労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  北海道労委平成27年(不)第7号 
申立人  X1・X2組合、X3・X4組合員 
被申立人  Y会社(会社)
命令年月日  平成31年4月26日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、①組合を結成しようとしていたX3及びX4を 失職に追い込み解雇して、不利益に取り扱ったこと、 ②X1組合及びX2組合が申し入れた団体交渉に対し、会社が応じなかったこと、 ③前記①のX3及びX4の解雇により、 X1組合及びX2組合に対する支配介入行為を行ったことなどが労働組合法第7条第1号、 第2号及び第3号に該当する不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件である。
 北海道労働委員会は、会社に対し、X3及びX4に対する原職相当職への復帰と賃金の差額の支払いを命じるとともに、X1組 合及びX2組合に対する団交応諾義務違反及び支配介入の不当労働行為とし、文書掲示を命じ、その余の申立てを棄却し た。 
命令主文  1 被申立人は、X3及びX4に対し、平成27年1月31日付けで 雇 用が終了した時点での原職相当職に復帰させるため、被申立人Y会社の支社に属する代理店において、 葬儀施行を担当し冠婚葬祭互助会会員の募集業務を行う従業員として、 同人らを直ちに就労させる措置を講じなければならない。 なお、 X3及びX4の労働条件については、 同人らの雇用が終了した時点と同程度のものとする。
2 被申立人は、 X3及びX4に対し、 それぞれ平成27年2月1日から前項の復帰までの間の賃金相当額 (同人らが葬儀施行を担当し冠婚装祭互助会会員の募集業務を行う従業員として、各々受領した平成26年11月分 から平成27年1月分の賃金の1か月当たりの平均額を1か月分の賃金相当額として計算した額)に年5分の割合による金員を加算して支払わなければならない。
3 被申立人は、X1組合及びX2組合が平成27年1月31日付けで申し入れた団体交渉について誠実に交渉に応じなければならない。
4 被申立人は、X3及びX4を支部から排除するなどして、 X1組合及びX2組合の通営に支配介入してはならない。
5 被申立人は、次の内容の文書を縦1メートル、横1.5メートルの大きさの白紙にかい書で明瞭に記載し、被申立人本店の正面玄 関の見やすい場所に、本命令書写し交付の日から7日以内に掲示し、10日間掲示を継続しなければならない。


 当社は、 X1組合及びX2組合に対し、 支配介入を行い、X2組合の結成に関わっていたX3及びX4を排除すべく、 代理店の廃業に伴う支部での新規採用という機会を利用して、 X3及びX4の雇用を終了させました。
 また、X1組合とX2組合から平成27年11月31日付けで申入れのあった団体交渉も拒否しました。
 当社のこれらの行為は、 北海道労働委員会において、 労働組合法第7条第1号ないし第3号に該当する不当労働行為であると認定されましたので、 今後このような行為を繰り返さないようにします。
 年 月 日(掲示する日を記載すること)
X1組合
執行委員長 A1様
X2組合
執行委員長 X3様
会社       
代表取締役 B

6  申立人のその余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 会社は、労働組合法上の「使用者」 に該当するか(争点1)。
 業務委託契約の規定及びその運用が、 一般的な業務委託契約に比して、 代理店主が強い会社の拘束下に置かれている内容になっていること、 支部長会議などを通じて、代理店主は、 ノルマの達成等について、 厳しい会社の指示続制を受けていたこと、 代理店主の報酬は会社からの歩合給の域を出るものではなく、 その報酬決定方法をもって代理店主の事業の独立性を根拠付けることはできないこと、独立した事業主であるならば、その責任と判断において行うべき従業員の採用、 雇用の終了、賃金の決定といった点についても、会社の強い影響下にあったこと、金銭管理の観点からも代理店は 「支部」 としての継続性をもって会社の組織上の一部門に位置付けられていると考えられること、 会社が従業員を直接管理しでいたことなどの諸事情からすれば、本件では、 代理店を会社の組識上の一部門とみなし得る実態があり、 その代理店に属する従業員も実質的にはY会社の指揮命令下にあって、その結果、 会社が従業員を代理店に配属させる権限を有しているということができる。
 したがって、労働組合法第7条第1号及び第3号との関係において、会社の使用者性が認められる。
 また、会社は、代理店従業員の雇用問題に関して、現実的かつ具体的に支配、 決定をしてきたといえるから、労働組合法第7条第2号との関係においても、会社の使用者性が認められる。
2 X3及びX4が解雇処分を受けたことは、組合員であることを理由とした不利益取扱いに該当するか(争点2)。
 実質的には、 組合結成を嫌悪したY会社が、 代理店の廃業に伴う支部での新規採用という機会を利用して、組合結成に向けた活動の中心人物であったX3及びX4を排除したものといわざるを得ず、 かかる会社の行為は、 労働組合法第7条第1号の不当労働行為に該当する。
3 X1組合及びX2組合が申し入れた団体交渉の拒否が不当労働行為に該当するか (争点3) 。
 使用者であることを否定して団体交渉を拒んでいる会社の対応は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当するというべ きである。
4 前記2の処分は、 支配介入として不当労働行為に該当するか(争点4)。
 会社がX3及びX4を支部から排除したことは、組合員の個人的な権利利益を侵害するにとどまらず、申立人組合の組合員に 対する支配介入行為として労働組合法第7条第3号の不当労働行為に該当する。 
掲載文献   

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