労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  都労委平成27年(不)第67号
東豊商事(残業問題等)不当労働行為審査事件 
申立人  X1組合、X2分会 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成29年10月17日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社が①組合員に対し遅出を指示したこと及びジャスター当番を割り当てなかったこと、②組合員に対し会社都合休みを多く割り当てたこと、が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、東京都労働委員会は、会社に対し、会社都合休みを割り当てるに当たっての差別的取扱いの禁止、2日を超える会社都合休みの出勤したものとしての取扱い、バックペイ、②について文書の掲示及び履行報告を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人会社は、会社都合休みを割り当てるに当たって、申立人X1組合及びX2分会の組合員に対して、非組合員の契約社員と差別して取り扱ってはならない。
2 被申立人会社は、申立人組合らの組合員に対し、平成27年1月から6月までの期間に割り当てた会社都合休みのうち、それぞれ2日を超えて割り当てた日数について、出勤したものとして取り扱い、支払済みの休業手当と日給との差額を同人らに対し支払うとともに、組合員らの当該期間を対象とする一時金についても同様に取り扱った上で再査定し、既払額との差額を同人らに支払わなくてはならない。
3 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を55センチメートルX80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、楷書で明瞭に墨書して、会杜従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。

年 月 日
 X1組合
  執行委員長 A1 殿
 X2分会
  分会長 A2 殿

会社         
取締役 B1   

 当社が、平成27年1月から6月までの期間において、貴組合らの組合員に対し、非組合員の契約社員に比して会社都合休みを多く割り当てたことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
 (注:年月日は、文書を掲示した日を記載すること。)
4 被申立人会社は、第2項及び前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
5 その余の申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 平成27年4月から6月までの期間において、組合員に対し遅出を指示したこと及びジャスター当番を割り当てなかったことが、組合員であること又は正当な組合活動を理由とした不利益取扱いに当たるか否かについて
 組合員が非組合員よりも残業時間が少ないことが認められる。その原因について、組合は、会社が組合員に対し遅出を指示したり、ジャスター当番を割り当てなかったりしたためである旨主張する。
①ジャスター当番の割当てについて
 ジャスター当番の業務は毎日行う必要があるところ、担当の入替えも多く、急にローテーションから外れる者が出ることもあり、会社が対応に苦慮してきたことが認められ、また、組合は、順法闘争のうちの残業拒否を解除して以降、会社に対し、組合員のジャスター当番への再登用を求めていなかったことが認められる。このような事情を考慮すれば、会社が、ジャスター当番を確保するために、ジャスター当番から外れることを希望した従業員については、組合員、非組合員を問わず、再度担当させることを原則として取りやめ、ジャスター当番を確実に担当してくれる現在の3名に固定して、業務を安定的に運用する体制を維持しようとしたことが、特に不合理であるということはできない。
 会社は組合員をジャスター当番に割り当てない理由に残業拒否闘争を挙げている。
 しかしながら、ジャスター当番が必然的に残業を伴うものである以上、会社が残業拒否を行った組合員を、ジャスタ-当番を拒否したものとして扱ったことが、あながち不合理であるとはいえない。そして、組合が残業拒否を解除した後も、組合員は、平成21年10月以降、ジャスタ一当番を割り当てられていないにもかかわらず、組合は、会社に対して組合員がジャスター当番を希望する旨を伝えたことはない。その間にジャスター当番は3名に固定されて安定的した運用がなされていることを考えると、会社が組合の連営に介入する意図をもって組合員にジャスター当番を割り当てなかったということはできない。
② 遅出の指示について
 「労働契約書には、始業8時・就業17時を原則とする。(例7時~16時;7時30分~16時30分;8時~17時;8時30分~17時30分)」と記載されている。
 しかしながら、上記の時間帯は「例」であるという記載があり、同契約書には特記事項として、「始業・終業の時刻は業務の都合により、出荷係長の指示に従う。」とあることなどからすれば、必ずしも労働契約書に例示された始業時間を約束したものとはいえない。
 早い時間帯から生コンクリートの納品を要する工事を行う現場が減少している。また、回数は少ないものの実際に朝一番の乗換えが発生しており、当日であっても取引先の業務の都合や、従業員の当日欠勤による乗換えの可能性があることが認められる。
 これらの点を考慮すれば、朝早い時間は配送先が少ないことから出勤を指示する従業員の数が少なくなることは不自然ではないし、当該時間帯に乗換拒否をする従業員がいると、少ない人数でのやり繰りがつかずに配送業務に支障を来す可能性があることも否定できない。そのため、組合員に対して早い時間帯の出勤を指示できないとする会社の説明は、殊更不合理なものとはいえない。
③ 結論
 以上のことから、遅出の指示及びジャスター当番を割り当てないことについては、組合員であること又は正当な組合活動を理由とした不利益取扱いには当たらない。したがって、組合員と非組合員との間に残業時間の差が生じていたとしても、組合がその原因であると主張している、遅出の指示及びジャスタ-当番を割り当てないことについては不当労働行為に当たらないことは上記判断のとおりであるから、この残業時間の差もまた組合員であるが故の差別であるということはできない。
2 平成27年1月から6月までの期間において、組合員に対し、会社都合休みを多く割り当てたことが、組合員であること又は正当な組合活動を理由とした不利益取扱いに当たるか否かについて
 上記期間中における会社都合休みの1人当たりの平均値を比べると、組合員が6日であるのに対し、非組合員では約0.45日であり、13倍以上の差があることが認められる。13倍を超える差を偏りがないとはいえず、会社都合休みの割当てについて、組合員と非組合員の契約社員との間に有意な格差が認められる。
 また、会社は、会社都合休みの日であっても、当日仕事が入る場合があることから、一定の少人数の従業員に出勤を指示しているとし、「会社に必要で協力的な人物が選別されるような基準」を設けて選別していると述べている。さらに会社は、この基準に従って、「当日乗換拒否や昼残業拒否を継続している等の会社に非協力的な従業員」は「会社業務に多大な混乱や遅滞ないし損害を生じる危険性がある」として会社都合休みを割り当てているとも述べている。しかし会社は、注文量が少ない会社都合休みの日に例外的に当日仕事が入り、かつ、当日乗換えや昼残業を必要とする業務が発生する可能性がどの程度あるのかについて何ら言及していない。実際には、そのようなケースは極めて稀であると考えられることからすれば、会社が上記基準を設けていることに必要性や合理性を認めることは困難である。
 当日乗換え拒否及び昼残業拒否は、組合が「順法闘争」として継続しているものであり、昼残業については組合員以外の全員が行っていたことが認められる。そうすると、会社の示す当該基準は、事実上組合員を指し示すこととなり、結局会社は、合理的な理由なく組合員に多くの会社都合休みを割り当てる基準を運用していたこととなるから、このような会社の対応は、組合員に対する差別的取扱いであるといわざるを得ない。
 以上のことからすると、組合員に対する会社都合休みの指示は、組合員であるが故の不利益取扱いに当たる。 
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