労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成28年(不)第25号・29年(不)第14号
不当労働行為審査事件 
申立人  X1組合、X2組合、X3組合、X4(個人) 
被申立人  会社Y(「会社」) 
命令年月日  平成30年10月23日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、①組合員1名について昇給させず、また非組合員と比較して低額の賞与を回答し続けたこと、②団体交渉に誠実に応じなかったこと、がそれぞれ不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件で、大阪府労働委員会は、会社に対し、誠実団交及び②について文書手交を命じ、その余の申立てを却下又は棄却した。 
命令主文 
1 申立人らの申立てのうち、平成27年5月29日以前の昇給及び賞与に係る申立てを却下する。
2 被申立人は、平成27年2月20日付け、同年6月9日付け、同年8月12日付け及び同年l0月26日付けで申立人X1組合、同X2組合及び同X3組合から申入れのあった団体交渉について、回答の根拠を具体的に説明するなど、誠実に応じなければならない。
3 被申立人は、申立人X1組合、同X2組合及び同X3組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。


年  月  日
 X1組合
  執行委員長 A1様
 X2組合
  執行委員長 A2様
 X3組合
  分会長 A3様
会社
 代表取締役 B1

 当社が貴組合からの平成27年2月20日付け、同年6月9日付け、同年8月12日付け及び同年10月26日付けの団体交渉申入れに係る団体交渉において、①賞与に関する団体交渉で過去の売上、利益の数字の提供及び賞与の決定方法について回答を拒否したこと、②昇給についての団体交渉で50歳未満の従業員のみ昇給させるという会社の方針とその根拠について説明を行わなかったこと、③未払残業代の問題について、団体交渉で何も述べなかったこと、④C1株式会社に対する地代、家賃の支払に関して、経営事項であるとして、一切何も答えなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。

4 その他の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 争点1(申立人らが同27年5月29日以前のA3の組合加入公然化の時期にまで遡って救済を求める部分については、労働組合法第27条第2項の申立期間を経過しているか。)について
ア 昇給又は賞与に係る支給決定行為とこれに基づく支払行為をもって一個の行為と評価することができるが、本件申立ての判断の対象となるのは、昇給に関しては平成27年及ぶ同28年4月付けの給与改定であり、申立人らが同27年5月29日以前のA3の組合加入公然化の時期にまで遡って救済を求める部分については、申立期間を経過しており、却下せざるを得ない。
イ 27.2.20団交申入れに関して開催された5回の団交は、労働組合法第27条第2項が規定する「継続する行為」といえる。27.2.20団交申入れに係る団交については、27.6.1団交が申立期間を経過していないことから、それ以前4回の団交についても、申立期間を経過して申し立てられたものには当たらない。

2 争点2(会社は、A3組合員に対し、昇給及び賞与において、組合員であるが故に不利益取扱いをしたか、また、会社のA3組合員に対する上記昇給及び賞与に係る取扱いは、組合に対する支配介入に当たるか。)について
ア 昇給について
① 基本給の昇給について
 平成27年4月及び28年4月の昇給については、会社は50歳以上の従業員については昇給しないことを組合に団交で回答し、実際そのとおりに運用している。このように組合員、非組合員を問わず年齢により昇給額を決定することは会社の裁量の範囲内であり、特段不合理なものとはいえない。
② 手当について
 手当に関しては、組合は、平成27年度及び同28年度に非組合員がどの程度の金額であったかについて、また、非組合員の手当が一律に増額していたことについて何らの主張も疎明も行っていないから、職務手当または調整手当について、他の従業員は年功給的な運用をされて昇給していたのに、A2組合員のみ組合員であるが故に昇給しなかったと認めることはできない。
イ 賞与について
 組合は、賃金規定に明記していない年齢を考課要素にするのが不相当である旨等主張するが、これらの組合の主張によっても、A3組合員に対する平成27年度、同28年度の夏季及び冬季賞与について、会社が一定金額の支給提案を行っていたことからすると、他の製造グループの従業員らに、A3組合員より高額の賞与を支給したとしても、それが当該従業員らの業續をA3組合員より高く評価した結果であるならば、直ちに不合理な差別とはいえない。
 組合は、A3組合員の職務遂行能力が他の従業員と比較して低かったとの会社の主張を否認するが、他の製造グループの従業員らの職務遂行能力がA3組合員と同等又はそれ以下であったのに、恣意的な運用がなされた結果、A3組合員より高額の賞与が支給されたことを推認させる証拠はない。
 A3組合員の平成27年度及び同28年度の冬季及び夏季賞与の支給において不利益があったと認めるに足るだけの疎明はないから、この点に係る組合の申立ては棄却する。

