労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成27年(不)第54号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y1会社(「会社」)、Y2局(「局」) 
命令年月日  平成30年3月27日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社らが、①組合員1名に対する雇止めに係る団体交渉に誠実に対応せず、協議中に当該組合員に対して雇止め予告通知を行ったこと及び別の組合員1名の異動問題について団体交渉で協議中に当該組合員に直接働きかけたこと、②指名ストライキを行った組合員2名に対し、遅刻届及び始末書の提出を強要したこと、③組合員1名に対し懲戒処分を連発し、雇止めを強行したこと、が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、大阪府労働委員会は、会社に対し、①及び②について文書の手交を命じ、その余の申立てを棄却し、局に対する申立てを却下した。 
命令主文  1 被申立人会社は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
               
                         
年 月 日
 組合
  執行委員長 A1 様                     
会社                         
代表取締役社長 B1

 当社が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。                

(1)貴組合が平成27年2月6日付けで申し入れた貴組合員A2氏の雇止めを議題とする団体交渉に誠実に応じなかったこと(2号及び3号該当)。
(2)貴組合員A3氏の異動を議題とする団体交渉が貴組合との間で行われているにもかかわらず、平成27年5月15日の対話において、B3部長が同氏に対して異動について、B3部への残留を求める発言をしたこと(2号及び3号該当)。
(3)貴組合が平成27年3月16日に行ったストライキを理由に貴組合員A2氏に対し、同月23日に行ったストライキを理由に同氏及び貴組合員A4氏に対し、それぞれ始末書及び遅刻届の提出を求めたこと(3号該当)。
2 被申立人会社に対する申立人のその余の申立てを棄却する。
3 被申立人局に対する申立てを却下する。 
判断の要旨  1 争点1(局は、被申立人適格を有するか。)について
 不当労働行為救済命令の名宛人とされる使用者は、特段の事情のない限り、法律上独立した権利義務の帰属主体であることを要すると解すべきである。
 組合は、局が大阪府内全域のハブ局として会社において特別な位置にある旨主張するが、局は、会社の組織上の構成部分にすきず、不当労働行為救済命令の名宛人たる法律上独立した権利義務の帰属主体と認めることはできない。
 したがって、局に対する申立ては、却下する。
2 争点2(本件雇止め及びA3組合員の異動を議題とする団交に係る被申立人らの対応は、労働組合法第7条第2号及び第3号の不当労働行為に当たるか。)について
(1)本件雇止めを議題とする団交について
 会社が、本件雇止めを、27.2.27団交の前日に、組合を経ずに直接、A2組合員に通知したことは、団交を会社としての立場を伝える場と位置付けた上で、団交の開催を意識して、団交への対応としてなされたものであるということができる。
 会社は本件雇止め予告通知前に行われた団交において、①雇止めの基準についての組合の質問には、その基準として就業規則の抽象的な記載を繰り返し回答するにとどまり、②本件雇止めの理由についての組合の質問及び発言に対しては、懲戒処分そのものではなく非違行為に基づいて検討していると言いながら、検討の中身については、勤務成績及び勤務態度をみて会社の規則に則って判断するとの抽象的な回答をするにとどまるとともに、その検討の具体的内容については、検討中であり決定事項でないことを理由に一切説明せず、③非違行為の事実確認の方法についての質問に対しては、確認が取れていると述べるだけで、具体的な回答を全くしていないのであり、会社は組合に対し本件雇止めの理由について具体的な説明をいまだ十分に行ったとまではいえず、団交において不誠実な対応に終始したものといわざるを得ない。
 本件雇止め予告通知は、会社が本件雇止め予告通知前に行われた団交において不誠実な対応に終始する中で、団交を会社としての立場を伝える場と位置付けた上で、団交の開催を意識して団交への対応としてなされたものといえ、本件雇止めを議題とする団交における会社のこれら一連の対応は、組合との合意を模索する態度を欠いた不誠実なものであったといわざるを得ない。
 以上のとおりであるから、本件雇止めを議題とする団交における会社の対応は不誠実なものであったというほかなく、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。
 また、同団交における会社の不誠実な対応は、組合の団体交渉権を軽視するものであり、組合に対する支配介入であるといわざるを得ず、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。
(2)A3組合員の異動を議題とする団交について
