労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成28年(不)第23号、第55号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y1会社(「会社」)、Y2会社、Y3会社 
命令年月日  平成31年4月12日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   会社は、組合の同意を得ないまま、本社移転及び持株会社の設立を行うとともに、労働協約の改定を申し入れ、その後、解約を通知した。また、会社とその関連会社1社で採用予定だった者を持株会社で雇用し、会社とその関連会社1社への出向により勤務させた。本件は、このような状況下で、会社、その関連会社、設立された持株会社及び会社の資本業務提携先の会社の4社が使用者の地位にあるとして、①本社移転、持株会社設立、労働協約改定申入れ及び解約通知、新規採用者の雇用主変更間題並びにこれらについての組合との協議状況、②一時金についての組合との協議状況、③組合役員2名の一時金に係る査定、④争議中における組合員への対応、⑤会社の資本業務提携先の代表取締役でもある会社の役員の発言内容、がそれぞれ不当労働行為であるとして申し立てられた事件である。
 なお、本件申立て後に、上記の会社と関連会社は、会社を存続会社、関連会社を消滅会社として合併し、本件審問終結時には、被申立人は3社となった。
 大阪府労働委員会は、会社に対し、組合との間で締結した労働協約を有効なものとして取り扱うなどとともに、組合への文書手交を命じ、その他の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人Y1会社は、申立人との間で平成26年4月8日付けで締結した労働協約について、有効なものとして扱わなければならない。
2 被申立人Y1会社は申立人組合員A2に対し、平成27年夏季一時金及び同年年末一時金の査定がCであったとしてこれらの一時金の額を算出し、既支払額との差額を支払わなければならない。
3 被申立人Y1会社は申立人組合員A3に対し、平成27年夏季一時金及び同年年末一時金の査定がCであったとしてこれらの一時金の額を算出し、 既支払額との差額を支払わなければならない。
4 被申立人Y1会社は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。

 年 月 日

X1組合
執行委員長 A1 様
Y1会社       
代表取締役 B1


当社が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
(1) 当社と貴組合との間で平成26年4月8日付けで締結した労働協約についての団体交渉における対応(2号該当)。
(2) 当社と貴組合との間で平成26年4月8日付けで締結した労働協約について、同28年4月8日付け通知書により解約する旨通知したこと(3号該当)。
(3) 当社での採用が内定していた者をY3会社での採用に変更し、これらの者について、平成28年7月20日付けで同社から出向を受け入れたこと(3号該当)。
(4) 当社での採用が内定していた者をY3会社での採用に変更し、これらの者を当社へ出向させることについての団体交渉における対応(2号該当)。
(5) 貴組合員A2氏及び同A3氏に対し、平成27年夏季一時金及び同年年末一時金の査定をDとしたこと(1号及び3号該当)。
(6) 平成27年6月29日及び同年12月18日の講話会でのB4氏の発言(3号該当)。

5 被申立人Y1会社は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。

 年 月 日

X1組合
執行委員長 A1 様
Y1会社       
代表取締役 B1

Y4会社が当社との合併前に行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認められました。当社は、今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。


(1) 当社と貴組合との間で平成26年4月8日付けで締結した労働協約についての団体交渉における対応(2号該当)。
(2) 当社と貴組合との間で平成26年4月8日付けで締結した労働協約について、同28年4月8日付け通知書により解約する旨通知したこと(3号該当)。
(3) Y4会社での採用が内定していた者をY3会社での採用に変更し、これらの者について、同社から平成28年7月20日付けでY4会社が出向を受け入れたこと(3号該当)。
(4) Y4会社での採用が内定していた者をY3会社での採用に変更し、これらの者をY4会社へ出向させることについての団体交渉における対応(2号該当)。

