労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京都労委平成28年(不)第85号
GABA不当労働行為審査事件 
申立人  X1組合(「組合」)・X2組合(「支部組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  令和元年9月3日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   組合及び支部組合と会社との間では、平成24年9月28日の組合からの団体交渉申入れ以後、組合が要求する事項、すなわち、組合員の人事異動、解雇等を行う場合には組合との事前協議を行うことや、会社施設内でのビラ配布などの組合活動を認めることなどについて、団体交渉が重ねられ、一部の要求事項については労働協約の締結に至ったが、平成28年7月30日、組合は、上記要求事項を含むその他の問題が解決されないとして、会社に対し、ストライキを行うことを通知し、同日、組合員5名がストライキを実施した。さらに、組合は、12月10日に組合員3名が、29年5月1日には組合員1名がストライキを実施した。
 会社は、これらのストライキを受けて、ストライキを実施した組合員に対し、ストライキを「UNEXCUSED」(「無断欠勤」)として扱うこと、このことが今後、組合員らの報酬単価を定めるべルトレベルに影響し得ること、ストライキによるレッスンのキャンセルが正当な理由のないものであり、契約違反に当たること等を通知ないし警告したほか、組合員2名については、べルトレベルを降格させた。
 本件は、①A2ら5名の講師が、会社との関係で労働組合法上の労働者に当たるか否か、②会社が、A2ら5名に対し行った、電子メールや書面の発信、注意、警告、報酬単価の減額等一連の行為が不当労働行為に当たるか否かが争われた事案である。
 東京都労働委員会は、会社に対し、ストライキの実施を理由とし又は問題視してなされた警告等を労組法第7条第3号の支配介入に当たるとして、支配介入の禁止とともに、文書の交付を命じ、その他の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人会社は、申立人組合及び同支部組合の組合員に対し、ストライキの実施を理由とした注意、警告等を行うなどして、申立人らの組合活動に支配介入してはならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合らに交付しなければならない。

 年 月 日
組合
執行委員長 A1 殿
支部組合
執行委員長 A2 殿
会社        
代表取締役 B

 当社が、ストライキを実施した貴組合の組合員に対し、注意、警告等を行ったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
(注:年月日は文書を交付した日を記載すること。)

3 被申立人会社は、前項を履行したときは、当委員会に速やかに文書で報告しなければならない。
4 その余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 A2ら5名の講師が、会社との関係で労働組合法上の労働者に当たるか否か(争点1)
ア 労組法は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させることを目的としており (同法第1条)、この労組法の趣旨からすれば、同法が適用される「賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」(同法第3条)に当たるか否かは、契約の名称等の形式にのみとらわれることなく、その実態に即して客観的に判断する必要がある。
 そして、その該当性の判断は、労組法の趣旨に照らし、講師の業務実態に即して、①事業組織への組入れ、②契約内容の一方的・定型的決定、③報酬の労務対価性、④業務の依頼に応ずべき関係、⑤広い意味での指揮監督下での労務提供、一定の時間的場所的拘束、⑥顕著な事業者性の有無などの諸要素を総合的に考慮して判断すべきである。
イ 確かに、講師は、会社の定めた時間割の中とはいえレッスン枠を自由に提供することができ、業務の依頼に応ずべき関係にあるとは必ずしもいえないが、A2ら5名の本件講師は、会社の組織に不可欠な労働力として組み入れられ、会社が一方的に決定した契約内容に基づいて、業務遂行上の会社の指揮監督に従って、会社の業務のために労務を提供し、その対価としての報酬を受け取っているのであるから、本件講師は、会社との関係で労組法上の労働者に当たるというべきである。

2 会社が、A2ら5名に対し行った、電子メールや書面の発信、注意、警告、報酬単価の減額等一連の行為が不当労働行為に当たるか否か(争点2)
ア 本件において、会社がストライキを行った組合員に対して、そのことを理由にD-Flow又はベルトシステムに従って、注意、警告、報酬の減額の可能性又は実施についての通告等を行うことは、ストライキ等の争議行為を実施しないよう圧力を掛け、ひいては組合活動を萎縮させるものといわざるを得ず、したがって、支配介入に当たるものである。
イ 会社のA2ら5名に対する警告等のうち、ストライキの実施を理由として、あるいは問題視してなされたことが明らかとなっているものは組合活動に対する支配介入に当たるが、A2及びA3に対するベルトレベルの降格等は同人らの組合活動を理由とした不利益取扱い及び支配介入に当たるとはいえず、また、A5に対する組合活動とは関係のないレッスンのキャンセルや遅刻があったために発せられた警告等も支配介入に当たるとはいえない。 
掲載文献   

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