概要情報
事件番号・通称事件名 |
神奈川県労委平成29年(不)第1号
ジェイアイエフ不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X組合(「組合」) |
被申立人 |
Y会社(「会社」) |
命令年月日 |
平成31年3月5日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、被申立人Y会社が、申立人X組合から平成28年11月26日付けで申入れのあった、組合員A2の労働問題を交渉事項とする団体交渉に応じなかったことが労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、救済申立てのあった事件であり、神奈川県労働委員会は、会社に対し、文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人が平成28年11月26日付けで申し入れた団体交渉について誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、 本命令受領後、 速やかに下記の文書を申立人に手交しなければならない。
記
当社が平成28年11月26日付けで貴組合から申し入れられた団体交渉に応じなかったことは、 労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると神奈川県労働委員会において認定されました。
今後、 このような行為を繰り返さないようにいたします。
平成 年 月 日
X組合
執行委員長 A1 殿
Y会社
代表取締役 B1
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判断の要旨 |
ア 組合が平成28年11月26日付け「組合加入通知書及び団体交渉要求書」により会社に対して団体交渉を求めた事項は、組合員であるA2の労働条件その他の待遇に関わるものであり、 会社は組合が申し入れた団体交渉に応じる義務がある。しかしながら、会社は、組合からの団体交渉の申入れに対して何らの連絡や回答も行っておらず、 組合が開催を求めた平成28年12月14日の団体交渉が行われなかったのであるから、会社の対応は、 団体交渉の拒否に当たる。
イ 会社はA2の主張が事実と異なることを理由に組合との団体交渉に応じなかった旨主張しているが、上記アで判断したとおり会社には組合との団体交渉に応じる義務がある。
また、たとえ組合と会社との間で事実関係の認識に相違があったとしても、 会社は組合との団体交渉に応じ、 会社の認識について、団体交渉の場で主張や説明を行うことにより組合との協議を尽くすべきであって、事実関係の認識に相違があるということは、団体交渉を拒否する正当な理由にはならない。
ウ さらに、会社は組合の街宣活動等を理由に組合との団体交渉に応じなかった旨主張しているが、組合の街宣活動等は、28.11.26要求書により組合が指定した団体交渉の開催予定日を経過した後に行われたものであり、 会社の主張には理由がない。
エ 以上のことから、 組合からの平成28年11月26日付け団体交渉申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団体交渉の拒否であり、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。 |
掲載文献 |
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