3 争点3(27.2.20団交申入れ、27.6.9団交申入れ、27.8.l2団交申入れ及び27.l0.26団交申入れにより開催された団交における会社の対応は、不誠実団交に当たるか。)について
ア 平成27年度夏季賞与及び冬期賞与に係る団交について
① 組合は、27.9.1団交等において、現在の賞与の回答の根拠の成否を検証するために過去の売上・利益と賞与の関係についての説明を求めていることを述べているのであるから、会社は、それを拒否するのならば、妥結済みというだけでなく、組合の主張に即して回答しない理由を説明することが求められており、それができないのであれば、当該売上、利益の数字を提供する必要がある。妥結済みとだけ述べ、それ以上の説明をせず、過去の売上、利益の数字の提供を拒否した会社の対応は不誠実であったといわざるを得ない。
② 28.2.19団交において、賞与の決定方法について、会社は理由も示さず、回答を拒否しており、このような団交における会社の態度についても不誠実といわざるを得ない。
イ 賃上げに係る団交について
 27.4.30団交及び27.10.26団交において、会社が主張するように経営状況から全員を昇給させることは難しいことや、50歳未満の従業員を昇給の対象にしたことの理由が説明されたとは認めがたい。
 賃上げに係る団交における会社の対応は不誠実団交に当たる。
ウ 未払残業代の支払について
 会社の対応は、27.9.1団交でB2マネージャーが雇用安定助成金の不正受給問題について謝罪の言葉を述べた後は、その間の未払残業代の問題については、一貫して、常に何も述べない対応を行っているといえ、このような会社の対応は不誠実であることはいうまでもない。
 未払残業代の支払要求に係る団交における会社の対応は不誠実団交に当たる。
エ A4組合員の解雇撤回に係る要求について
 最高裁判所判決により、A4組合員の解雇が有効である旨の判決が確定した後の27.11.26団交において、会社は、裁判所の最終判断に従う旨述べており、会社は裁判所において判決が出た以上解雇撤回を話し合う余地はないことを表明しているといえる。そうである以上、当該問題についてはお互いの譲歩により交渉が進展する見込みはなく、交渉が行き詰まっていたとみることができる。
 A4組合員の解雇撤回問題についてそれ以上の交渉に応じなかった会社の行為をもって不誠実であるとみることはできない。
オ 経営上の質問事項について
 本件においては、組合が、C1への家賃地代の支払いに関して利益隠しが行われていると主張している等、C1への家賃地代の支払いが組合員の賃金に無関係であるとはいえず、利益隠しに関する疑義について団交において何らかの説明を行う義務が会社にある。
 C1への家賃地代の支払いに関して、経営事項であるとして一切回答しない会社の対応は不誠実団交に当たる。
カ 団交出席者について
  B3マネージャーもB4マネージャーもそれぞれ総務グループ及び営業グループの最上位の役職者であるマネージャーであり、明確に会社側団交出席者として団交に出席しているのであるから、たとえ最終的判断を役員会に諮る必要があり、また、団交における対応が不誠実であったとしても、団交出席者がB3マネージャーらであったこと自体が不誠実団交とまで判断することはできない。
キ 時間、場所等について
 団交の期日の設定、団交開催会場、交渉時間等についての会社の対応は不誠実であるとはいえない。 
掲載文献   

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