労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  兵庫県労委平成29年(不)第3号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成30年3月22日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、申立人組合が、被申立人会社に対し、平成28年11月7日付けで退職一時金の支給等に関して団体交渉を申し入れたところ、被申立人会社が応じなかったことが不当労働行為であるとして救済申立てがあった事件で、兵庫県労働委員会は申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨   被申立人会社はC1社の親会社であり、被申立人会社の役員4人がC1社の代表取締役を兼ねC2工場の閉鎖を決定したのは、株主としての被申立人会社であることからすれば、資本関係や役員派遺等を通じて、被申立人会社がC1社の経営に対する一定の支配力を有していたことが認められる。
 また、B2名においてC2工場の閉鎖についてプレスリリースが行われたことに加え、C1社の従業員に対する退職金の支払資金を貸し付けるなど、C1社の運営についても一定の関与をしていたことが認められる。
 しかしながら、被申立人会社による上記の支配力ないし関与が、企業グループにおける経営戦略的な観点から、親会社が子会社等に対して行う管理、監督の域を超えるものであったとまでは認められない。
 C2工場の閉鎖に伴う従業員の退職条件は、C4を中心としてC1社において独自に決定されたことが認められ、被申立人会社が親会社としてC1社における労働関係を支配し、従業員の退職条件について、雇用契約上の使用者と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することのできる地位にあったと認定することはできない。
 また、平成28年10月26日に実施された交渉については、C1社はすでに清算結了していること、及び被申立人会社から役員であるB2ほか1人が出席していることから、これが団体交渉であるかどうかはともかくとして、被申立人会社として応じたことが認められる。しかしながら、当該交渉は、被申立人会社が、申立人組合に対し、団体交渉義務も含め、労組法所定の使用者に課せられる何らの義務も負っていないことを説明するために、C1社の解散の経緯を知る関係者によって、任意の面談として実施されたものと認められ、その他、被中立人会社がC1社の従業員の基本的な労働条件等の決定に、現実的かつ具体的な支配ないし関与をしていたことを窺わせる証拠はない。
 以上の次第で、被申立人会社がC1社の従業員の退職条件について、C1社と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配決定することができる地位にあったとは認められないから、被申立人会社は、本件において労組法第7条所定の使用者には当たらず、また、本件について不当労働行為責任を負う者にも当たらないと判断するのが相当である。 
掲載文献   

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