6 申立人のその他の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 争点1(平成27年年末一時金についての、平成27年11月25日及び同年12月4日に行われた団体交渉における使用者側の対応は、Y1会社、Y4会社及びY2会社による不誠実団交に当たるとともに、組合に対する支配介入に当たるか。) について
 組合は、平成27年年末一時金についての、これらの団交における使用者側の対応が不誠実団交及び支配介入に当たると主張するところ、これらの団交における同一時金についての協議内容についての疎明はないため、この点に関する組合の申立てを棄却する。
2 争点2-1(Y1会社の本社東京移転についての、平成27年10月14日、同年11月5日、同月25日及び同年12月15日に開催された拡大事前協議会における使用者側の対応は、Y1会社及びY2会社による不誠実団交に当たるか。)について
 組合が、事前に協議を申し入れていないY1会社の本社移転について予告なく質間をしたのに対し、Y1会社及びY4会社(以下「本件2社」という。)は、現時点での状況を伝えたというにすぎず、そもそもY1会社の本社移転について、組合との間で何らかの交渉が持たれたということはできない。
 これら4回の拡大事前協議会において、Y1会社の本社東京移転に関してそもそも交渉が行われたとまではいえないのであるから、不誠実団交に当たる対応があったともいえず、この点に関する組合の申立てを棄却する。
3 争点2-2(Y1会社が本社を東京に移転したことは、Y1会社及びY2会社による、組合に対する支配介入に当たるか。)について
 拡大事前協議会において、労使間でのやりとりが行われた発端は、組合が、事前協議会での協議を申し入れたものではなく、27.10.14拡大事前協議会における組合からの予告なしの質問に対し、本件2社が返答したというべきものである。
 Y1会社が、本件協約に違反してY1会社の本社を移転したとみることはできず、Y1会社の本社移転を組合に対する支配介入に当たるとまでいうことはできないため、この点に関する組合の申立てを棄却する。
4 争点3-1(Y3会社の設立についての、平成27年10月14日、同年11月5日、同月25日及び同年12月15日に開催された拡大事前協議会における使用者側の対応は、Y1会社及びY2会社による不誠実団交に当たるか。)について
 4回の拡大事前協議会において、本件2社がY3会社の設立について一定の説明を行った後、組合が、Y3会社が組合との団交へ出席することやY3会社が組合と本件2社との間の労使協定等を承継することを求めたのに対し、本件2社は、自らの見解を示して、組合の要求に応じられない旨返答しているとみるのが相当である。しかも、これらの協議会において、組合がY3会社の設立に係る資料の提示や説明を求めたのに対し、本件2社が応じなかったというのであれば格別、そのような疎明もない。
 したがって、これら4回の拡大事前協議会において、Y3会社の設立に関して不誠実団交に当たる対応があったとみることはできず、この点に関する組合の申立てを棄却する。
5 争点3-2(Y1会社がY3会社を設立したことは、Y1会社及びY2会社による、組合に対する支配介入に当たるか。)について
 Y3会社の設立が組合員の労働条件に及ぼす影響についてみるに、平成27年12月17日付けの本件2社連名の回答書には、Y3会社の設立はY1会社の株式を移転するものであって、法律上の効果として、本件2社の従業員の雇用契約がY3会社に承継されるものではない旨の記載があることが認められる。また、Y3会社の設立に伴い、雇用主がY3会社に変更された組合員がいるとする疎明はない。そうすると、Y3会社の設立自体は、組合員の労働条件に直接の影響を及ぼすものということはできない。
 以上に加え、企業が株式移転により新会社を設立してホールディングス化を図ることは、本来、当該企業が自由に行い得る事項ではあることを併せ考えると、Y3会社の設立を組合に対する支配介入に当たるとまでいうことはできず、この点に関する組合の申立てを棄却する。
6 争点4-1(Y1会社と申立人との間で平成26年4月8日付けで締結された労働協約について、Y1会社及びY4会社が平成27年12月22日付けで改定を申し入れたことは、Y1会社、Y4会社及びY2会社による、組合に対する支配介入に当たるか。)について
 労働協約について改定を申し入れる権利は、当事者双方について保障されるべきものであって、本件協定改定申入れの改定案の内容をもって、直ちに申入れを行うこと自体が不当であるということはできない。
 以上のとおりであるから、本件協約改定申入れを支配介入に当たるということはできず、この点に関する組合の申立てを棄却する。
