労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成30年(不)第27号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  令和元年5月21日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要  本件は、解雇予告通知をされた従業員が組合に加入し、組合が組合員の解雇等を議題とする団体交渉を申し入れたところ、会社がこれに応じないことが労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして申し立てられた事件であり、大阪府労働委員会は、会社に対し、文書手交を命じた。 
命令主文  被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。

 年 月 日

X組合
執行委員長 A1 様
Y会社       
代表取締役 B

 貴組合からの平成30年5月22日付け団体交渉申入書に対する当社の対応は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 
判断の要旨  1 争点(30.5.22団交申入書に対する会社の対応は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為に当たるか。)について
(1) 本件申立てが行われた時点で、30.5.22団交申入書に係る団交が開催されていなかったことについては争いがない。
また、30.5.22団交申入書に係る議題についてみると、これらは、組合員の労働条件に関する事項であり、30.5.22団交申入書の議題には、義務的団交事項に該当するものが含まれているといえる。
(2) 本件申立てが行われた時点で、 団交が開催されていなかったことについて、正当な理由があるかについて
ア 30.5.22団交申入書は、遅くとも、平成30年5月25日に会社本社に到達しているが、これに対して会社が最初に回答したのは、到達後、約2週間経過してからのことである。団交議題にはA2組合員の解雇間題が含まれるところ、団交申入れ時点において、A2組合員に対して予告された解雇日である同年5月29日が差し迫っていたこと、また、会社の回答が本件申立て後に行われたものであることを併せて考えると、会社の回答は、遅きに過ぎるといわざるを得ない。
イ 30.5.22団交申入書がB社長個人に対して送付されたものであると明示されていたならばともかく、会社本社の住所に会社代表者宛てに送付されたものは、会社として対応すべきであるのは当然のことである。そして、30.5.22団交申入書が、会社の代表者としてではなくB社長個人に対して送付されたものであると明示されていたとする疎明はない。そうすると、仮に会社内で代表者宛てに届いた郵便物は代表者が開封するルールとなっていたとしても、このことが、会社の回答が遅れたことの正当な理由とはなり得ない。また、会社は、対応が遲れたのは、出張等のため、B社長が30.5.22団交申入書を開封したのは平成30年6月8日であったからであり、やむを得ない状況であった旨主張するが、 そのような状況にあったことを示す事実の疎明もない。
ウ 以上のとおりであるから、本件申立て時点において、団交が開催されていなかったのは、団交の開催に向けて、会社が何の回答もしようとしなかったことに原因があるといわざるを得ず、正当な理由があるとは到底いえない。
(3) 以上のとおりであるから、30.5.22団交申入書に対する会社の対応は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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