 27.5.15対話におけるB3部長の発言は、組合との団交での協議が継続している最中に、会社の行為として、局内異動の希望について取下げを求めたとも受け取れる発言をしたものであるから、団交で協議中の事項について組合員個人と個別交渉を行ったものとみざるを得ない。
 27.5.15対話におけるB3部長のA3組合員に対する発言は、組合の団体交渉権を軽視し、団交を形骸化させるものであるといわざるを得ず、団交での協議が継続している最中に会社がこのような行為を行ったことは、不誠実な団交対応として労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとともに、A3組合員と組合を分断するものであって、会社による組合に対する支配介入として労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。
3 争点3(被申立人らが、本件ストライキについて、A2組合員及びA4組合員に対して遅刻届及び始末書の提出を求めるなどしたことは、組合に対する支配介入に当たるか。)について
 労働関係調整法第37条の規定は、抜き打ちストによる公衆の生活への被害の防止を図る規定であって、使用者自体の利益を保護する規定ではなく、労働組合が同条違反の争議行為を行った場合でも、争議行為予告がなされなかったことにより公衆に不当な損害を与え使用者にその損害補てんの責任を余儀なくさせるなどの特段の事情のない限り、使用者との関係において直ちに違法となるものではない。
 会社は、組合が会社に対して行った争議行為予告通知によって、本件ストライキによる公衆の損害を防止する措置を講ずる余裕があり、現に対応できたものとみることができるのであり、本件ストライキについて、上記特段の事情があったということはできない。
 したがって、会社が、本件ストライキが違法なストライキであることを理由に、本件ストライキに参加したA2組合員及びA4組合員に対し、ストライキによる不就労について遅刻届及び始末書の提出を求めたことに、正当な理由は認められない。
 会社が本件ストライキについてA2組合員及びA4組合員に対して遅刻届及び始末書の提出を求めたことは、労働関係調整法所定の手続が取られていなかったことを盾に取って組合の活動をけん制するものであったといわざるを得ず、組合に対する支配介入に当たり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。
4 争点4(被申立人らが、A2組合員に対して、本件懲戒処分を行い、本件雇止めをしたことは、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たるか。)について
 A2組合員に期間雇用社員規則第50条により準用される社員規則第81条第1項(1)及び(10)の懲戒事由に該当する行為があったとする会社の判断が直ちに不合理であるとはいえない。
 26.11.26訓戒処分については、会社の近畿区内において平成26年度中に、遅刻又は職場離脱を含む欠勤を主たる非違として、組合員に限らず154件の訓戒が懲戒処分として行われていることが認められる上、また、そもそも、他の従業員であれば問題とされない不就労が、殊更、組合員であるが故に懲戒処分の理由とされたとまではいえず、26.11.26訓戒処分が組合員であるが故になされたとまではいえない。
 A2組合員の諸行為が懲戒事由に該当するとした会社の判断が不合理であるとまではいえない。
 会社の近畿区内において平成26年度中に、遅刻又は職場離脱を含む欠勤を主たる非違として、組合員に限らず36件の戒告が懲戒処分として行われていることが認められることを併せ考えると、27.1.29戒告処分が組合員であるが故になされたとする組合の主張は採用できない。
 欠勤及び遅刻が懲戒事由に該当するとした会社の判断が不合理であるとまではいえず、もとより、それが、組合員であるが故に懲戒処分の理由とされたと認めるに足る事実の疎明はない。
 以上のことに、会社の近畿区内において平成26年度中に、遅刻又は職場離脱を含む欠勤を主たる非違として、組合員に限らず36件の戒告が懲戒処分として行われていることが認められることを併せ考えると、27.2.26戒告処分が、組合員であるが故になされたとする組合の主張は採用できない。
 会社が本件雇止めの理由として挙げるA2組合員の行為は、平成26年9月26日の遅刻を除き、いずれも実際になされたものであるということができる。そして、A2組合員のこれら行為が就業規則上の懲戒事由に該当するとした会社の判断が不合理とまではいえず、もとより、その判断が組合員であるが故になされたとまでいえない。
 また、会社が期間雇用社員規則第12条第1項の規定に従って本件雇止めを行ったこと自体に問題があるとはいえない。
 以上のことを併せ考えると、会社が、A2組合員について、その勤務態度を勘案して、平成27年4月以降の雇用契約を更新しないという判断をしたことは、不合理であるとまではいえないし、本件雇止めが組合員であるが故になされたということはできない。
 以上のとおり、本件懲戒処分及び本件雇止めは、組合員であるが故の不利益取扱いとはいえず、したがって、組合に対する支配介入ともいえないから、この点に係る組合の申立ては棄却せざるを得ない。 
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