事件番号・通称事件名 |
大阪府労委平成29年(不)第16号 |
申立人 |
X組合(「組合」) |
被申立人 |
Y会社(「会社」) |
命令年月日 |
平成30年12月14日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、大阪府外の郵便局で期間雇用社員として勤務していた組合
員A2が、
同府内への転居に伴い同郵便局に退職を申し入れ、新居から通勤可能な範囲にある複数の郵便局の求人に応募したところ、
面接の際に即戦力として期待すると言われたり、一旦採用を通知されたりしたにもかかわらず、会社が、全ての郵便局において
A2を採用しなかったことが不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件で、大阪府労働委員会は、会社に対し、A2の
期間雇用社員としての採用、バックペイ及び文書手交を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人は、申立人組合員であるA2を平成28年6月30日付けでB2郵便局において期間雇用社員とし
て採用されたものとして取り扱い、同人に対し、同日付以降、同局において期間雇用社員として就労していれば
得られたであろう賃金相当額を支払わねばならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 |
記 |
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年 月 日
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組合
執行委員長 A1様 |
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会社
代表取締役社長 B1
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当社が、平成28年度にB2郵便局において行った求人募集に関して、貴組合員A2氏の採用を取り消し、採
用しなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第1号及び第3号に該当する不当労働行為
であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 |
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判断の要旨 |
1 B2郵便局による採用取消しがA2組合員にとって不利益取扱いに当たること、
B2郵便局による採用取消しの理由に合理性は認められないこと、A2組合員のB4郵便局勤務当時、A2組合員
の労働条件をめぐって会社と組合は対立関係にあり、B2郵便局による採用取消し当時においても当該対立関係が解消していたと
みることはできないこと等からすると、B2郵便局がA2組合員の採用を取り消し、採用しなかったことは、会社による組合員で
あるが故の不利益取扱いに当たる。
また、それにより、組合の組合活動を萎縮させる効果を持つから、組合に対する支配介入にも当たる。
2 本件10郵便局のうち、B2郵便局を除く9郵便局による不採用は、組合員であるが故の不利益取扱いであるとまではいえ
ず、したがって、組合に対する支配介入であるともいえない。 |
掲載文献 |
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