概要情報
| 事件番号・通称事件名 | 神奈川県労委平成30年(不)第4号 日産自動車不当労働行為審査事件
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| 申立人 | X組合(「組合」) | 
| 被申立人 | Y1会社(「会社」) | 
| 命令年月日 | 平成31年3月11日 | 
| 命令区分 | 棄却 | 
| 重要度 |  | 
| 事件概要 | 本件は、X組合が、Y1会社に対して、 組合員であるA2と申立外Y2財団との労使関係に介入したとして、団体交渉を申し入れたところ、 Y1会社がA2の使用者ではないことを理由に団体交渉に応じなかったことが、労働組合法(以下「労組法」という。)第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、 救済申立てのあった事件であり、神奈川県労働委員会は、本件申立てを棄却した。 | 
| 命令主文 | 本件申立てを棄却する。 | 
| 判断の要旨 | 1 争点 Y1会社は、組合の平成30年2月1日付け及び同月15日付け団体交渉申入れについて、労組法第7条第2号の使用者に当たるか。 そうであるとすれば、 上記団体交渉申入れに対するY1会社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか。
 2 委員会の判断
 ア 労組法7条にいう「使用者」とは、一般に労働契約上の雇用者をいうが、同条が団結権の侵害に当たる一定の行為を不当労働行為として排除、 是正して正常な労使関係を回復することを目的としていることに鑑みると、雇用主以外の者であっても、 当該労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、その限りにおいて、同条にいう「使用者」に当たると解するのが相当である。
 イ A2がY1会社に対して労務提供をしていたような事実や、Y1会社がA2の就労について指揮命令をしていたような事実は認められず、Y1会社が、A2の処遇を含む基本的な労働条件等について、雇用主と部分的にとはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的な支配力を有していると認めるに足りる証拠はない。
 ウ Y1会社が、Y2財団に対し、A2の処遇を含む基本的な労働条件等について、具体的にいかなる内容の指示を行っていたのかは証拠上明らかではなく、Y1会社が、A2の処遇を含む基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあるということはできない。
 3 結論
 以上のとおり、Y1会社が、申立人の平成30年2月1日付け及び同月15日付け団体交渉申入れに応じなかったことは、その余の点について判断するまでもなく、労組法第7条第2号の不当労働行為とは認められない。
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| 掲載文献 |  |