労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成29年(不)第35号・29年(不)第44号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合 (組合)
被申立人  Y会社 (会社)
命令年月日  令和元年6月4日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、 会社が、 ①大阪での団体交渉開催に応じていないこと、 ②組合員に対し、 戒告処分とそれに伴う業務命令を行つたこと、 ③団体父渉における組合によるY会社取締役に対する発言を誹諾中傷と記載したこと、 ④組合員に対し、「なお、契約の更新は、雇用期問満了時の業務量、乙の能力、勤務成績、態度、甲の経営状況等により甲が判断する」 と記載した雇用契約書を提示したこと、 がそれぞれ不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
 大阪府労働委員会は、会社に対し、組合に対する正当な理由のない団交拒否の不当労働行為とし、文書の手交を命じ、その 余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、 申立人に対し、 下記の文書を速やかに手交しなければならない。


 年 月 日
組合
執行委員長 A1 様
会社       
代表取締役 B1

 当社が、貴組合からの平成29年1月12日付け、同年2月23日付け、同月28日付け、同年5月・19日付け、 同年6月23日付け及び同年7月13日付けでの団体交渉申入れに対し、 大阪での開催に応じなかったことは、 大阪府労働委員会において、 労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。 今後、 このような行為を繰り返さないようにいたします。

2 申立人のその他の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 会社が、平成29年1月以降、大阪での団交開催に応じていない ことは、正当な理由のない団交拒否に当たるか。
 組合による平成29年1月以降の大阪での団交開催要求に対して、 会社が大阪での団交開催に応じないことは、 正当な理由のない団交拒否に当たり、 不当労働行為である。

2 会社が、 A2組合員に対し、 本件処分等を行ったことは、 組合員であるが故に行われた不利益取扱いに当たるとともに、組合に対する支配介入に当たるか。
 本件処分等を行うに当たり、 手続的に問題がなかったとまではいえないものの、 本件処分等の理由として会社が挙げた項目は、 会社が戒告処分を相当と考えても無理からぬものであり、しかも、その処分が会社において、就業規則上、 懲戒処分とは異なる処分と位置付けられている戒告処分とされていることも併せ考えると、 本件処分等が無効となるほどの手続的瑕疵があったとはいえず、また、 事件が当委員会に係属中であったことを考慮したとしても、不当労働行為意思のもとになされたとはいえない。さらに、 これにより他の組合員が脱退するなどの影響を受けたとの疎明もないことからすれば、会社が、A2組合員に対し、 本件処分等を行ったことは、労働組合法第7条第1号にも同条第3号にも該当せず、この点に係る組合の申立ては棄却する。

3 会社が、組合に対し、29.6.21会社文書において、29.6.15団交における、組合によるB2取締役に対する発言 を同人に対する誹謗中傷と記載したことは、 組合に対する支配介入に当たるか。
 会社が、組合に対し、29.6.21会社文書において、29.6.15団交における、組合によるB2取締役に対する発言を 同人に対する誹諾中傷と記載したことは、 組合に対する支配介入に当たるということはできず、 この点に関する組合の申立ては棄却する。

4 会社が、A2組合員に対し、本件雇用契約書を提示したことは、組合員であるが故に行われた不利益取扱いに当たるととも に、 組合に対する支配介入に当たるか。
 本件雇用契約書の提示には一定理由があり、 A2組合員に精神的不利益を与えるためになされたとまではいえず、 したがって、 組合に対する支配介入に当たるともいうことはできないのであって、 この点に関する組合の申立ては棄却する。  
掲載文献   

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