労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]
概要情報
事件番号・通称事件名  千労委平成29年(不)第3号
東部重工業不当労働行為審査事件 
申立人  X1組合、X2地方本部、X3支部 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成30年3月14日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、X1組合、X2地方本部及びX3支部の申し入れた夏季一時金の支給、チェックオフの再開等を求める団体交渉に応じなかったこと、が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、千葉県労働委員会は、会社に対し、誠実団交応諾を命じた。 
命令主文   被申立人は、申立人らが平成29年6月7日及び同月15日に申し入れた団体交渉に、速やかに、かつ誠意をもって応じなければならない。 
判断の要旨  1 争点1(申立人らは、本件申立ての申立人適格を有するか。)について
(1)次長及び工場長の労働組合法第2条ただし書第1号該当性について
 労働組合法第2条ただし書第1号の使用者の利益を代表する者に該当するか否かは、その権限や責任等の実態に基づき、その者の参加によって、使用者と対等の立場に立つべき労働組合の自主独立性が損なわれることがないかという同条の趣旨に照らして、実質的に検討する必要がある。
 工場長の人事労務に関する権限等について、会社は、工場長には人事権限があり、その内容は、採用、配置、賞与考課など、人事の直接的権限ないし、労働関係に関する機密に接するものである旨主張するが、期末評価実施要領によれば、工場長は、副工場長以下の従業員の一次評価者に位置付けられているものの、その二次評価者として部長がおり、最終評価者は役員会となっている。
 また、A3委員長が採用面接に参加したことや、当時の工場長及び副工場長が部下の賞与考課を行っていることは認められるものの、工場長の判断により、採用や賞与考課が決定されるとの事実を認めるに足りる証拠はない。
 したがって、会社において、工場長は人事に関する事務に従事するものの、決定権限の行使につき補助的・助言的地位を超えて、人事の直接的権限を有しているとまでは認められず、その他、使用者の利益を代表する者として、その参加を認めることによって、労働組合の自主独立性を損なうものとなるような重大な権限や責任を有していたと認めるに足りる事実はない。
 よって、工場長の職にある者を労働組合法第2条ただし書第1号に該当する使用者の利益を代表する者と認めることはできない。
 次長の人事労務に関する権限等について、会社は、次長は工場長よりも上位役職者であり、人事権をより広く保持している旨主張するが、次長の人事労務に関する権限や、その他の職務について具体的な主張、立証がない。
 よって、次長の職にある者を労働組合法第2条ただし書第1号に該当する使用者の利益を代表する者と認めることはできない。
(2)部長及び総務・人事課長の組合(X3支部のX1組合加入前はA4組合を、X1組合加入後はX3支部を指す。以下同じ。)への参加について
 会社は、部長及び総務・人事課長が実質的に組合に参加している旨主張する。
 しかし、会社が主張する事実には十分な証拠がないばかりか、仮にこれらの事実が認定できても、部長及び総務・人事課長が実質的に組合に参加しているという会社の主張を認めるに足りる事実とはいえない。また、会社が主張する事実をもって組合にB9管理部長が参加していると評価することもできない。
 よって、部長及び総務・人事課長が組合に参加していると認めることはできない。
(3)組合の目的について
 組合は結成当初から規約上、労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的としていると認められる。
 団体交渉の要求事項についてみると、X1組合加入前に団体交渉を申し入れた際の要求事項は、運転資金の調達方法、取締役の解任理由や選任理由など経営に関する事項が中心となっていたと認めることができる。しかし、会社の経営陣の交代等が従業員の労働条件に影響を及ぼすとの懸念から、団体交渉の要求事項が経営に関する事項が中心になることもある程度理解できるところであり、それのみをもって、組合の目的がB5前社長を擁護支援することにあるとは認められない。
 また、X1組合加入以後の本件団体交渉申入れに係る要求事項は、従業員の労働条件や団体的労使関係の運営に関する事項が中心であると認められる。
 よって、組合は、労働組合法第2条本文の「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体」であることが認められる。
(4)組合の申立人適格について
 組合は労働組合法上の適法な労働組合ではないとする会社の主張には、いずれも理由がない。
 また、組合は、当委員会の実施した資格審査において、労働組合法第2条及び第5条第2項に規定する資格に適合する労働組合と決定された。
 よって、組合は、本件申立ての申立人適格を有するものと認められる。
(5)X1組合及びX2地方本部の申立人適格について
 組合が労働組合法上の適法な労働組合ではないとする会社の主張には理由がないため、それを前提とするX1組合及びX2地方本部に関する会社の主張についても当然認められない。
 また、X1組合及びX2地方本部は、当委員会の実施した資格審査において、労働組合法第2条及び第5条第2項に規定する資格に適合する労働組合と決定された。
 よって、X1組合及びX2地方本部は、本件申立ての申立人適格を有するものと認められる。
2 争点2(会社が、本件団体交渉申入れに応じていないことは、労働組合法第7条第2号の不当労働行為(団交拒否)に該当するか。)について
 A3委員長ほか組合の複数の組合員が、口頭で団体交渉の開催を求めたこと等が認められる。
 しかしながら、上記の事実以上に、会社が主張するような申立人らが暴力的な言動等で団体交渉を求めてきたとの事実については、認定するに足りる十分な証拠がない。
 労働組合法第1条第2項ただし書の趣旨から、団体交渉の場において暴力行為に及ぶ蓋然性が高いと認められるときは、団体交渉を拒否する正当な理由があるというべきであるが、上記の事実をもって、会社には団体交渉を拒否する正当な理由があると認めることはできない。
 よって、会社の主張を採用することはできず、会社が、本件団体交渉申入れに応じていないことは、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

[先頭に戻る]
 
[全文情報] この事件の全文情報は約364KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。