労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  東京都労委平成28年(不)第49号、第76号、第92号
シャルレ/シャルレ(降格・配転等)/シャルレ(厳重注意等)不当労働行為審査事件 
申立人  X1組合(「組合」)、X2組合(あわせて「組合ら」) 
被申立人  Y1会社(「会社」) 
命令年月日  平成31年2月19日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、 会社が、①平成28年5月31日の団体交渉において、本件ハラスメント行為は義務的団交事項には当たらないとして協議に応じなかったこと、②A1委員長に、平成28年10月1日付けの降格処分をしたこと、③A1委員長に、平成28年10月1日付けの東京支店から本社お客様相談課への配転を命じたこと、⑤A2に、平成29年4月1日付けの東京支店から名古屋支店への配転を命じたこと、及び⑥A3書記長に、平成29年4月3日付けの減給処分としたことは、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入か、④組合及びA1委員長を被告として、本件名誉毀損訴訟を提起したことは、組合の運営に対する支配介入か、について争われた事件である。
 東京都労働委員会は、会社に対し、団交に応じること、A1の②、③の取り扱いをなかったことにすること及び文書交付を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人Y1会社は、申立人X1組合が、ハワイセミナーにおける営業本部長の行為について団体交渉を申し入れたときは、義務的団体交渉事項には当たらないとして拒否してはならず、誠実に応じなければならない。
2 被申立人会社は、申立人X1組合の執行委員長A1に対する平成28年10月1日付けの降格処分をなかったものとして取り扱い、同人に対して、同処分がなければ支払われるべきであった賃金相当額と、既支払賃金額との差額を支払わなければならない。
3 被申立人会社は、申立人X1組合の執行委員長A1に対する28年10月1日付けの配転命令がなかったものとして取り扱い、同人を東京支店の原職又は原職相当職に復帰させなければならない。
4 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人X2組合に交付しなければならない。


年  月  日

X2組合
執行委員長  A4 殿

Y1会社       
代表取締役  B1

 当社が、貴組合の下部組織X1組合の執行委員長A1氏に対し、平成28年10月1日付けで降格処分としたこと、及び同日付けで本社お客様相談課へ配転したことは、それぞれ、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
 (注:年月日は、文書を交付した日を記載すること。)

5 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人X1組合に交付しなければならない。


年  月  日

X1組合
執行委員長  A1 殿

Y1会社       
代表取締役  B1

 当社が、平成28年5月31日に開催された団体交渉において、貴組合が申し入れた協議事項である、ハワイセミナーにおける営業本部長の行為について、義務的団体交渉事項には該当しないとして協議に応じなかったこと、並びに貴組合執行委員長A1氏に対し、平成28年10月1日付けで降格処分としたこと、及び同日付けで本社お客様相談課へ配転したことは、それぞれ東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
 (注:年月日は、文書を交付した日を記載すること。)

