労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  高労委平成28年(不)第2号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成30年1月19日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社がA2組合員に解雇予告をしたこと及び団体交渉に応じなかったこと、が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、高知県労働委員会は、会社に対し、誠実団交応諾を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、申立人組合の組合員であるA2の解雇に関する団体交渉に誠意をもって応じなければならない。
2 申立人のその余の申立ては棄却する。 
判断の要旨  1 会社の清算結了について
 会社の清算結了の登記が行われていても、本件が会社の解散前の平成28年10月25日に救済申立てが行われ、当委員会に係属している以上、清算が結了したものとは認め難く、会社は、なお清算会社として存続していると考える。
2 争点①(会社がA2組合員を解雇するまでにとった行為は、A2組合員が労働組合の組合員であること又は労働組合の正当な行為をしたことの故をもって行った不利益取扱いに該当するか)について
 A2組合員が組合員であること又は組合活動を行ったことをもって、会社が組合に対する嫌悪感を抱くようになったと推認し得る事実は見受けられない。
 組合は、労働条件変更又は退職の選択の打診について、A2組合員を排除する意思によるものである旨主張するが、この打診は、もう1名の正社員にも行われており、A2組合員のにみに行われたものではない。
 会社が解散理由として挙げている、人件費削減により会社の赤字を解消して会社存続を図ろうとしたものの、A2組合員の承諾が得られずに会社の経営再建が実現できなくなったこと、及び代表社員がうつ病のため経営意欲を失ったことについては、その理由の当否は別として、一応の合理性が認められる。
 また、A2組合員以外の元従業員はC2に雇用されているが、雇用されたのはパート社員及びパート雇用への変更を受け入れた正社員であり、C2への雇用は、パート雇用を条件としていたものと考えられる。
 他にも、組合は、会社側のセクハラやパワハラについて主張するが、A2組合員が組合へ加入した背景に過ぎず、不当労働行為の成否と直接の関係は認められない。また、「A2組合員のみが対決姿勢を顕わにした」という会社の主張についても、この主張の文言をもって直ちに会社が不当労働行為意思を有していたということはできない。さらに、文書による解雇予告通知及び有給休暇の取得の提案についても、会社の主張する理由に一定の合理性があり、A2組合員が組合員であるため行ったものとまではいえない。
 以上の諸点を総合的に勘案すれば、会社が明らかに反組合的な意思をもってA2組合員を解雇するに至ったとまで認めることはできない。
 したがって、組合員であること等を理由に不利益取扱いを行ったとはいえず、労働組合法第7条第1号の不当労働行為には該当しない。
 なお、組合は、会社が偽装解散をし、C2が事業を承継している旨を主張しているが、不当労働行為としての偽装解散は、第1に、ある会社の解散とその従業員の解雇、その事業の別企業への承継が、解散会社の労働組合を排除する意図のもとに行われていること、第2に、解散会社と事業承継会社の実質的同一性という二つの要件を満たす必要があるところ、会社が明らかに反組合的な意思をもって会社を解散したとまでは認められないため、不当労働行為としての偽装解散には該当しない。
3 争点②(会社が組合から申入れがあった団体交渉に応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉の拒否に該当するか)について
 平成28年10月16日に組合が申し入れた団体交渉の要求事項は、組合員の雇用及び労働条件に関する事項であり、義務的団体交渉事項である。
 会社は、解散しているため、会社の存続を前提とする組合の要求に関する交渉は意味がない旨主張するが、解散・解雇に当たって従業員の処遇をどのようにするかは、当然に交渉すべき事項であり、団体交渉拒否の正当な理由にはならない。
 また、会社は、代表社員がうつ病に罹患していることを団体交渉拒否の理由として挙げているが、団体交渉は会社として対応すべきことであり、代表社員が団体交渉に出席することができないのであれば、店長や代理人等に交渉権限を付与するなどして対応する必要がある。
 なお、組合は、会社の事業を承継するC2に団体交渉応諾義務があると主張するが、会社が清算会社として存続していることから、団体交渉に応じる義務が会社にある。
 以上のことから、組合の団体交渉の申入れに会社が応じなかったことに正当な理由は認められず、労働組合法第7条第2号の団体交渉拒否に該当する。 
掲載文献   

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