労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成29年(不)第28-1号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成30年10月12日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、団体交渉おける会社の対応が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、大阪府労働委員会は、会社に対し、文書手交を命じた。 
命令主文 
 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
 

年  月  日
 組合
  執行委員長 A1様
会社
 代表取締役 B1
 当社が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。


(1) 平成29年4月26日の貴組合との団体交渉において、貴組合員A2氏の未払賃金問題について、不誠実な対応をしたこと。
(2) 平成29年5月22日の貴組合との団体交渉において、ビデオ撮影を理由として、協議に応じなかったこと。 
判断の要旨  1 争点1(第4回団交におけるA2分会長の未払賃金問題についての会社の対応は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たるか。)について
 会社が、労働基準監督署の立入調査を受けたのは、第4回団交の6日前であるものの、組合等は、それ以前から残業代について疑問を呈し、第3回団交の時点で、A2分会長の残業代が未払になっているとして、説明や支払を既に求めていることは明らかである。そうすると、会社は、第3回団交終了後、直ちに状況を調査、把握し、団交において、説明を行うための準備を行うべき状態にあったと解される。
 しかし、第4回団交において、会社は、組合から従前からされていた説明要求に応じるどころか、組合が説明要求をしていたことすら失念していたかのような対応をしたと判断され、かかる会社の対応は、組合からの要求を無視ないし軽視したというべきもので、団交において要求事項に関して、組合の理解が得られるような説明を尽くす意思を欠いた不誠実なものという他はない。
  会社は、第4回団交において、A2分会長の未払賃金問題について、組合からの要求を無視ないし軽視し、不誠実な対応をしたと判断され、かかる行為は労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。

2 争点2(第5回団交において、会社が、ビデオ撮影を理由として、協議に応じなかったことは、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たるか。)について
ア 会社の5.l9回答書には、肖像権の侵害についての記載はなく、第5回団交においても、組合がビデオ撮影に関する問題点を明らかにするよう求めたのに対し、会社は、正常な協議ができないなどと答えるのみで、特に第4回団交でビデオ撮影ができたのに第5回団交でできない理由について具体的な回答はしていないことが認められる。
 また、会社は、組合側がビデオ撮影を止めない場合は協議をせずに退出することを予め決めていたこと、さらに、会社側出席者が名剌交換後の挨拶がされた後約2分弱で退出したことが認められる。
  相手方の承諾なしでのビデオ撮影には肖像権の侵害等の問題があり、使用者が、撮影した画像を組合がどのように取り扱うのかについて強い懸念を抱くのは無理からぬことだとしても、会社は、ビデオ撮影により会社側出席者が被る影響を具体的に指摘して団交ルールについて労使が折り合える点を模索しようとしないまま、直ちに団交会場から退出し、協議に応じないとの態度を取ったというのが相当で、かかる対応は、団交開催に向けての努力を欠いたものというべきである。
イ 当時の協議の進行状況についてみると、第4回団交でA2分会長の未払賃金問題について、組合等は、会社が調査に必要であるとして、例えば、1か月ぐらいみてほしいということであれば待つが、この場で、次の交渉までに返事がもらえるのか旨等述べ、さらに、なぜ、これほど時間がかかっているのか途中経過も含めて報告することを求めたことが認められる。これに対し会社は、平成29年5月1日までには、いつまでに回答するかを連絡する旨述べ、同日、5.1回答書を提出したが、その内容には、A2分会長の未払賃金についての回答の目途や回答に時間がかかっている理由等は、一切、明らかにされていないことが認められる。
 このような状況下で、第5回団交において、引き続き協議を行うとなると、組合が会社の姿勢をこれまで以上に厳しく追及することは、会社として容易に予想できたはずの事態である
ウ 平成29年6月21日の団交において、会社は肖像権の侵害に当たるので、ビデオ撮影を止めなければ団交は行わない旨述べ、組合等は、カメラを組合側に向けて撮影する旨返答し、カメラの向きを変えた後、協議が行われたことが認められるのであるから、かえって第5回団交においても、会社がこれと同様の対応を行っていれば協議が行われた可能性も高く、第5回団交における会社の対応に問題があるとする判断は変わらない。
エ 以上のことからすると、会社は、組合がビデオ撮影していることを捉えて、継続協議に向けての努力をしないまま一方的に退席し、もって組合からの激しい追求が予想される協議を回避したというべきであり、かかる対応は、正当な理由なく協議を引き延ばした不誠実なものと判断される。したがって、第5回団交において、会社が、ビデオ撮影を理由として、協議に応じなかったことは、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。 
掲載文献   

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