労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  神奈川県労委平成29年(不)第9号
たくみ不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  会社Y(「会社」) 
命令年月日  平成30年11月29日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、被申立人会社が、申立人組合から平成29年3月6日付けで申入れのあった、同社で就業していたA2の労働問題を議題とする団体交渉に応じなかったことが、不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で神奈川県労働委員会は、会社に対し、誠実団交応諾並びに文書の手交及び掲示を命じた。 
命令主文 
1 被申立人は、申立人が平成29年3月6日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、本命令受領後、速やかに下記の文書を申立人に手交するとともに、同文書を縦1メートル、横2メートルの白色用紙に楷書で明瞭に大きく記載し、被申立人事務所入口付近に、その掲示が明確に識別できるよう毀損することなく10日間掲示しなければならない。


 当社が、貴組合からの平成29年3月6日付け団体交渉申入れに応じなかったことは、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると神奈川県労働委員会において認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
  平成 年 月 日
 組合
  執行委員長 A1殿
会社
 代表取締役 B 
判断の要旨   組合が会社に対して団体交渉を求めた事項は、組合員であるA2の労災問題や労働条件その他の待遇に関するものであるから、いずれも義務的団体交渉事項に該当し、会社は交渉義務を負う。
 しかし、会社は、本件団体交渉申入れに対して回答期限までに何らの回答もせず、期眼後に組合から連絡を受けてもなお、団体交渉に応じなかった。
 会社は、上記の回答拒否について、組合が送付した29.3.6団交要求書では会社の代表取締役氏名に誤りがあり、会社所在地として登記簿上の所在地ではない住所が記載されていたため、失礼であるから回答を行わなかった旨主張する。
 29.3.6団交要求書には、会社所在地や代表取締役氏名等、相手方に関する基本的な事項について誤りが認められる。一方で、会社名には誤りがなく、宛先も会社の事業所所在地であり、記載されている団体交渉要求事項も自社の従業員であるA2の労働問題についてであることは明らかであることからすると、このような記載上の誤りは、会社が団体交渉を拒否する正当な理由とは言えない。
 さらに、会社は、回答期限後に組合が連絡した際には、理由を明示せずに団体交渉を拒否する旨のみ回答していたが、本件申立て後は、組合に対する不信感を団体交渉拒否の理由として主張する。
 しかし、このような団体交渉拒否の理由は、組合に対する会社の一方的な印象を述べたものに過ぎず、団体交渉を拒否する正当な理由とは認められない。
 したがって、組合からの本件団体交渉申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否であり、労組法第7条第2号に該当する。 
掲載文献   

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