労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  福岡県労委平成30年(不)第4号
日本セレモニー(第2)不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(組合) 
被申立人  Y会社(会社) 
命令年月日  令和元年8月23日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、①平成30年6月27日、組合の支部のA1支部長などが、拡声器を使用して発言しようとしていたところ、会社のB係長が発言者の前に立ちふさがり発言を遮るなど、会社が、会社本社敷地内における組合の集会を妨害する行為を行ったこと、及び②30年8月3日、会社が、福岡地方裁判所小倉支部に対し、組合、組合の支部及びA2が本社や会社が運営する各葬儀場に立ち入ることなどの禁止を求めて仮処分申立てを行ったことが労働組合法7 条3号に該当するとして、組合が救済を申し立てたものである。
 福岡県労働委員会は申立てを棄却した。 
命令主文  本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 30年6月27日の組合の集会に対する会社の対応について
 30年6月27日、組合が会社敷地内で集会を行い、B係長がこれに対し、発言者の前に立ちふさがり声を張り上げるなどしたこと、及び会社が警察に通報したことについて、同日の集会が行われた場所は本社敷地内であり、こうした会社施設内における組合活動は、本来、使用者との合意ないし慣行に基づいて行われるものであって、労働組合又はその組合員が当然に利用できるものではなく、また、使用者は、組合活動のために組合員による会社施設の利用を当然に受忍しなければならないものではない。よって、会社の行う規制が相当性の範囲を逸脱するものでない限り、そのような規制は労組法7条3号の支配介入に該当するとはいえない。
 Bの行為が就業支援室の従業員が心身の不調を訴える事態の発生を生じさせないことを目的としたものであることなど、会社が本社敷地内での組合活動を規制しようとした行為については、その相当性の範囲を超えたものとは認められない。
 したがって、30年6月27日の組合の集会に対する会社の対応は、労組法7条3号の支配介入には該当しない。

2 30年8月3日の仮処分申立てについて
 仮処分申立てについては、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない」との意法第32条の規定に照らせば、会社が権利を行使することは、非難されることではないといえるが、仮処分申立てが労働組合への支配介入等を目的としてなされた場合には、その仮処分申立て自体が不当労働行為となる場合も考えられる。
 会社が仮処分申立てに至った経緯について見ると、組合は、A2の解雇以降、本社や各葬儀場、及びその付近において、拡声器を使用して演説を行い、シュプレヒコールを上げる等の集会等を行っており、A2の解雇について労使間での対立が続く中にあっては、同様の集会等がその後も行われることが予想されていたといえる。
 そうした状況において、会社が仮処分を申し立てたのは、就業支援室の従業員が心身の不調を訴える事態の発生を避けることや、遺族が故人との最後の時間を静かに過ごすなど、各葬儀場において平穏に営業活動を行うことを目的としたものと考えられ、殊更に組合活動の制限を目的としたものとは認められない。
 したがって、会社が30年8月3日の仮処分申立てを行ったことは、労組法7条3号には該当しない。 
掲載文献   

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