労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成29年(不)第10号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成30年5月7日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、組合員の就業場所周辺を開催場所とする組合の団体交渉申入れに応じなかったことが、不当労働行為であるとして救済申立てがであった事件で、大阪府労働委員会は、会社に対して団交開催場所についての協議が整うまでの間、B1工場内又はB1工場若しくはB2工場近辺での団交応諾及び文書手交を命じた。  
命令主文  1 被申立人は、申立人が平成28年11月25日付け、同年12月1日付け、同月5日付け、同月6日付け、同月9日付け、同月16日付け、同月26日付け及び同29年1月16日付けで申し入れた団体交渉について、団体交渉開催場所に係る協議が整うまでの間、被申立人のB1工場内又はB1工場若しくはB2工場の周辺において、速やかに応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交するとともに、縦2メートルX横1メートル大の白色板に下記の文書と同文を明瞭に記載して、本社及びB1工場の正面玄関付近の従業員の見やすい場所に2週間掲示しなければならない。
            
記(省略)

 
判断の要旨  1 団交開催場所について
 団交開催場所は、本来労使双方の合意によって決められるべきものであるが、団交開催場所に係る協議が労使間で整わない場合には、組合員の就業場所等、当該組合と使用者の労使関係が現に展開している場所を基本としつつも、使用者が組合の提案する場所での団交に応じられないとして、それ以外の場所を指定したことに合理的な理由があり、かつ、当該指定場所で団交することが当該労働組合や組合員に格別の不利益をもたらさないといえるときには、使用者が指定場所以外での団交に応じないことに正当な理由があると認められ得るが、これらの事情が認められないときには、ほかに特段の事情がない限り、使用者は正当な理由なく団交を拒否したものと解するのが相当である.
 本件においては、団交開催場所について、労使協議が整わなかったことに加え、労使合意も存在していないといえるから、まず、組合と会社の問で基本となる開催場所がどこであるかについて検討する。
 本件申立時において、分会の組合員は9名であり、内6名がB2工場で、2名がB1工場で勤務し、1名が休職していたこと、組合と会社との間で、兵庫県朝来市内において、28.9.1団交、28.10.18団交が開催されたことが、それぞれ認められる。
 これらのことからすると、組合と会社の間で基本となる団交開催場所は、組合員の就業場所であるB2工場内若しくはB1工場内又は、その周辺と解するのが相当である。
2 会社の主張について
 会社が組合の提案する場所での団交に応じられないとして、団交開催場所を大阪市内又は兵庫県伊丹市内と指定した理由について、組合が手段の相当性を欠く形で争議行動を行っていたことから、工場の近辺で団交を行った場合、どのような不測の事態が発生するか想定がつかず、その危険を回避する趣旨であった旨主張する。
 組合が、平成28年11月22日、同月23日に抗議行動を行ったことが認められるものの、その手段や内容がどのように相当性を欠いていたのかという疎明も、具体的にどのような危険があったのかについての疎明もない。同日の前後で行われたとするその他の組合の抗議行動についても、どのような点が手段や内容の相当性を欠いているか、具体的にどのような危険があるのかについての疎明もない。
 したがって、団交開催場所を大阪市内又は兵庫県伊丹市内と指定したことに合理的な理由はなく、かかる会社主張は採用できない。
 また、会社は、会社の指定した大阪市内又は兵庫県伊丹市内での団交開催について、組合員に不利益をもたらさない旨主張する。
 本件団交申入れ協議事項は、組合員らの未払残業代の支払等に関する事項であることから、組合員らが団交に出席することには合理性がある。
 組合員らが出席する団交について、会社の主張する大阪市内又は兵庫県伊丹市内を団交開催場所とすると、組合員は、少なくとも片道1時間30分以上の時間的な負担に加え、100キロ以上の移動に伴う経済的負担をも負うこととなり、その負担は小さくないものといえる。
 したがって、大阪市内又は兵庫県伊丹市内で団交を開催することについて、組合員には不利益がない旨の会社の主張は採用できない。
 その他、会社は、C1労働組合との間で団交を重ねており、組合の構成員も関与していることから、本件中立てには理由がなく、これを争う実質的利益も存在しない旨主張する。
 C1組合は組合とは別の組合であるといえるから、会社がC1組合と団交を行っていたとしても、組合の本件団交申入れを拒否することの合理的理由にはならず、かかる会社主張は採用できない。
3 結論
 本件では、団交開催場所についての組合と会社との協議が整わず、組合と会社との間の基本となる団交開催場所が組合員の就業場所であるB2工場内若しくはB1工場内又はその周辺と解されるにもかかわらず、会社が、団交開催場所を大阪市内又は兵庫県伊丹市内と指定したことに合理的理由はなく、また、このような場所を団交開催場所として指定することは組合員に小さくない不利益を負わせるものであり、その他、本件において特段の事情も認められないことからすれば、本件団交申入れに応じなかった会社の対応は、正当な理由のない団交拒否であり、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に該当する。  
掲載文献   

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