労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成28年(不)第42号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y府(「府」) 
命令年月日  平成30年5月24日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、組合員の雇用継続等を求めた団体交渉申入れに対し、被申立人が、協定書の締結を拒否するなど不誠実な対応を行ったことが不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、大阪府労働委員会は申立てを棄却した。
 
命令主文  本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 28.2.29団交開催後、次回団交を平成28年6月1日まで引き延ばしたといえるかについて
(1) 28.2.29団交におけるやりとりにつて
 28.2.29団交における合意は、本件組合員4名に係る内申があった時点で、府教委が組合に対してその事実を連絡するというものであり、組合の平成28年3月24日の時点での団交開催要請に対して、府教委は交渉を受けるかどうかこの場で即答することができない旨述べ、その後、組合が同日を団交指定日にして団交申入書を提出する考えを述べて団交が終了していることからすれば、同日に団交を開催することについて合意があったとみることは出来ない。
(2) 28.2.29団交後、平成28年3月末までの経緯について
組合が、28.3.24団交申入れの際、最終的に、組合も年度末は忙しいとして。雇用のあるなしの回答を年度末までにすればよい旨の讓歩の発言をし、府教委は「はい」と発言し、これを了承しているのであり、この讓歩は28.5.11折衝において組合が自認しているのであるから、28.3.24団交申入れに対して3月末までに団交が開催されなかったことは、府教委と組合の折衝の結果であり、府が意図的に団交を引き延ばしたとみることはできない。
(3) 平成28年4月1日以降の経緯について
 28.5.11折衝において、組合が、団交申入れをしているので.最終的な回答は団交の場で聞くのが本来の形であると述べたのに対して、府教委が、回答ということで交渉ではないとか、組織として交渉ではないのに団交を設定するのはどうかなどと、団交の開催に難色を示したことは、団交の意義に対する理解が十分ではないと考えざるを得ないとはいえ、最終的には、組合の団交開催要求に対し、府教委から、同年5月20日に団交を受ける旨組合に連絡し、日程調整の結果、28.6.1団交が開催されたことからすれば、この過程において、府教委が団交を引き延ばしたとまでみることはできない。
(4)結論
  28.2.29団交開催後、次回の団交が平成28年6月1日まで開催されなかったことについて、この間の府教委の対応が団交の開催を引き延ばした不誠実なものとまではみることはできない。
2 28.6.1団交において、団交を形骸化する発言行ったかどうかについて
(1) 28.6.1団交における府教委の発言内容について
 28.6.1団交における府教委の発言内容は、要約すれば、28.2.12団交申入れの要求事項について協定書を締結すべきかという問題について、非常勤講師の平成28年度の任用が28.2.12団交申入れを受けて行われた団交における交渉により決定したわけではないため労働協約の締結はできない旨の主張であるとみることができる。
 使用者が団交の場で組合とは異なる見解を発言したり、組合の要求に応じられないと回答したことが、直ちに不誠実な態度に当たらないのは明らかであるから、府教委のこれらの発言をもって、団交を形骸化させる不誠実な対応であったとまではいえない。
3 28.6.1団交において、組合が求めた協定書の締結を拒否したことについて
 28.2.29団交において合意されたのは、本件組合員4名についての内申があれば、府教委がその事実を組合に回答することであり、この時点では組合は勤務校などの労働条件を回答することまでは要求しておらず、その後、府教委が当該合意に基づいて28.4.5電話連絡をした時点で、組合が労働条件についても回答を求め、28.6.l団交において、府教委が本件組合員4名の労働条件を団交の場で回答したのに対し、組合が承知した旨述べたことが認められる。
 そうすると、本件組合員4名の平成28年度の勤務校や勤務時間などの労働条件そのものが組合と府教委の間の団交における交渉を通じての譲歩や同意に基づいて決定されたものとみるべき事情はなく、結局、28.2.12団交申入れの交渉事項においては、たとえ組合が府教委の回答に合意したのが事実であるとしても、そのことをもって組合と府教委の間において、交渉によって権利義務が生じるような確定的な意思の合致による合意が成立したとみることはできないというべきである。
 以上のとおり、28.2.12団交申入れの要求事項に係る団交において、本件組合員4名の労働条件に関して、協定書の締結に相当するほどの合意があったとはいえないのであるから、28.6.l団交において府教委が協定書の締結に応じないことをもって、不誠実団交及び組合に対する支配介入であるということはできない。
4 28.7.15回答書が本件に係る団交を打ち切ったとの主張について
 28.6.1団交は、双方の主張が対立したまま平行線になった状態で、組合からの申出により打ち切られたとみるのが相当であること、しかも、組合の28.6.10抗議文にしても、組合が従前の主張を譲歩したり、新たな提案を示しているものとみることはできず、また、府の28.7.15回答書自体、28.6.1団交における回答と同趣旨の説明を記した上で、協定書の締結に関して、再度の協議を行う必要はないと考える旨の返答をしているものであることからすれば、28.7.15回答書をもって、継続中の団交を理由なしに打ち切ったとか、正当な理由なく団交を拒否したものとまでみることはできない。
 以上のとおりであるから、府教委が28.7.15回答書に再度の協議を行う必要はないと考えている旨を記して組合に提出したことをもって、団交拒否や支配介入に該当するとはいえない。
5 28.2.5協定書の誓約を反故にしたことになるかどうかについて
 府教委は28.6.1団交において、非常勤講師に関する雇用継続の要求が義務的団交事項であるということを裁判所の判決を受けて認識したので団交を行っている旨述べており、そのことからすれば、一連の労働委員会命令及び裁判所判決の趣旨に従い、非常勤講師の雇用継続に係る勤務条件等については、必要に応じて実質的な交渉を行うことが府教委には期待されるが、28.2.12団交申入れに係る当事者間の一連の経過をみる限り、今回の府教委の一連の対応が、28.2.5協定書に記載されている誓約を反故にしたとまではいえない。
6 結論
 28.2.12団交申入れに係る府の対応は、不誠実団交及び組合に対する支配介入に当たると認めることはできず、組合の申立ては棄却する
 
掲載文献   

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