労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件番号・通称事件名  京都府労委平成30年(不)第1号
上田清掃不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y1会社(「会社」) 
命令年月日  令和元年9月18日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、組合の組合員Aに対し、平成30年5月2日付けの異動命令を発したところ、組合が、本件異動命令は、労働組合法第7条第1号の不利益取扱い及び同条第3号の支配介入に該当すると主張して、同年6月5日、当委員会に救済申立てを行った事案である。
 京都府労働委員会は、会社に対し、不利益取扱い及び支配介入にあたる不当労働行為であるとして、本件異動命令の撤回を命じた。 
命令主文   被申立人は、申立人の組合員Aに対する平成30年5月2日付け異動命令がなかったものとして取り扱い、同人を被申立人の本社を発着地とするコース別の収集業務に復帰させなければならない。 
判断の要旨  1 会社が、平成30年5月21日からA組合員をY2センターでの仕分作業等に人事異動したことは、法第7条第1号に該当するといえるか。(争点1)
ア 本件人事異動は同号の「解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること」に該当するか。(争点1ア)
 A組合員は平成5年の入社以来コースドライバー業務に従事してきたことが認められ、このように長年同ーの業務に従事してきた労働者を、それとは異質の業務に異動することは、それ自体不利益性を有すると認められるところ、本件人事異動後のA組合員の業務は、仕分後の資源物を近隣の回収業者に搬入するだけの業務であって、コースドライバー業務とは大きく異なる業務であり、また、主たる業務は、コースドライバー業務とは異質なことが明らかな仕分作業であったと認められる。よって、本件人事異動には、不利益性が認められる。
 さらに、本件人事異動は、会社の中核的事業所における中核的業務から本社から離れたほとんど他に従業員がいない現場作業所での単純作業への異動であって、当該職場における従業員の一般的認識に照らして通常不利益なものと受け止められ、それによって当該職場における従業員の労働組合活動への意欲が萎縮し、組合活動一般に対して制約効果が及ぶようなものであったと認めるのが相当である。
 さらに、本件人事異動前に、A組合員が、他の従業員から労働相談等を受けたり、親睦会を主催していたことは事実として認められ、かつ、本件人事異動が従業員の一般的認識に照らして通常不利益なものと受け止められ、労働組合活動への制約効果を及ほすようなものと認められることも併せ考えると、本件人事異動は組合活動上の不利益性も有していると認められる。加えて、A組合員の通勤時間についても、本件人事異動により大幅iこ増加したことは否定できないし、職場環境についても、夏季の高温や冬季の低温等、会社として何らの対策もとっていないわけではないとはいえ、A組合員の従前の業務であるコースドライバー業務や他の従業員のそれと比べて劣悪なものと認められ、これらの点においても本件人事異動の不利益性は否定できない。
 以上のとおり、本件人事異動は法第7条第1号の「解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること」に該当すると判断される。
イ 本件人事異動は、A組合員が組合人の組合員であること又はその正当な行為をしたことの故をもってなされたものか。(争点1イ)
 本件人事異動には、業務上の必要性及び不利益取扱い意思が競合的に存在したと認められるが、過去の前例や本件人事異動提示後の本件団交等の経過に照らせば、A組合員が組合の組合員でなければ、本件人事異動はなされなかったであろうと認めるのが相当であり、したがって、本件人事異動は、A組合員が組合の組合員であること又はその正当な行為をしたことの故をもってなされたものと判断される。
 以上判断したとおり、本件人事異動は、法第7条第1号に該当する。

2 本件人事異動は、法第7条第3号にも該当するといえるか。(争点2)
 本件人事異動が組合に対する法第7条第3号の支配介入にも該当するかどうかについて、本件人事異動は、A組合員を不利益取扱い意思に基づいて不利益な取扱いをすることによって、会社の従業員に組合活動に対する制約効果を及ほすものと認められるから、組合の弱体化をも意図したものといえ、かつ、支配介入の意思については、組合弱体化の結果を生じさせ、又はそのおそれがあることの認識で足りる(東京高等裁判所平成17年2月24日判決(日本アイ・ビー・エム事件))ことも併せ考えれば、本件人事異動は、法第7条第3号にも該当するというべきである。 
掲載文献   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約484KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。