労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成28年(不)第29号及び第41号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成30年3月6日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、①従業員1名が心療内科を受診して休職した後、組合に加入し、組合が会社に対し、組合加入通知書等を提出して組合加入を公然化したところ、会社が、同人について調査会社に依頼して調査を行ったこと、②会社が、アドバイザーと称する人物を利用して、組合員らを個別に呼び出して面談させ、組合加入の妨害や組合からの脱退勧奨をさせるとともに、組合及び組合員に対する誹謗中傷をさせたこと、が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、大阪府労働委員会は、会社に対し、①及び②について文書の手交を命じた。 
命令主文  1 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
               
                         
年 月 日
 組合
  執行委員長 A1 様
会社                         
代表取締役 B1

 当社の下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
               
(1)貴組合員A2氏について調査会社に調査させたこと(第1号該当)。
(2)当社のアドバイザーであるB2が、平成28年7月29日及び同月30日、貴組合員A3氏に対し、貴組合への加入を妨害するとともに、貴組合を誹謗中傷する発言をしたこと(第3号該当)。
(3)当社のアドバイザーであるB2が、平成28年8月4日、貴組合員A4氏に対し、貴組合からの脱退を勧奨するとともに、貴組合及び貴組合員を誹謗中傷する発言をしたこと(第3号該当)。 
判断の要旨  1 争点1(会社がA2組合員について調査会社に調査させたことは、組合員であるが故の不利益取扱いに当たるか。)について
 調査会社の調査は、28.3告発文書の記載内容に関して行われたことがうかがえ、A2組合員に対する調査の必要性が全くなかったとまではいえないものの、当該調査の対象や結果については明らかではなく、かえって、6.16報告書及び8.1報告書のいずれにもA2組合員に関する調査結果の記載が無かったことに照らすと、当該調査が正当な目的でなされたとの疎明はないというほかない。これに加えて、告発文書に記載された内容について、会社がA2組合員本人から、直接事実の有無を確認することなく、調査会社に依頼をして調査することは一般的にはありえないことを勘案すると、当該調査は、A2組合員の勤怠状況の真摯な調査というよりも、A2組合員に精神的に圧迫を加えるための調査となったといえ、当該調査によりA2組合員が精神的不利益を受けたとの組合主張は首肯できる。
 組合が会社に対し、A2組合員の組合加入等について5.27文書を提出した直後の平成28年6月7日、調査会社が2.3告発文書及び28.3告発文書に記載されているA2組合員の就業時間中の行動について調査を行ったことは明らかである。
 この点、会社は、社外調査委員会が設置されたのは平成28年4月13日であり、社外調査委員会が調査会社にA2組合員の調査を依頼したのは同年5月11日であって、A2組合員に関する調査開始時期及び目的について不当な点はなかった旨主張するが、本件申立ての審査の過程において、社外調査委員会が調査会社に対し、2.3告発文書及び28.3告発文書に記載のあるA2組合員の就業時間中の行動について調査を依頼した時期が明らかになる書証の提出はなく、その依頼時期について、5.27文書の前であると認めるに足る事実の疎明もない。
 かえって、平成28年6月7日に調査会社がA2組合員の就業時間中の行動に関して調査を行ったのは、2.3告発文書及び28.3告発文書を受領してから約3か月経過していることからすると、その主張は不自然といわざるを得ない。
 また、会社はA2組合員だけを狙い撃ちをしたものではない旨主張するものの、2.3告発文書及び28.3告発文書に記載されている他の従業員についての調査がなされていたと認めるに足る事実の主張や疎明もない。
 以上のことからすれば、会社がA2組合員について調査会社に依頼し、調査させたのは、組合からの5.27文書を受けたことに起因したものであったといわざるを得ない。
 したがって、会社がA2組合員について調査会社に調査させたことは、組合員であるが故の不利益取扱いであって、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為である。
2 争点2-1(B2アドバイザーのA3組合員に対する発言は、組合に対する支配介入に当たるか。)及び争点2-2(B2アドバイザーのA4組合員に対する発言は、組合に対する支配介入に当たるか。)について
 B2アドバイザーは、当時まだ組合に加入した旨を通知していなかったA3組合員に対し、組合に加入してはいけない旨、組合に加入することは良くないことである旨述べていることが明らかであり、B2アドバイザーの発言は、組合への加入を妨害するとともに、組合を誹謗中傷する発言であったとみるのが相当である。
 B2アドバイザーは、A4組合員に対し、A2組合員を恨む旨、A5組合員の目つきや人間が変わっている旨、そりくりかえっている旨、社外組合への加入が明らかとなれば新規採用されるのは難しい旨、組合が組合活動を行えば会社が潰れる旨述べていることが明らかであり、これらのB2アドバイザーの発言は、組合に加入していれば、将来に何か不利益を被るといった不安を煽るとともに、組合及び組合員を誹謗中傷する発言であったというのが相当である。
 B2アドバイザーは、会社との委任契約を締結していたことを認め、組合との団交においては会社の交渉担当として出席し、また、組合との事務折衝では会社側からの唯一の出席者として出席した上で、団交開催日を延期するなど労使関係について会社側として対応していたといえる。加えて、B2アドバイザーは、平成28年7月29日及び同月30日には、B4工場にわざわざ出向き、午後3時頃A3組合員を呼び出して面談し、同年8月4日には、B3工場にわざわざ出向いたうえで、午後4時頃A4組合員を呼び出して面談しており、同日、A4組合員に対し、労使関係を調整する仕事をしている旨等を発言していたのであるから、同年7月29日、同月30日及び同年8月4日におけるB2アドバイザーの発言は、会社の意を体して行われたものであったといわざるを得ない。
 よって、平成28年7月29日及び同月30日におけるB2アドバイザーの発言は、会社が、A3組合員に対し、組合への加入を妨害するとともに、組合を誹謗中傷する支配介入に当たり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。
 また、平成28年8月4日のB2アドバイザーの発言は、会社が、A4組合員に対し、組合からの脱退を勧奨するとともに、組合及び組合員を誹謗中傷する支配介入に当たり、労働組合法第7条第3号に該当する不当労働行為である。 
掲載文献   

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