7 争点4-2(Y1会社と申立人との間で平成26年4月8日付けで締結された労働協約についての、平成28年2月4日、同年3月4日、同月18日、同月28日、同年4月7日、同月26日及び同年5月20日に開催された団体交渉における使用者側の対応は、Y1会社、Y4会社、Y2会社及びY3会社による不誠実団交に当たるか。但し、Y3会社については、平成28年4月1日の同社設立前の団体交渉における対応は除く。)について
 本件2社の本件協約改定についての説明に対し、組合は、本件2社の改定案について、一切受諾できないとして交渉するのに値しない内容であるとの態度を取っているとはいえ、本件協約改定は、オープン・ショップ制とすることを含むものであり、これは、労使関係の根幹にかかわる事項の改正を求めるもので、組合に少なからぬ不利益をもたらすことは明らかであるから、本件2社としては、かかる提案をする以上、オープン・ ショップ制の導入等に関して、合理的な理由を示し、相手方の理解が得られるように説明を尽くすべきである。
 本件2社が本件協約の解約を明言して以降についても、組合が、一貫して本件2社の改定案は受け入れられないとの態度を取っているとはいえ、本件2社は、外形的には協議を求めてはいるものの、ユニオン・ショップ制の破棄といった労使関係の根幹に関わる事項の改正を求めるにしては、その説明は具体性を欠き、組合が被る不利益に比し、改定することが相当と思われる合理的な理由を明示しているとはいえない。また、組合が解約の通知後90日をもって解約されるとの扱いをしないよう求めたのに対し、本件2社は一切これに応じないとしており、かかる対応からも、本件2社は組合の理解を得られるように努めているとはいい難い。
 以上のとおりであるから、本件協約に関する団交におけるY1会社及びY4会社の対応は不誠実団交に当たり、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。
8 争点4-3(Y1会社と申立人との間で平成26年4月8日付けで締結した労働協約について、Y1会社による平成28年4月8日付け通知書により解約する旨通知したことは、Y1会社、Y4会社、Y3会社及びY2会社による、組合に対する支配介入に当たるか。)について
 本件2社は、ユニオン・ショップ制の廃止により組合が被る不利益に比しても、改定することが相当と思われる合理的な理由がないにもかかわらず、これを主旨とした本件協約改定申入れを行い、組合が改定に同意せず、本件協約の期限満了を迎えた時点で、直ちに、一括して、組合活動の拠り所であった本件協約を解約しようとすることにより、組合の弱体化を図ったものというのが相当である。
 以上のとおりであるから、Y1会社が平成28年4月8日付け文書にて、本件協約解約通知を行ったことは、組合に対する支配介入であって、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。
9 争点5-1(Y1会社が、同社での採用が内定していた者を、Y3会社での採用に変更したこと。また、Y1会社が、これらの者について、平成28年7月20日付けでY3会社から出向を受け入れたことは、Y1会社及びY2会社による、組合に対する支配介入に当たるか。)及び争点5-2(Y4会社が、同社での採用が内定していた者をY3会社での採用に変更したこと。また、Y4会社が、これらの者について、平成28年7月20日付けでY3会社から出向を受け入れたことは、Y4会社及びY2会社による、組合に対する支配介入に当たるか。)について
 Y1会社及びY4会社が、自社での採用が内定していた本件新入社員の雇用主をY3会社に変更し、さらに、同年7月20日付けで、本件新入社員のY3会社からの出向を受け入れたことは、本件2社の職場における組合の組織率を低下させ、組合の影響力を削ぐことを企図したものと判断され、かかる行為は組合に対する支配介入であって、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。
10 争点5-4(①Y1会社及びY4会社での採用が内定していた者をY3会社での採用に変更すること、及び、②これらの者に係るY1会社及びY4会社への出向についての、平成28年2月4日、同年3月4日、同月25日、同月28日、同年4月26日及び同年5月20日に開催された団体交渉における使用者側の対応は、Y1会社、Y4会社、Y2会社及びY3会社による不誠実団交に当たるか。但し、Y3会社については、平成28年4月1日の同社設立前の団体交渉における対応は除く。)について
