概要情報
事件番号・通称事件名 |
大分県労委平成27年(不)第1号 |
申立人 |
X組合(「組合」) |
被申立人 |
Y会社(「会社」) |
命令年月日 |
平成29年9月29日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が会社の従業員である組合に加入している分会の組合
員3名に対し、賃金の減少を伴う配置転換を行ったこと、組合及び分会(以下「組合等」という。)による団体交渉の申入れに対
し、会社が延期理由を具体的に示すことがないまま、最終的に応じたのは1か月以上後であったことや、会社が延期を申し出た後
に組合等が再度の申入れを行うまで会社から開催日の連絡がなかったこと、が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件
で、大分県労働委員会は、申立てを棄却した。 |
命令主文 |
本件申立てを棄却する。 |
判断の要旨 |
1 本件配置転換及び賃金の減少について
組合等と会社との間には平成23年から長期間にわたり未払残業代の支払を主眼とする交渉等が行われてきたものの、当該交渉
等がなかなか進展しない中で、組合等による未払残業代に係る労基署への申告及び地裁への提訴などが行われた。このような状況
に鑑みると、確かに組合等が主張するように本件配置転換に係る分会組合員3名の処遇について、組合員であること又は正当な組
合活動を行ったことを理由として行われ、かつ、分会の弱体化を図った恣意的な配置転換である旨の主張も理解できないわけでは
ない。
しかし、本件配置転換は業務上の必要性等に基づき、あながち不合理とはいえない人選に沿ったものとみることができ、会社が
本件配置転換に当たり、あえて分会の役員を配置転換の対象としたとまではみることができず、更に、会社が分会組合員3名の賃
金の減少に対する措置をある程度講じていることが推認される。一方で、配置転換自体が非組合員も含めて行われていたこと、組
合等が本件配置転換による不利益として主張する組合活動への影響については、これが大きなものであったとは証拠上うかがわれ
ないことから、本件配置転換が組合員であることなどを理由とした労働組合法第7条第1号の不利益取扱いに当たるとまではいえ
ない。
また、本件配置転換は業務上の必要性等に基づいて実施され、対象者の人選においても不合理とまではいえないのであるから、
会社が組合及び分会を弱体化する意図を持って本件配置転換を行ったとまではみることができず、本件配置転換が労働組合法第7
条第3号の支配介入に当たるとまではいえない。
2 本件団体交渉について
(1)第14回団体交渉
確かに会社は、組合等が指定した団体交渉期日に対する延期理由を具体的に伝えていないなどについては、その対応に関し疑義
がないではない。
しかし、①組合等は、平成27年2月13日付けの団体交渉申入れに対する会社の回答については特に問題ないと認識していた
こと、②組合等は、同年2月13日付けの申入れから2週間以内に日程調整の回答を希望していたが、その旨は会社に伝えていな
かったこと、③同年3月6日付けの再度の団体交渉申入れに対して、同年3月25日に団体交渉が開催されたことについては、会
社が期日を先延ばしした訳ではないので適切だったと組合等は考えていること、が認められる。
それらのことを踏まえて当該団体交渉経緯全体を見渡すと、会社の対応は不誠実であったとまではみることができず、当該団体
交渉における会社の対応が労働組合法第7条第2号の不誠実団交に当たるとまではいえない。
また、当該団体交渉における会社の対応が不誠実なものとまではいえないことから、会社が組合等を弱体化する意図を持って当
該団体交渉の対応を行ったとまではみることができず、労働組合法第7条第3号の支配介入に当たるとまではいえない。
(2)第15回団体交渉
確かに会社は、組合等が指定した団体交渉期日に対する延期理由を具体的に伝えていないこと、平成27年4月16日から同年
5月12日まで、団体交渉開催日を組合等に連絡していないこと、などについては、その対応に疑義がないわけではない。
しかし、会社の決算月は毎年3月であることから、審問において会社が証言したように、5月末までに決算資料を作成する必要
があり、また、過去においても、4月下旬を開催期日とする組合等の団体交渉申入れに対し、実際には5月末頃に開催された経緯
も踏まえると、3月から5月は多忙な時期であったということは理解できるところである。
また、組合等が団体交渉申入書に記載した開催期限の5月末日に対して、実際には5月29日に開催しているので、組合等は会
社が期限を徒過したと認識してないことが認められる。
そのことも踏まえて、当該団体交渉経緯全体を見渡すと、会社の対応は不誠実であったとまではみることができず、当該団体交
渉における会社の対応が労働組合法第7条第2号の不誠実団交に当たるとまではいえない。
また、当該団体交渉における会社の対応が不誠実なものとまではいえないことから、会社が組合等を弱体化する意図を持って当
該団体交渉の対応を行ったとまではみることができず、労働組合法第7条第3号の支配介入に当たるとまではいえな
い。 |
掲載文献 |
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