。
ア 30.3.1団交申入れは、義務的団交事項である賃上げ等について団交開催を求めたものであるから、正当な理由なくこの申入れに応じなければ、団交拒否に当たると判断されると.ころ、本件審問終結時において、会社は、30.3.1団交申入れに応じていないことが認められる。
イ 会社の30.3.1団交申入れへの対応は、正当な理由なく団交に応じなかったものと判断され、かかる行為は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。 
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