労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  道労委平成28年(不)第3号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y法人(「法人」) 
命令年月日  平成29年7月28日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、平成27年度期末・勤勉手当(以下「手当」という。)に係る団体交渉において、被申立人が、①組合に団体交渉継続の意思がないなどとして交渉を打ち切ったこと、②手当の支給割合の引下げ及びそれに伴う給与改正について、自らの見解の内容や根拠を具体的かつ明確に説明しなかったこと、が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、北海道労働委員会は、法人に対し、誠実団交応諾、団体交渉において不誠実な対応を行うことによる支配介入の禁止、①②について文書の掲示を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、被申立人の教職員の期末・勤勉手当に係る団体交渉において、自らの主張に固執することなく、申立人の要求事項に対して自らの見解の内容や根拠を具体的かつ明確に示して申立人の納得を得るよう努力するなど、誠実に団体交渉を行わなければならない。
2 被申立人は、前記1に係る団体交渉において不誠実な対応を行うことにより、申立人の運営に支配介入してはならない。
3 被申立人は、次の内容の文書を縦1メ-トル、横1.5メートルの白紙にかい書で明瞭に記載して、被申立人の中央棟の正面玄関の見やすい場所に、本命令書写し交付の日から7日以内に掲示し、10日間掲示を継続しなければならない。
               記
 当法人が、貴組合に対して行った次の行為は、北海道労働委員会において、労働組合法第7条第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認定されました。今後、このような行為を操り返さないようにします。
               記
1 平成27年度期未・勤勉手当に係る団体交渉において、当法人が、貴組合に団体交渉継続の意思がないとして団体交渉を打ち切り、団体交渉を行う意義を実質的に失わせることにより、団体交渉を拒否したこと。
2 平成27年度期末・勤勉手当に係る団体交渉において、当法人が、自らの主張に固執し、交渉事項に対して自らの見解の内容や根拠を具体的かつ明確に示して貴組合の納得を得るよう努力せず、誠実な対応をしなかったこと。
3 当法人が、前記1及び2の団体交渉において、団体交渉を拒否したり、不誠実な対応をすることにより、貴組合の運営に支配介入をしたこと。
  平成年 月 日(掲示する日を記載すること)
 組合
  執行委員長 A1 様
法人         
理事長 B1

 
判断の要旨  1 団交拒否及び不誠実団交の成否について
(1)平成27年度6月期手当に係る団交について
① A2書記長の6月26日の電子メールの内容は、団交継続の意思がないことを示すものではないこと等からすると、組合に団交継続の意思がなかったとすることはできない。
 A2書記長の7月2日のメールは、以後の団交全てにつき継続の意思がないことを示すものではなく、組合が7月2日の団交に応じなかったことをもって、組合に団交継続の意思がないものとして団交を打ち切った法人の判断は早計であり、団交打切りの正当理由として認めることはできない。
 支給時期が過ぎたとしても、団交を打ち切るのではなく、教職員の生活にできるだけ負担をかけない方策につき組合との間で協議することも考えられるところ、そのような方策につき協議することなく団交を打ち切っているので、これ以上支給時期が遅延することは望ましくないと考えたから団交を打ち切ったとする法人の判断に、正当理由を認めることはできない。
 5月21日の団交はB7理事の権限の点を棚上げしていることなどから、組合が法人に対し、B7理事の団交代表権限を証することを要求したこと、組合は、申入書の提出に必ずしもこだわらない姿勢をみせているので、組合が正式な申入書を提出してほしいと要求をしたこと、法人の開示しない旨の回答後も団交が行われているので、組合から法人に対し、理事会議事録を開示するよう求めたことをもって、それぞれ不当に協議・交渉に応じなかったということはできない。
 さらに、組合は、法人に対し、検討の新たな材料もなしに交渉しても埒が明かないとの主張もしているが、検討の新たな材料とは、6月期の支給割合を削減の理由を付けて文書で組合に申し入れること及び教職員の生活を配慮し再考した提案をすることであると説明しており、このような組合の要求をもって、不当に協議・交渉に応じなかったということもできない。
 以上のとおり、6月期手当の支給に係る交渉議題について、法人が団交を打ち切ったことにつき正当理由は認められず、法人の行為は団交を拒否したと評価されるべきものであるから、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たる。
② 法人としては、財政状況が逼迫しているから手当等の人件費の抑制・削減を図る必要があると説明するだけではなく、3.0か月を提案する具体的根拠について、できるだけ丁寧に説明するとともに、自己の主張を裏付けるのに必要な資料を提供するなどして、誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する必要がある。
 この点、法人は、組合に対し、6月期手当に係る団交が開催される前から、法人の財政状況につき説明し資料を提供していたことが認められるが、その説明は第四次基本計画が挫折し人件費につき更なる支出削減をしなければならないことを内容とし、提供した資料は予算・決算の数字や同計画の推移の概略を内容とするものであり、組合が、団交において、3.0か月を提案する根拠資料の提出を求めたのに対し、法人が提出した資料のうち手当の支給割合について直接関係する資料は「平成27年度期末・勤勉手当の削減について(資料)」のみで、しかもこの資料には、年間3.0か月の具体的根拠を示す説明はなかったから、3.0か月を提案する具体的根拠の説明及びそれを裏付けるのに必要な資料の提出のいずれについても、法人の対応を十分であるということはできない。
 また、暫定支給を求める組合の要望に耳を傾けることもなく、自らの提案に係る具体的な説明及び資料の提供のいずれについても十分とはいえない中、組合に団交継続の意思が見られないと早計に判断して団交を打ち切っている。
 そして、当初提案に0.3か月分上乗せして3.30か月と定めた具体的根拠の説明及び資料の提供のいずれについても、十分に行っていない。
 以上のような法人の対応は、丁寧な説明と資料の提供を尽くして合意達成の可能性を模索しようとする姿勢とは隔たりがあり、不誠実であると評価されてもやむを得ないものである。
 したがって、6月期手当に係る法人の行為は、不誠実であると評価せざるを得ず、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たる。
(2)平成27年度12月期手当に係る団交について
① 組合は、11月26日の団交で、双方の主張に開きがあるので努力してそれを詰めていきたいとも述べており、合意に向けて歩み寄る姿勢があることを示しているので、組合の要求内容が変遷したため合意に向けての話合いができなかったとする法人の主張を認めることはできない。
 支給日が迫っていることを理由に、提案のとおりに本支給を行うと述べて、実際にそのとおり実施した法人の行為は、12月期手当に係る議題について、団交を継続する意義を実質的に失わせるものであり、団交を打ち切ったと評価されてもやむを得ないものであり、また、打ち切ったことにつき正当理由を認めることもできない。
 したがって、12月期手当を交渉議題とする法人の行為は、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たる。
② 12月期手当に係る団交での法人の対応は、手当の支給割合の説明についても、主張を裏付ける資料の提出についても、いずれも不十分なまま、交渉継続を求める組合の要求を拒否し、交渉議題である12月期の手当に係る本支給を実施して、同手当に係る団交を継続する意義を実質的に失わせたものと評価できる。
 このような法人の対応は不誠実であり、労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たる。
2 支配介入について
 法人は、6月期手当及び12月期手当に係る各団交において、団交拒否及び不誠実な対応をしたものであり、このような行為は、組合の存在を軽視し、組合の弱体化を招く行為であるから、労働組合法第7条第3号で定める支配介入に当たる。 
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