労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  静労委平成28年(不)第2号
東海整備不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成29年9月21日 
命令区分  棄却 
重要度   
事件概要   本件は、会社の臨時社員として、6か月間の有期雇用契約により床面定期清掃等に従事していたA2が、会社の人員に1名の余剰が生じたとして、契約満了をもって雇用契約を終了し更新を行わない旨の通告をされ、通告どおり雇止めとなったことが不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、静岡県労働委員会は、申立てを棄却した。 
命令主文   本件申立てを棄却する。 
判断の要旨  1 A2組合員が組合員であること等についての会社の認識可能性等について
 A2組合員が平成27年9月頃に会社に採用される前から、C7支社前での度重なるビラ配布やJR静岡駅北口地下道での宣伝活動をはじめとする活動家としての活発な活動を行っていたこと等の事実自体をその頃会社が当然に認識していたと断定することは経験則に照らして困難といわざるを得ない。むしろ、会社が実際にこれらの事実を認識していたのであれば、会社としてはその親会社であるC6の経営方針に反するような活動を行うA2組合員を臨時社員として採用することはなかったと考えるのが自然である。したがって、少なくとも平成27年9月頃のA2組合員の採用時点までには会社がA2組合員の活動家としての活動を知っていたと結論付けることはできない。
 A2組合員や組合自身の対外的な振る舞いや交渉態度等も併せて考慮すれば、本件雇止め時点において会社がA2組合員を組合員である等と認識していた、あるいは容易に認識できたとは認め難い。
2 本件雇止めの理由の合理性について
 A2組合員が所属していた特別清掃A班が担当する主要な業務であるC2の定期清掃において、前年比で約389万円もの売上げ減少が合意された状況においては、財務状況に特段の問題が発生していなくとも、会社が将来の経営の安定や合理化の要請から、前記売上額の減少と見合った経費を削減するために人員整理を検討しこれを実行することは、必ずしも経営上不相当な行為と評価することはできない。
 また、B2事業所では、平成28年2月時点で、C2の定期清掃のみならず他の業務においても相当額の減収が見込まれていたことが認められる。したがって、静岡駅清掃班に欠員が生じた問題についても、既存の人員操配で対応できる見通しに立ち、配置転換も新たな採用も行わないという経営判断を行ったとしても、直ちに不合理とまではいえない。  
 さらに、会社内でC2の業務量減少問題がC2側の申入れを契機として平成27年11月頃に顕在化してから同所の定期清掃を担当する部署に所属する人員削減を検討するに至った一連の経緯や、有期労働契約者に関する一定の労務管理基準を参考にしながらB2事業所内の有期労働契約者のうち更新歴が一人だけないA2組合員を雇止め対象者に選定したという会社が主張する経過は、いずれも自然で一応の合理性が認められる。  
 以上の事実関係からすれば、会社の主張する本件雇止めの理由が、社会通念に照らして著しく不合理であるとは認められない。  
3 A2組合員が組合員であること等をもって本件雇止めが行われたと認めるに足る事情は見出し難く、本件雇止め時点において、会社に不当労働行為意思があったと認めることはできない。
4 よって、本件雇止めが労働組合法第7条第1号の不利益取扱いに該当するとする組合の主張には理由がない。 
掲載文献   

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