労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成30年(不)第40号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y法人(「法人」) 
命令年月日  令和元年11月1日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、団体交渉における法人の対応が不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
 大阪府労働委員会は、法人に対し、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当するとして、誠実な団交とともに、文書の手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人との間のC1病院とC2病院の療養棟型病棟の看護師の夜動手当の差額を議題とする団体交渉に、議題に関する十分な知識や情報を持ち、実質的な交渉権を有する者を出席させ、誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。

 年 月 日
組合
執行委員長 A様
法人      
理事長 B

 当法人が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2 号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。


(1) 平成30年4月4日及び同年6月20日の団体交渉におけるC1病院とC2病院の療養棟型病棟の看護師の夜勤手当の差額についての協議において、不誠実な対応を行ったこと。
(2) 平成30年6月20日の団体交渉におけるC1病院のヘルパーの資格手当についての協議において、不誠実な対応を行ったこと。
(3) 平成30年1月29日、同年4月4日及び同年6月20日の団体交渉に、議題に関して十分な知識や情報を持ち、実質的な交渉権が付与された者を出席させなかったこと。 
判断の要旨  1 平成30年4月4日及び同年6月20日開催の団体交渉におけるC1病院とC2病院の療養棟型病棟の看護師の夜勤手当の差額に係る法人の対応は、不誠実団交に当たるか。(争点1)
 当該団交において、組合が、C1病院とC2病院の夜勤手当を同額にできないとする具体的な根拠を明らかにした上で協議し、2つの病院の夜勤手当を同額にすることを求めていたのに対し、法人は、具体的な根拠を示さないまま、現状を変えないとの結論のみを繰り返したというべきで、かかる対応は、協議において、相手方の理解を得ようとする努力を欠き、組合からの要求や主張を無視ないしは軽視した不誠実なものという他はない。
 以上のとおりであるから、当該団交におけるC1病院とC2病院の夜動手当の差額に係る法人の対応は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。

2 平成30年6月20日開催の団交におけるY1病院のヘルパーの資格手当に係る法人の対応は、不誠実団交に当たるか。(争点2)
 当該団交において、法人が、ヘルパーの資格手当について、既に説明したとの返答を繰り返したことは、組合に対し、客観的な資料を提示することもないまま、現状を変えないという結論のみを繰り返したものというのが相当であり、かかる対応は、協議において、相手方の理解を得ようとする努力を欠き、組合からの要求や主張を無視ないしは軽視した不誠実なものという他はない。
 以上のとおりであるから、当該団交におけるC1病院のヘルパーの資格手当に係る法人の対応は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。

3 平成30年1月29日、同年4月4日及び同年6月20日開催の団交における団交出席者に係る法人の対応は、不誠実団交に当たるか。(争点3)
 当該団交における団交出席者に係る法人の対応は、議題に関して十分な知識や情報を持ち、実質的な交渉権が付与された者を出席させなかったというべきもので、組合と実質的な協議を行う意思を欠いた不誠実なものであって、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。 
掲載文献   

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