労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  都労委平成28年(不)第25号
THE不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成29年5月9日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、①組合からの、A4ら10名の雇用や賃金から天引きした振込手数料の返金等に係る団体交渉申入れに対し、振込手数料の天引きを了承しなければ今後の雇用についての話合いに応じないと述べて団体交渉に応じなかったこと、②組合が改めて上記団体交渉を申し入れたところ、組合との間で予定されていたA2及びA3の未払賃金等に係る団体交渉について、組合に対し、A2及びA3の件とA4ら10名の件との要求事項等の整理を求め、団体交渉の開催に応じなかったこと等が不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、東京都労働委員会は、団交応諾及び文書の交付を命じた。  
命令主文  1 被申立人会社は、申立人組合が平成28年1月27日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。
2 被申立人会社は、本命令書受領の日から1週間以内に、下記内容の文書を申立人組合に交付しなければならない。

年  月  日
 組合
  中央執行委員長 A1 殿
会社          
代表取締役 B1

 当社が、貴組合の平成27年12月14日付け、22日付け、28年1月13日付け及び27日付けの各団体交渉申入れに応じなかったことは、東京都労働委員会において不当労働行為であると認定されました。
 今後、このような行為を繰り返さないよう留意します。
 (注:年月日は文書を交付した日を記載すること。)
3 被申立人会社は、前項を履行したときは、速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。
 
判断の要旨  1 会社は、組合の平成27年12月14日付け、22日付け、平成28年1月13日付け及び27日付けの各団体交渉申入れに応じておらず、団体交渉は開催されていない。
 会社は、団体交渉を拒否する意思も拒否した意思もなく、多忙な中でスケジュール調整をしていると主張するが、会社は、本件各団体交渉申入れに対し、具体的な回答や日程の調整を全く行わないまま、開催に応じていないのであるから、会社の主張は、採用することができない。
2 会社は、A3と平成28年3月15日に和解したと主張するが、同人は、同日付「覚書」及び同「普通退職ならびに債権債務不存在の確認書」の内容がB1社長の説明とは異なっていたため、会社が振り込んだ金員を6月3日に返金しているのであるから、会社とA3との間で未払賃金の問題が解決したということはできない。
 会社は、平成27年12月分の組合員の賃金を平成28年1月29日に振り込んだとも主張するが、会社が支給したのは、会社の計算した給与額であって、組合の要求額とは異なっている上、会社は、組合の要求する解雇予告手当及び振込手数料天引き分は、支給していない。そして、組合が、平成28年6月17日、組合の計算による未払賃金額等の資料を会社に送付したのに対し、会社は何ら応答していないのであるから、組合と会社との間に未解決の未払賃金問題が存在していることは明らかであり、団体交渉開催の必要性は失われていない。
3 以上のとおり、団体交渉を開催していないことに理由があるとする会社の主張は、いずれも採用することができず、このほかに、会社が団体交渉に応じないことに正当な理由があると推認できるような事情は特に認められないことから、会社が本件各団体交渉申入れに応じなかったことは、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。
4 なお、本件申立て後の平成28年6月10日に当委員会の立会団交が行われたが、立会団交で組合員の未払賃金等の問題が解決したわけではなく、その後、組合が立会団交を踏まえて改めて未払賃金等を請求したのに対し、会社は何ら応答していないのであるから、立会団交が行われた事実は、上記判断を左右しない。
 
掲載文献   

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