概要情報
事件番号・通称事件名 |
千葉県労委平成30年(不)第1号
東日本旅客鉄道不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X1組合(「組合」)、X2~X11組合員(「組合員」) |
被申立人 |
Y1会社(「会社」) |
命令年月日 |
令和元年5月14日 |
命令区分 |
却下 |
重要度 |
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事件概要 |
本件申立ては、前身会社の民営化時に、被申立人会社が、申立外C組合らの組合員を不採用としたことが労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第1号に、また、この組合員を採用したものとして取り扱うことを求める団体交渉に応じなかったことが同条第2号にそれぞれ該当するとして申し立てられたものであり、千葉県労働委員会は、本件申立てを却下した。 |
命令主文 |
本件申立てを却下する。 |
判断の要旨 |
1 本件不採用について
本件申立てがなされた平成30年5月28日の時点で、組合員らが昭和62年4月1日の会社の発足時に不採用(以下「本件不採用」という。)とされてから、既に30年以上が経過している点について、労組法第27条第2項は、「労働委員会は、前項の申立てが、行為の日(継続する行為にあってはその終了した日)から一年を経過した事件に係るものであるときは、これを受けることができない。」と規定していることから、本件不採用に係る申立てが、同項に規定する申立てに該当するかどうかについて、以下検討する。
(1) 本件申立てまでに30年以上要したことについて
労組法第27条第2項に「不当労働行為があったことを知った日から」との文言はない。また、同項の1年という期間については、ある事実の知、不知という、一方当事者の主観に関わる事実を起算点とすることも妥当ではない。
(2) 継続する行為に該当するかについて
労組法第27条第2項の「継続する行為」とは、行為自体が現に継続して実行されてきた場合をいい、行為の結果が継続している場合を指すのではない。これを本件申立てについてみると、本件不採用は1回限りの行為とみるほかはない。
(3) 小括
以上のとおり、本件不採用に係る申立ては、行為の日から1年を経過した後の申立てであるから、労組法第27条第2項の規定により、却下せざるを得ない。
2 団交拒否について
労組法第7条にいう「使用者」とは、一般には労働契約上の雇用主をいうものであるが、雇用主以外の者であっても、当該労働者との間に近い将来において労働契約が成立する現実的かつ具体的な可能性が存する場合には、その限りにおいて同条の「使用者」と解する余地もある。しかし、本件においては、不採用から約30年が経過し、さらに、上記1で判断したとおり、本件不採用について救済命令は発出されないため、近い将来において、会社と組合員らとの間に労働契約が成立する可能性が現実的かつ具体的に存するとはいえない。
以上のとおり、会社が労組法第7条の使用者には該当しないことは明らかであるから、本件団交拒否に係る申立ては、却下せざるを得ない。 |
掲載文献 |
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