労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  都労委平成27年(不)第44号
大和製作所不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成29年6月20日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、B1社長が、転職活動を行っているか否かを尋ね、退職するのであれば年明けに退職届を提出するよう促す発言をした(以下「本件発言」という。)ことに対し、退職勧奨と受け止めたA2の組合加入後に、①会社がA2に対する役職手当の廃止や交通費名目での支給等の特別待遇を廃止したこと、②B1社長が団体交渉において組合のチラシ配布に関して発言したこと、③B1社長がA2の左手を蹴ったこと、が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、東京都労働委員会は、会社に対し、役職手当の廃止及び交通費名目の支給の取りやめをなかったものとしての取扱い及びバックペイ、支配介入の禁止、①ないし③について文書の交付・掲示並びに履行報告を命じた。 
命令主文  1 被申立人会社は、申立人組合の組合員A2に対する平成27年2月支給分以降の給与において、月額3万2,000円の役職手当の廃止及び交通費名目での月額2万1,000円の支給の取りやめをなかったものとして取り扱い、同人に対し、27年2月支給分以降の上記各相当額を支払わなければならない。
2 被申立人会社は、申立人組合が行うチラシの配布を非難するなどして、申立人組合の組合活動に支配介入してはならない。
3 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付するとともに、同一内容の文書を55センチメートルx80センチメートル(新聞紙2頁大)の白紙に、楷書で明瞭に墨書して、会社内の従業員の見やすい場所に、10日間掲示しなければならない。

年  月  日
 組合
  委員長 A1 殿
会社            
代表取締役 B1

 当社が、貴組合の組合員A2氏に対し、平成27年2月支給分以降の給与において月額3万2,000円の役職手当を廃止し、同年1月20日以降社有車貸与、ガソリン代の負担及び交通費2万1,000円の支給を取りやめた上、電車通勤を前提とする交通実費相当額のみを支払うこととしたこと、当社代表取締役が27年3月5日の団体交渉において貴組合が行うチラシの配布を非難するなどしたこと並びに4月13日に当社代表取締役がA2氏に対して有形力の行使をしたことは、いずれも東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないように留意します。
 (注:年月日は、文書を交付又は掲示した日を記載すること。)
4 被申立人会社は、第1項及び前項を履行したときは、当委員会に速やかに文書で報告しなければならない。
 
判断の要旨  1 会社がA2に対する特別待遇を廃止したこと(本件役職手当を廃止したこと並びに社有車貸与、ガソリン代の負担及び本件交通費の支給を取りやめた上、A2が電車で通勤することを前提とする交通実費相当額のみを支払うこととしたこと)が組合員であるが故の不利益取扱い及び組合の運営に対する支配介入に当たるか否か(争点1)
 単に本件交通費を交通実費相当額に改定したものではなく、会社が、A2に対し、ガソリン代の負担を含む社有車貸与を行い、かつ、本件交通費2万1,000円も支給していた取扱いを、交通実費相当額2万7,480円のみを支給する取扱いにしたものであるから、A2にとって不利益な取扱いであることは明らかである。
 B1社長は、A2が同社長に直接相談せずに組合に加入したことに不満を抱き、第1回団体交渉において、本件発言を撤回するのに併せて特別待遇の廃止を通告したものであって、A2が組合に加入し、組合が申し入れた団体交渉において本件発言を撤回することとなったことによって、特別待遇を廃止するとの具体的な意欲を持つに至ったものと認められる一方、特別待遇の廃止はA2の組合加入や団体交渉申入れとは無関係であるとする会社の主張はいずれも認められないのであるから、会社がA2に対する特別待遇を廃止したこと(本件役職手当を廃止したこと並びに社有車貸与、ガソリン代の負担及び本件交通費の支給を取りやめた上、A2が電車で通勤することを前提とする交通実費相当額のみを支払うこととしたこと)は、A2が組合に加入したこと故の不利益取扱いに当たるとともに、会社従業員に組合加入を躊躇させる支配介入にも当たる。
2 B1社長が第2回団体交渉において組合のチラシ配布に関して発言したことが、組合の運営に対する支配介入に当たるか否か(争点2)
 配布の場所は、会社占有の敷地内であったものの、組合チラシを配布したA2も、それを受け取る従業員も休憩時間中であって、会社の業務遂行に具体的な支障が生じたとの事実も認められない態様であったといえる。しかも、会社の就業規則の規定を見ても、組合チラシの配布を直接禁じたものということはできない。
 したがって、A2が行った本件配布行為は、正当な組合活動の範囲内のものというべきである。
 これに対して、B1社長は、第2回団体交渉において、本件配布行為に関連して、「会社を潰す、漬すの。」などと述べたり、働き続けるために組合活動をしているとのA3書記長の発言に対し、「良くしたいのかどうかは分からないけどね。」などと述べたりした。
 こうした発言内容からみれば、B1社長の発言は、単に組合チラシの配布に当たって許可を取るよう求めたものとはいえず、組合加入の勧誘を強い調子で非難したものであり、組合の組織拡大を嫌い、これをけん制することを意図したものであるといわざるを得ない。
 よって、第2回団体交渉における、組合チラシの配布に関するB1社長の発言は、組合の運営に対する支配介入に当たる。
3 4月13日にB1社長がA2の左手を蹴った事実があったか否か、このような事実があったとすれば、この行為が組合の運営に対する支配介入に当たるか否か(争点3)
 B1社長は、A2がICレコーダーを所持していることについて怒っていたこと、蹴られたと述べたA2に対し、同社長は、「お前に当たってるわけねえだろ、お前。」と発言していることから、同社長が何らかの有形力を行使したことがうかがえる。また、A2は、事務所を退出した後、B1社長に蹴られたことをメールで報告し、病院にて左第2指挫傷の診断を受けている。
 このような前後の事実関係や、B1社長が本件行為を行うことが困難であるとの事情は見当たらないことからすると、同社長は、A2がICレコーダーを所持していたことに怒り、自席から立ち上がり、自らの足を蹴り上げたところ、その足はA2の手又は同人が手に持っていたICレコーダーに当たったものと認められる。
 本件行為は、協定書の締結を巡る口論に端を発するものであるから、就業時間中のことではあっても、A2の組合活動に対して行われたものである。そして、会社の代表者であるB1社長が有形力の行使を行ったのであるから、組合活動に対する抑止効果が全くなかったということはできない。このことに加えて、組合活動については労働組合法第1条第2項において、「いかなる場合においても、暴力の行使は、労働組合の正当な行為と解釈されてはならない。」と定められていることも踏まえると、B1社長によるA2に対する本件行為は、組合の運営に対する支配介入に当たるというべきである。 
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