労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成29年(不)第18号
不当労働行為審査事件 
申立人  X(個人) 
被申立人  Y施設組合 
命令年月日  平成30年7月31日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   Xは、年休を流さない運動を行っていたところ、B2工場からB3工場に配置転換された、
 本件は、組合員である申立人を配置転換したことが不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件で、大阪府労働委員会は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 本件配転の不利益性について
 本件配転の不利益性についての申立人の主張は、必ずしも明確ではないが、本件配転により通勤所要時間が長くなったことや本件配転後に、産業医が、病状から配転や異動が望ましい旨記載した就業上の措置に係る意見書兼措置実施結果記録と題する文書を作成したことが認められることからすると、本件配転には一定の不利益性があると解される。
2 本件配転が組合員が故であるかについて
(1) 本件配転の合理性について
ア 本件配転は、B2工場で17年間勤務していた技能職員である申立人をB3工場へ配転したものであることが認められる。
 一方、被申立人においては、①平成28年と同29年の4月1日付けで、一定数の技能職員が焼却工場間で配転されていること、②配転前の平均在籍年数は10年程度であること、が認められるのであるから、本件配転は業務上異例なものには当たらない。
イ 本件配転の健康状態への影響についてみると、申立人は、本件配転までは、日勤のみである整備班に属し、灰クレーンの操作や受付業務等に就いていたが、廃棄物の焼却釜に残る埃や灰を処理する作業には就かないことになっていたところ、配転後には、二交代制の班に配属されたことが認められる。
 しかし、本件配転までに、申立人は被申立人に対し、診断書を提出していないことが認められる。また、本件配転は焼却工場間のものであるから、他の焼却工場においても灰クレーンの操作等の業務のみを担当するといった対応も検討可能であるところ、実際に、申立人が診断書を提出した後の28.9.21面談にて、日勤業務への変更や電話受付や灰クレーンの業務を行うことについて申立人に意向を尋ねたことが認められる。
 そうすると、本件配転を申立人の健康面への配慮を欠いたものということはできない。
 さらに、通勤所要時間が、配転前には自転車で約13分と電車で約11分であったところ、配転後には自転車で約6分と電車で約45分になったことは認められるが、このことを考盧しても、異動において受忍すべき範囲を超えた負担を課すものとは解せない。
 よって、本件配転は合理性を欠いたものとはいえない。
(2) 申立人の組合活動や労使関係の状祝について
 申立人は、被申立人がC3班の存在を了知しており、本件年休運動は、被申立人にとって歓迎されざるものであり、本件配転は何らかの意図の下に行われたと主張するので、念のため、申立人の組合活動や労使関係の状祝について検討するに、①平成23年11月から同28年9月まで、申立人はC3班の班長であったこと、②C3班の規約には、組合員の労働条件や生活条件の向上を目的とする旨の定めがあること、③申立人は、本件年休運動として、強化月間文書を作成し、職員の年休取得に関して調整を行うことのある各部門監理主任に対し、強化月間文書に記載された表を活用して年休取得を行うことを勧めたことが認められ、申立人は、C3班の班長として、組合員の労働条件に関連した活動として本件年休運動を行っていたとみることができる。
 また、申立人は、本件年休運動は、年休を確実に取れるようにすることで結果として振替休日取得ができなかった職員の休日出勤分の割増賃金等が余分に発生する可能性があり、被申立人にとって歓迎されざるものであった旨主張するので、本件配転の直前の時期における被申立人の休日取得に関する対応をみると、①平成28年1月4日から同月31日までの間、複数回にわたり、本件工場長は、各部門監理主任に対し、年末年始期間の出勤に対する振替休日を取得するよう発言したこと、②同年1月から2月にかけて、本件工場長は、少なくとも7名の職員と振替休日の取得に関して個別面談を行ったこと、③今後、一方的な判断による振替休日の変更、事前承認なしの超過勤務、及び特定日に振替休日を集中させる等の行為により超過勤務を命令せざるを得ない状況を作り出すことが見受けられれば、人事考課への反映はもとより、懲戒処分の対象となる可能性がある等と記載された28.3.15工場長文書が各職員に配付されたこと、がそれぞれ認められ、被申立人はB2工場の職員に対し、振替休日を取得するよう繰り返し求めていたと解される。
 しかし、C3班又は申立人が被申立人に対し、上記の本件工場長の個別面談や28.3.l5工場長文書の配付があったにもかかわらず、申入れや抗議を行ったと認めるに足る疎明はなく、申立人のC3班の班長としての活動は、被申立人に対し団交を申し入れたり、何らかの要求や抗議を行うというものではなく、技能職員同士で、効率的に年休を取得できるように図るという域にとどまっていたというのが相当であり、申立人による本件年休運動を巡って、労使対立が起きていたと判断することはできない。
ウ 申立人は、班長が在任中に異動することはなかった旨主張しており、平成25年度から同29年度の間に焼却工場における班長であった者l3名のうち、班長であった時期に配転になったのは、申立人のみであることが認められる。しかし、班長の職にある者を配転の対象外とするという労使間の合意があったと認めるに足る疎明はなく、本件配転が労使合意に反して行われたということはできない。
 また、平成28年10月以降、C3班の班長は空席になっていることが認められる。しかし、副班長等の役員は選出され、C2支部の会議等に交代で出席するなどしており、同29年11月現在、組合員資格を有するB2工場の職員は、全員、C3班に属していることが認められる。その他、本件配転以降、B2工場で以前に比べて年休の取得が困難になったと認めるに足る疎明はない。したがって、本件配転により組合活動が縮小したとみることもできない。
3 結論
 本件配転を組合員であること等を理由として不利益な取扱いをしたものとも、組合活動に支配介入したものともみることはできない。 
掲載文献   

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