6 被申立人会社は、第2項ないし前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
7 その余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 平成28年5月31日の団体交渉における会社の対応について(争点1)
 本件行為に対して会社がとる対処の有無とその内容は、従業員の就業環境に影響を及ぼす事項であり、会社が協議に応ずべき義務的団交事項に当たる。
 組合は、団体交渉において、C1本部長の行為はセクハラに当たり、従業員の健全な職場環境づくりに関わる問題であるとして、その対処を求めたのであるから、それに対して会社は、会社の調査にて確認された事実関係やセクハラに当たらないと判断した理由を説明するなどした上で、会社が行う対処の内容等について、組合の協議に応じるべきであったといえる。
 28年5月31日の団体交渉において、本件行為は義務的団交事項ではないとして協議に応じなかった会社の対応は、不誠実な団体交渉に該当する。
2 会社が、A1委員長を28年10月1日付けで降格処分としたことについて(争点2)
 会社は、コンプライアンス委員会の調査結果に反映させるべく、殊更詳細にA1委員長の調査を行ったことが窺われ、また、コンプライアンス委員会の報告書を受けて、賞罰委員会にて懲戒処分を検討する際に、コンプライアンス委員会が指摘していない事項を、懲戒解雇にもなり得る重い懲戒事由として加えた上で、A1委員長の処分を決定していたといえるのであるから、 本件降格処分は、その決定過程等において、多分に不自然なものというべきである。
 以上のとおり、本件降格処分は、処分量定が行為内容と均衡のとれたものであるかについては疑問であり、また、その決定過程等においては多分に不自然な点が認められる。そして、A1委員長が主導する組合活動によって、極めて緊迫した労使間対立が生じていたことを併せ考えると、会社は、本件公表などのA1委員長の主導する組合活動を嫌悪して、賞罰委員会にて同委員長の処分を決定する際に、反組合的意図をもって過重な処分を科したものとみるほかない。
 また、本件降格処分は、組合の中心人物であるA1委員長に対して、賃金減少を伴う降格という重い懲戒処分を科したものであり、経済的打撃により同委員長が行う組合活動を抑制するとともに、重い懲戒処分を科すことで、 他の組合員の活動意欲を委縮させるなどの見せしめ的効果をもたらすものでもある。
 したがって、会社が、28年10月1日付けでA1委員長を降格処分としたことは、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとともに、組合運営に対する支配介入にも当たる。
3 会社が、A1に対し、28年10月1日付けで東京支店から本社お客様相談課へ配転したことについて(争点3)
 A1委員長を東京支店から別の部署へ配転する必要があったとしても、新設された28年10月異動期において、お客様相談課を増員する必要性や、同委員長を同課へ配置する合理性は乏しく、そして、本件配転が、前記2の判断のとおり不当労働行為と認められる同委員長への降格処分と同時期に行われたことや、本件公表等を巡る緊迫した労使関係と配転による組合運営への支障なども併せ考えると、本件配転は、組合の中心人物である同委員長を活動拠点から遠方に放逐し、組合の活動力を削ぐことを意図したものとみるほかない。よって、会社がA1委員長に対し、お客様相談課への配転を命じたことは、組合員であるが故の不利益取扱いであるとともに組合運営に対する支配介入に当たる。
4 会社が、組合及びA1委員長を被告として本件名誉毀損訴訟を提起したことについて(争点4)
 会社及びC1本部長は、本件公表により名誉が毀損されたとして、本件名誉毀損訴訟を提起して、生じた損害の賠償を求めたのであるから、会社が事実的又は法律的根拠を欠くことを認識しながらあえて訴訟提起を行ったなどとみることはできず、組合及びA1委員長に応訴負担をさせることのみを目的としたなど、不当な意図をもって訴訟制度を悪用したということはできない。
 以上のことから、会社が本件名誉毀損訴訟を提起したことは、訴訟制度を悪用して組合活動を不当に妨害したり、組合の弱体化を図ったなどとみることはできず、組合運営に対する支配介入に当たらない。
5 会社が、A2に対して、東京支店から名古屋支店への配転を命じたことについて(争点5)
 本件配転は、業務上の必要性に基づいて行われたものと認められ、A2の陳述書提出に対する報復として、同人の養育を困難にさせるために配転を行ったなどとみることはできず、本件配転が組合員であるが故の不利益取扱い、又は組合運営に対する支配介入に当たるということはできない。
6 会社が、A3書記長に対して、減給処分をしたことについて(争点6)
 A3書記長の職務懈怠行為は懲戒事由に該当し、その量定や手続においても不自然といえる点は認められないことから、同書記長に対する減給処分が、前記の判断のとおり不当労働行為と認められるA1委員長の懲戒及び配転に引き続いてなされたことを考慮したとしても、反組合的意図に基づいて本件減給処分が行われたとみることはできない。
 よって、会社が、A3書記長に対して、29年4月3日付減給処分を行ったことは、組合員であるが故の不利益取扱い又は組合運営に対する支配介入に当たるとはいえない。

 
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