 本件2社は、本件新入社員の雇用主を変更する理由について、元々上場企業ということで採用したので、本人のことを考えて、上場企業であるY3会社で採用することとしたことを挙げているが、このことは雇用主の変更の理由と解することができない。そして、本件2社は、組合からの組合活動への悪影響があるとの指摘にもかかわらず、上記以外に雇用主を変更する理由を示さないまま、また、代替案を示すこともなく、組合の同意がなくとも、本件新入社員をY3会社で採用し本件2社に出向させることができるとの見解を繰り返したというべきである。
 本件2社は、外形的には協議を求めてはいるものの、団交において、本件新入社員をY3会社で採用することについて、組合の理解を得られるよう説明を尽くしたということはできず、むしろ、必要な説明を尽くさないまま、強行しようとする態度を取っていたというべきである。
 以上のとおりであるから、本件新入社員をY3会社で採用し本件2社に出向させることに関する団交におけるY1会社及びY4会社の対応は、不誠実団交に当たり、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。
11 争点6(A2副委員長及びA3書記長に対する平成27年夏季一時金及び同年年末一時金の査定は、Y1会社及びY2会社による、組合員であるが故の不利益扱いに当たるとともに、組合に対する支配介入に当たるか。)について
 一時金に係る査定は、制度や運用に係る綿密な検討を経て導入されたとはいい難く、客観性に乏しい査定が行われる可能性は否定できない。
 A2副委員長及びA3書記長に対する平成27年夏季一時金及び同年年末一時金の査定は、同人らの組合活動を理由として低査定を行い、一時金額を低くしたというべきもので、不利益取扱いに当たるとともに、もって組合を弱体化させる支配介入にも当たり、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為である。
12 争点7(平成28年4月1日、東京神田事業所の組合員に対し、鉢巻を外すよう求めたことは、Y1会社及びY2会社による、組合に対する支配介入に当たるか。)について
B5次長がA4組合員に対し、鉢巻を外すよう求めたことをもって、組合活動を妨害し、支配介入を行ったとみることはできず、この点に関する組合の申立てを棄却する。
13 争点8(平成28年4月1日、A5組合員に対し、Y3会社で採用された新入社員に対する研修の講師業務を行わせたことは、Y1会社及びY3会社による、組合に対する支配介入に当たるか。)について
 A5組合員に本件新入社員に対する研修の講師業務を行わせたことを、組合の争議を妨害し、支配介入を行ったとみることはできず、この点に関する組合の申立てを棄却する。
14 争点9(Y1会社のB4会長による、平成27年6月29日の講話会及び同年12月18日の講話会での発言は、Y1会社及びY2会社による、組合に対する支配介入に当たるか。)について
 平成27年6月29日の講話会でのB4会長の発言は、Y1会社の発展のために、従業員にも意識改革が必要であるとする使用者の立場からの言論活動であったとはいえ、B4会長の当時の地位からすれば、組合及び組合活動に言及し、組合が会社側と対立しているとしてその存在自体を非難するに至っているといわさるを得ず、かかる行為は組合に対する支配介入であって、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。
 平成27年12月18日の講話会でのB4会長の発言は、従業員に意識改革を求める使用者の立場からの言論活動であったとはいえ、B4会長の当時の地位からすれば、組合及び組合活動に言及し、組合の存在自体を非難するに至っているというのが相当で、かかる行為は組合に対する支配介入であって、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。
15 使用者性について
(1) 争点10(Y2会社は、上記争点1から争点9までの各行為について、労働組合法上の使用者に当たるか。)について
 25年基本合意書や平成25年9月2日付けの協定書が締結され、本件2社がY2会社グルーブの傘下に入るとともに、労務施策が方針転換し、その方針転換には、B4会長の意向が大きく影響しており、また、B4会長は本件2社の運営を把握し、関与する意図があったということができるとしても、本件において不当労働行為に該当すると判断されるいずれの行為に関しても、Y2会社が組合員の労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあるということはできず、Y2会社に対するこれらの点についての申立てを棄却する。
(2) 争点11(Y4会社は、争点4-3の行為について、労働組合法上の使用者に当たるか。)について
