労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  愛知県労委平成27年(不)第6号 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y1会社、Y2会社、Y3会社、Y4会社 
命令年月日  平成30年10月19日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   組合はY2~Y4会社の従業員で結成された労働組合で、Y2~Y4会社は、Y1会社の関連会社である。
 本件は、Y1会社及びY2会社の団体交渉(以下「団交」という。)における対応及び団交拒否、Y1会社及びY4会社の団交拒否並びにY1~Y4会社の組合に対する支配介入、組合員に対する不利益取扱い等が不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件である。
 具体的には、①Y2会社が、団交にA1社長を出席させなかったこと及び未払賃金等に関する団交を拒否したこと、②Y4会社が、組合員の存在が不知であるとして団交の開催の延期を申し出たこと、③Y2会社及びY3会社が、組合員に対して懲戒処分等を行ったこと、④Y2会社等が組合員に対して組合からの脱退慫慂を行ったこと、⑤Y2会社がA2書記長を休職期間満了による退職扱いとしたこと及びA1委員長を懲戒解雇したこと、⑥Y2会社及びY3会社が、定年退職となる組合員を継続雇用しなかったこと等に関して、不当労働行為の成否等が、争われた事件である。
 愛知県労働委員会は、申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 Y2会社の団交における行為等について
ア 交渉権限を与えられたY2会社側の出席者により組合との交渉が一定程度成立していることから、Y2会社が、第5回から第10回までの各団交にA1社長を出席させなかったことは、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たらない。
イ B3業務課次長の「怖い、怖い」等の発言の経緯や状況等に鑑みれば、当該発言をもって、第5回団交及び第9回団交におけるY2会社の対応は、不誠実であるとまではいえず、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たらない。
ウ Y2会社は、第5回、第6回、第8回及び第9回の各団交に応じようとする姿勢が見受けられることから、各団交開催期日の決定についての同社の対応は、不誠実であるとはいえず、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たらない。
エ Y2会社が、平成27年5月26日付けで申し入れのあった団交議題のうち、未払賃金等の4議題について、訴訟係属中又は捜査中あることを理由に団交を拒否したことには、正当な理由があり、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たらない。

2 Y4会社の団交拒否について
 Y4会社は、平成26年9月20日付け団交申入れについては、従業員に組合員が存在しており、団交に応ずべき使用者であったといえるが、同社が、組合員について不知であることを理由に団交の開催を延期したい旨回答したことには、正当な理由があり、労組法第7条第2号の不当労働行為に当たらない。
 Y4会社は、平成26年11月14日付け団交申入れについて、団交に応じるべき使用者であったとはいえない。

3 Y2会社によるA2書記長への配車差別について
 Y2会社からA2書記長に対し、組合の主張するルールに反する配車指示が仮にあった場合でも、その原因が各営業車の配車システム上の配車指示と実際の位置との間の誤差等のためである可能性を否定できず、当該配車指示が同書記長に対する差別的なものであったとまではいえない。

4 Y3会社によるA3組合員への対応及びY4会社によるA4組合員への対応について
  A3組合員の起こした事故の処理に臨んだY3会社のB9所長が、相手方に謝罪の言葉を述べたこと、Y4会社のB5所長が、本来の勤務時間帯と異なる時間帯に勤務していたA4組合員に対し本来の勤務時間を守るよう指導したこと、病気で長期欠勤していたA4組合員の勤務が可能か判断するため同組合員に対し診断書の提出を求めたこと等には、合理性があり、不当労働行為該当性について判断するまでもない。

5 Y2会社、Y4会社が、平成26年9月11日の出来事に関して行った懲戒処分等について
 平成26年9月11日、A1委員長ら6名が、雇用関係にないY3会社の営業敷地内に、事前の連絡もなく入った上、B5所長らと口論になり、退去を求められたにもかかわらず、1時間半を超え当該営業所敷地内に留まったことに関して、Y2会社がA1委員長ら4名の組合員を減給、譴責及び訓戒としたこと、Y3会社がA3組合員を訓戒としたことには、一定の合理的な理由があり、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たらない。

6 B5所長等によるA1委員長に対する刑事訴訟及び民事告訴の提起について
 当該訴訟の提起は、Y4会社の意を体して行われたものとはいえず、不当労働行為該当性について判断するまでもない。

7 B5所長等による脱退慫慂について
  A7組合員、A8組合員及びA4組合員が組合から脱退したことは認められるが、Y2会社がB7従業員を介してA7組合員に対し、B5所長等がA8組合員等に対し、脱退慫慂を行ったとはいえず、不当労働行為該当性について判断するまでもない。

8 Y2会社によるA2書記長の自家用車のタイヤのパンクへの関与の有無等について
 Y2会社が、当該パンクに関与したとはいえず、当該パンク後に適切な再発防止策を執らなかったとまではいえないから、不当労働行為該当性について判断するまでもない。

9 B7従業員によるビラの作成、配布、発言等について
 B7従業員の、5種類のビラの作成、配布及びA5副委員長及びA2書記長に対する発言は、Y2会社の意を体して行われたものとはいえず、不当労働行為該当性について判断するまでもない。

10 Y2会社本社営業所における出来事について
 平成27年10月15日及び同月31日、Y2会社本社営業所において、B7従業員等が、A1委員長を取り囲み、長時間罵倒したとはいえず、不当労働行為該当性について判断するまでもない。

11 A10組合員に対する脱退勧奨について
 A10組合員が、同人に係るA2会社への未払賃金請求訴訟を取り下げたこと、組合から脱退したことは認められるが、B4課長が、A10組合員に対し、組合からの脱退慫慂及び未払賃金請求訴訟の訴え取下げの慫慂を行ったとまではいえず、不当労働行為該当性について判断するまでもない。

12 Y2会社によるA2書記長に対する休職期間満了による退職扱いについて
 Y2会社、が平成28年1月28日付けでA2書記長を休職期間満了による退職扱いとしたことについて、特に不合理な点は見い出せず、当該行為は労組法第7条第1号及び第3号に当たらない。

13 Y2会社によるA1委員長に対する懲戒解雇について
 Y2会社が、A1委員長に対し、無断欠勤等、複数の懲戒解雇事由に該当したとし、弁明の機会を与えた上で、懲戒解雇したことには合理性が認められるから、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たらない。

14 Y2会社が組合員を継続雇用しなかったこと等について
 Y2会社が、嘱託雇用基準及び賞罰基準を満たさないとして定年退職となるA3組合員を嘱託雇用契約による継続雇用しなかったこと、嘱託雇用基準を満たさないとして、A9組合員との嘱託雇用契約を更新しなかったことには、合理性が認められるから、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たらない。

15 Y3会社が組合員を継続雇用しなかったことについて
 Y3会社が、勤務態度及び賞罰について良好な評価を受けていないA5副委員長を「会社が必要と認めた者」に該当しないとして継続雇用しなかったことには、合理性が認められるから、労組法第7条第1号及び第3号の不当労働行為に当たらない。 
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