労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成29年(不)第19号
不当労働行為審査事件 
申立人  X1組合、X2組合(X1組合と併せて「組合等」) 
被申立人  法人Y(「法人」) 
命令年月日  平成30年10月9日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   被申立人は、大学における出退勤の管理を出勤簿への押印に変えて磁気カードの読取りにより行うことにし、その旨を教職員に通知した。
 本件は、①このこと等を議題とする組合からの団体交渉申入れに対する被申立人の対応、②組合の執行委員長に対して、磁気カードの読取りにより打刻しない場合は、業務命令違反として懲罰対象とする等と通知したこと、が不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件で、大阪府労働委員会は、誠実団交応諾及び①について文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文 
1 被申立人は、申立人X1組合が平成28年12月8日付け、同29年1月12日付け及び同年3月1日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人X1組合及び同X2組合に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。

年  月  日
 X1組合
 執行委員長
  A1様
 X2組合
 執行委員長
  A2様
 
法人
 理事長 Y

 当法人の平成28年l2月8日付け、同29年1月l2日付け及び同年3月1日付けの貴教職員組合からの団体交渉申入れへの対応は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
3 申立人らのその他の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 平成28年l2月8日付け、同29年1月12日付け及び同年3月1日付けの団交申入れ対する法人の対応は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たるかについて
(1) 28.12.8団交申入れへの対応
 法人が、カードリーダー方式への切替が労働条件の変更には至らないと考えていたとしても、このことは労働時間に関連するものであるから、組合等が団交を申し入れている以上、説明し、協議に応じるべき義務を負う。
 したがって、法人は、28.12.8団交申入れに対し、正当な理由なく応じなかったと判断され、かかる対応は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。
(2) 29.1.l2団交申入れへの対応
ア 29.1.l2団交申入れの議題には、出退勤管理の変更に関する件を含んでいるが、この議題は、義務的団交事項に当たる。
イ 29.1.12団交申入れは、①一時金として20万円を支給すること、②理事会構成及び寄付者を明らかにすること、③法人の経営及び大学の運営に関する件をも議題としている。
 一時金として20万円を支給することの議題について、団交申入れに至る経緯がいかなるものであれ、賃金に関係する問題であるから、義務的団交事項に当たる。
ウ 理事会構成及び寄付者を明らかにすること、法人の経営及び大学の運営に関する件は、労働条件や団体的労使関係の運営に影響を及ぼし得る限りにいては、義務的団交事項となり得る。
 X1組合は、賃金や一時金が低水準に置かれているとして、法人の経営状況を検証するために寄付者の件を団交議題としたと解されること、X1組合が理事会の構成を議題としたのは、団交への法人側出席者に関する疑問を持ったが故であると解されることから、両議題は、労働条件や団体的労使関係の運営に影響を及ぼし得るものとして、義務的団交事項に該当する。
エ 法人の経営及び大学の運営に関する件という議題に関して、特命教授という新設の職位について疑問を呈する旨の記載があり、職位の新設は、教職員の身分や処遇に影響を及ぼし得るものと解されるから、当該議題は、この観点から義務的団交事項に該当する。
オ したがって法人は、29.1.l2団交申入れに対し、正当な理由なく応じなかったものと判断され、かかるは対応は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。
(3) 29.3.1団交申入れに対する平成29年3月25日の法人の対応
 団交参加者は、原則として、労使がそれぞれ自由に選定すべきものであるであるところ、本件において、団交参加者をそれぞれ相手方に通知するとの労使間のルールが成立しているとする疎明はないこと等から、法人が、団交会場にて、本件組合側出席者に知らない人が含まれているとして、協議に応じなかったことに正当な理由があるとみることはできない。
(4) したがって、本件団交申入れに対する法人の対応は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。
2 A1委員長に対する平成28年12月l4日付け文書(本件指示書)の交付は、労働組合法第7条第3号の不当労働行為に当たるかについて
 カードリーダー方式での打刻が、出勤簿への押印と比べて、教職員に重い負担を課すものと認めるに足る疎明はないこと、法人が正確な労働時間の把握のため出退勤管理の方式としてカードリーダー方式を採用し、教職員に対し、これに従うよう求めることに問題があるとする特段の事情も見当たらないことから、28.12.8団交申入れに対する法人の対応が不当労働行為に当たることを考慮してもなお、本件指示書の交付自体は、法人が行使し得る業務命令の範囲内とみるのが相当であり、組合等に対する支配介入に当たらない。 
掲載文献   

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