労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成27年(不)第42号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成30年5月21日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、①組合員8名に対し、時間外労働及び公休出勤を命じなかったこと、②組合員1名に対し、週2日間・月8日間休日とする勤務を認めなかつたこと、③組合が、賃金改善等を求め、団体交渉を申し入れたが、団体交渉の申入れをなし得る法律的根拠等を明らかにするよう求めて団交に応じなかったこと、が不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件である
 大阪府労働委員会は、会社に対し、時間外労働を認めない取扱いの取消し、各組合員へのバックペイ、誠実団交応諾並びに文書の交付及び掲示を命じた
 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員A2、同A3、同A4、同A5及び同A6に対して、平成26年10月1日以降の所定時間外労働を認めない取扱いをなかったものとして取り扱い、他のパートタイム従業員と同等に所定時間外労働が割り振られていれば得られたであろう賃金相当額と既に支払った賃金額との差額を支払わなけれぱならない。
2 被申立人は、申立人組合員であったA6、同A7及び同A8に対して、平成26年10月1日以降、平成29年3月31日まで、所定時間外労働を認めない取扱いをなかったものとして取り扱い、他のパートタイム従業員と同等に所定時間外労働が割り振られていれば得られたであろう賃金相当額と既に支払った賃金額との差額を支払わなければならない。
3 被申立人は、申立人組合員A4に対し、平成27年2月1日以降、週2日間・月8日間休日とする勤務が認められていれば得られたであろう賃金相当額と既に支払った賃金額との差額を支払わなければならない。
4 被申立人は、申立人が平成27年1月16日付け、同年3月23日付け及び同年5月22日付けで申し入れた団体交渉に応じなければならない。
5 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交するとともに、縦2メートル、横1メートル大の白色板に下記の文書と同文を明瞭に記載して、被申立人の本社正面玄関付近の見やすい場所に、及び、縦1メートル、横50センチメートル大の白色板に下記の文書と同文を明瞭に記載して、C病院内にある被申立人の休憩室内の従業員の見やすい場所に、それぞれ2週間掲示しなければならない。
              記
            (省略)


 
判断の要旨  1 争点1(組合は、申立人適格を有するか。)について
  組合は、当委員会が実施した資格審査において労働組合法第2条及び第5条第2項に規定する労働組合資格要件に適合するものと認められ、その旨決定されていること等から、申立人適格を有することは明らかである。
2 争点2(平成26年10月1日以降、会社が、本件組合員ら8名に対し、所定時間外労働を命じなかったことは、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるか。)について
① 不利益取扱いの有無について
  会社の取扱いは、組合員にとって、賃金の減少という経済上の不利益をもたらす不利益取扱いに該当する。
② 不利益取扱いの合理性について
  会社が、組合員に対して所定外労働や公休出勤を命じないのは、組合員が平成26年9月8日以降、時間外労働を行っていないにもかかわらず、出勤簿に時間外労働を行った旨の不正記入を行い、会社の訂正指示にも従っていないことに基づくもので、組合員故ではない旨主張する。
 平成26年9月8日以降、組合員は始業時刻前及び終業時刻後に時間外労働を行っており、その勤務実態に応じた記載をしたとみるのが相当であるから、組合員の平成26年9月分の出勤簿における記載は不正記入に当たらない。
 組合員が、訂正前の出勤簿において、毎日一律15分の早出の時間外労働を申告していた部分を取り下げ、訂正後の出勤簿において、終業時刻以降の15分の時間外労働のみについて、2日に1回30分の時間外労働として申告することは、従前の慣行に合致していること等から、訂正後の出勤簿は不正記入とはいえない。
 組合員が訂正後の出勤簿において2日に1回30分の時間外労働を申告したことをもって不正記入を行ったとし、会社の訂正に従わなかったとする会社の主張は採用できない。
 したがって、組合員に時間外労働及び公休出勤を認めないことに合理性があるとする会社の主張は採用できない。
③ 不当労働行為意思について
 会社は、組合及び組合員を好ましからざる存在とみていたことが推認でき、平成26年9月分出勤簿の記載を不正記入であるとして問題化し、過剩な反応をしたとみることができ、組合員に対してのみ時間外労働や公休出勤をさせない会社の取扱いは、組合を嫌悪した対応であるといえる。
④ 結論
 会社が、平成26年10月1日以降、組合員にのみ時間外労働を命じず、公休出勤をさせなかったことは、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為である。
3 争点3(平成27年2月1日以降、会社が、A4組合員に対し、週2日間・月8日間休日とする勤務を認めなかったことは、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるか。)について
  平成27年2月1日以降、会社が、A4組合員に対し、週2日間・月8日間休日とする勤務を認めなかったことは、これまで雇用条件確認書の記載に縛られることのない勤務が可能であったところ、A4組合員が組合員であるがゆえに、同組合員による雇用条件確認書の休日日数の記載の訂正の申出を契機として、雇用条件確認書の厳格履行を迫り、勤務日数を制眼して経済的不利益を与えるものであり、組合員であるが故の不利益取扱いといえ、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為である。
4 争点4(平成27年1月16日付け、同年3月23日付け、同年5月22日付けの団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否に当たるか。)について
① 合同労組は、当該企業が雇用する労働者を組合員として組織していれば、その企業との間で団交を行い得る地位にあるというべきところ、本件においては、組合は、26.8.8結成通告・団交申入書に会社の従業員が組合員であることを記載しており、会社は、組合が会社と労働契約関係にある従業員を組合員としている労働組合であることを容易に認識し得たというべきである。
 組合は、本件申立てに至るまでに、団交開催のために具体的な日時場所を提案する等して再三団交申入れを行ったのに対し、会社は、業務に支障があるなどとして組合の提案を断り、組合に提案を求めるのみで、自ら都合のよい日時場所を提案しておらず、会社が組合に対して対案を示したとは認められない。
 以上のことから、会社が組合に対し、団交申入れをなし得るとする事実的及び法律的根拠を具体的に明らかにするようにという質問を繰り返さざるを得ない状況にあったとは認められず、また、会社が組合に対し対案を示したとは認められないから、会社が団交を拒否した事実は存在しないとする会社の主張は、採用できない。
② 会社は、仮に会社の対応が団交拒否に当たるとしても、(ⅰ)会社は、組合に対し、組合の労働組合法上の保護適格に関する疑問点につき回答を求めたり、組合規約や組合員名簿等証拠の提示を求めたにもかかわらず、組合が誠実に対応しなかったこと、(ⅱ)組合による信頼関係破壊行為があり、その謝罪等もなされなかったことから、会社の団交拒否には正当な理由がある旨主張するが、団交拒否に正当な理由があるとする会社の主張は採用できない。
③ 以上のことから、会社の対応は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。


 
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