 本件協約は組合とY1会社の間で締結され、本件協約解約通知はY1会社名でなされているものの、これは形式上のものとみるべきであって、本件協約解約通知についても、実質は、Y1会社とY4会社がともに行ったとみるのが相当であるから、Y4会社は、争点4-3の行為について、Y1会社とともに労働組合法上の使用者に当たると判断される。
(3) 争点5-3(Y3会社が、Y1会社及びY4会社での採用が内定していた者を平成28年4月1日付けで採用したこと。また、Y3会社が、当該従業員について、平成28年7月20日付けでY1会社及びY4会社に出向させたことは、Y3会社及びY2会社による、組合に対する支配介入に当たるか。)及び争点12(Y3会社は、争点4-2、争点4-3、争点5-3及び争点5-4の各行為について、労働組合法上の使用者に当たるか。)について
 本件協約に係る問題と本件新入社員に係る問題のいずれについても、Y3会社が、雇用主と同視できる程度に、現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあるとみることはできない。したがって、これらの点に関して、Y3会社が使用者に当たるとはいえないのであるから、①本件協約についての団交における対応、②本件協約解約通知を行ったこと、③本件新入社員をY3会社が採用し、本件2社へ出向させたこと、④本件新入社員の雇用主の変更と出向についての団交における対応の4点に関するY3会社に対する申立ては、いずれも棄却する。
16 まとめ
 以上の使用者性に関する判断を併せ考えると、①本件協約についての団交におけるY1会社及びY4会社の対応は不誠実団交に当たり、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である、②本件協約解約通知を行ったことは、Y1会社及びY4会社による組合に対する支配介入に当たり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である、③Y1会社が、同社での採用が内定していた本件新入社員を、Y3会社での採用に変更し、これらの者について、平成28年7月20日付けでY3会社から出向を受け入れたことは、Y1会社による組合に対する支配介入に当たり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である、④Y4会社が、同社での採用が内定していた本件新入社員を、Y3会社での採用に変更し、これらの者について、平成28年7月20日付けでY3会社から出向を受け入れたことは、Y4会社による組合に対する支配介入に当たり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である、⑤本件2社での採用が内定していた者をY3会社での採用に変更したこと、及び、これらの者の本件2社への出向についての団交におけるY1会社及びY4会社の対応は不誠実団交に当たり、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である、⑥Y1会社が、A2副委員長及びA3書記長に対して平成27年夏季一時金及び同年年末一時金の査定をDとしたことは、組合員であるが故の不利益扱いに当たるとともに、組合に対する支配介入に当たり、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為である、⑦Y1会社のB4会長による、平成27年6月29日の講話会及び同年12月18日の講話会での発言は、Y1会社による組合に対する支配介入に当たり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為であると判断される。
17 救済方法
(1)前提事実のとおり、平成30年7月1日、Y1会社とY4会社は、Y1会社を存続会社、Y4会社を消滅会社として合併したことが認められるのであるから、Y4会社の不当労働行為についての責任はY1会社に引き継がれるというべきである。そして、争点4-2、争点4-3、争点5-2及び争点5-4のY4会社の行為が不当労働行為に当たると判断されるのであるから、主文1及び主文5のとおり命じることとする。
(2) 組合は、組合員2名に対する正当な賞与額との差額の支払を求めるところ、一時金に係る考課において上位から50%の場合の査定はCとなることから、主文2及び主文3のとおり命じることとする。
(3) 組合は、①Y1会社及びY4会社が、組合の同意なく、従業員の出向を受け入れることの禁止、②Y1会社及びY4会社が出向を受け入れている従業員及び将来出向を受け入れる従業員を組合員として扱うこと、③支配介入の禁止、④謝罪文の手交及び掲示をも求めるが、主文4及び主文5をもって足りると考える。 
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