労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成29年(不)第24号・第31号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成30年10月30日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、被申立人が申立外事業協同組合が実施する「平成29年度構造改善・集約廃棄斡旋事業」へ応募し、工場閉鎖を理由に組合員を解雇したこと、が不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件で、大阪府労働委員会は、申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てをいずれも棄却する。 
判断の要旨  1 争点1(会社が、Cが実施する本件事業に応募したことは、組合に対する支配介入に当たるか。)について
 本件実施要項には、構造改善事業に応募し、これを承認された事業者は、自らの工場設備を解体廃棄しなければならず、解体廃棄後の工場設備の新設は認めない旨の規定があることからすると、本件事業に応募することは、事業廃止とほぼ同視できるといえる。事業廃止するか否かは、企業の経営判断に属する事項といえることからすると、本件事業へ応募するか否かは、会社の経営判断に属する事項であって、本来、会社の裁量に委ねられるべきものである。しかしながら、本件事業への応募について、会社の裁量を逸脱したといえるような特段の事情がある場合は、不当労働行為に該当する余地がある。
ア 会社の経営状況について
 損益計算書と貸借対照表の数値からすると、経営不振のため本件事業への応募を決断したとする会社主張は、不合理とまではいえない。
イ 会社は、分会が結成されたことを嫌悪して本件事業に応募したかについて
① 団交開催期日を延期したことについて
 会社が平成29年4月1日予定の団交期日を同月14日に延期したのは、会社が団交の代理人として依頼した弁護士の都合によるものである旨の会社主張は不合理とはいえないこと、
 仮に、組合が主張するように、会社が、いったん応諾した団交をキャンセルし、急遽、本事業への応募を決断したのであれば、それは、団交を応諾した平成29年3月30日から同年4月3日までのことであるが、これを裏付ける事実の疎明はないこと
等から、会社が分会結成を嫌悪し、これを排除するために、当初予定されていた団交期日を延期して、急遽本件事業に応募したとまではみることはできない。
② 29.4.12面談時のB1社長の発言について
 29.4.12面談におけるB2社長とA1組合員との間のやり取りそれ自体については、その詳細な内容は判然とせず、29.4.l2面談において、B1社長がA2組合員の組合加入をきっかけに工場を閉鎖する旨の発言をしたとまでは認めることはできない。
ウ 結論
 したがって、会社が、会社内に分会が結成されたことを嫌悪し、これを排除するために本件事業に応募したとまではみることはできず、本件事業へ応募したことについて、会社の裁量を逸脱したといえるような特段の事情は認められない。

2 争点2(会社が、平成29年5月20日付けで、A2組合員を解雇したことは、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるとともに、組合に対する支配介入に当たるか。)について
 会社が、A2組合員を解雇したことは、会社が、本件事業に申し込み、これが承認されたことに伴うものとみるのが相当である。
 会社が本件事業へ応募したことが不当労働行為に当たらないことは上記判断のとおりであり、また、従業員の解雇に当たり、A2組合員と非組合員との間で差別的な取扱いがあったと認めるに足る事実の疎明もない。
 そうすると、会社が、A2組合員を解雇したことは、組合員であることを理由に行われたものとはいえず、また、組合等を排除するためになされたものともえない。
 したがって、会社が、平成29年5月20日付けで、A2組合員を解雇したことは、組合員であるが故の不利益取扱いには当たらず、組合に対する支配介入にも当たらない。 
掲載文献   

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