概要情報
事件番号・通称事件名 |
神奈川県労委平成28年(不)第9号 |
申立人 |
X組合(組合) |
被申立人 |
Y法人(法人) |
命令年月日 |
令和元年7月11日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、法人が、①組合との団体交渉で就業規則等を提出しなかっ
たこと、 ②組合員であるAの人事評価等に係る団体交渉の開催を、既に評価を変更できないような時期まで遅延させたこと、
③Aに対して差別的な人事評価を行ったこと、 ④Aに昇格の機会を与えなかったこと、 ⑤Aの勤務状況を監視したことが、
①及び②は労働組合法第7条第2号に、 ③から⑤までは同条第1号に該当する不当労働行為であるとして、
救済申立てのあった事件である。その後、平成28年8月8日、組合は、上記①を取り下げ、平成29年12月25日、上記④を試験制度を口実に昇格させなかったことに変更す
るとともに、上記⑤を取り下げた。
神奈川県労働委員会は申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 争点①
(法人が、Aに対する賃金及び処遇を含む人事考課に関する要求事項を議題とする団体交渉において、
不誠実な対応を行ったか。)
本件における組合の要求は、
組合が法人の裁量権に踏み込もうとするものであり、義務的団体交渉事項とはいえない。
このことからすると、法人がAのコンピテンシー評価が決定する以前に、組合が求める団体
交渉に応じなかったとしても、そのことをもって、不誠実な対応であるということはできない。
以上のとおり、法人が、Aに対する賃金及び処遇を含む人事考課に関する要求事項を議題とする団体交渉において、
不誠実な対応を行ったとはいえない。
2 争点②(法人が、Aを昇格させなかったことが、組合員であることを理由とした不利益取扱いに当たるか否か。)
AのPXの格付けは妥当であるほか、昇格試験を巡る法人の対応及び昇格試験の結果に不合理な点は認められず、法人の不当労
働行為意思を裏付ける事情は認められないため、Aが昇格することなくP
Xの格付けが維持されたことは、Aが組合員であることを理由とするものとはいえない。
よって、法人が、Aを昇格させなかったことは、組合員であることを理由とした不利益な取扱いには当たらない。 |
掲載文献 |
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