労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成27年(不)第66号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成29年8月7日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   平成27年12月3日、組合が組合結成した旨を会社に通知し、同月7日、A1組合員らが、一部店舗を訪問し、文書を会社従業員に配布したところ、会社は同月8日にA1組合員、同月9日にA2組合員に対し、雇用契約解除通知を手交した。
 本件は、組合を結成し、組合活動を開始した直後、会社がA1組合員及びA2組合員に対し、雇用契約解除を通知したことが不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、大阪府労働委員会は、バックペイの支払い及び文書の手交を命じた。  
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員A1及び同A2に対する平成27年12月10日付けの通知がなかったものとして取り扱い、同人らの雇用契約が更新されていれば得られたであろう賃金相当額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。

年  月  日
 組合
  分会執行委員長 A1 様
会社          
代表取締役 B1

 当社が、貴組合員A1及び同A2に対し、平成27年12月10日付けで、同28年1月10日にて雇用契約を終了する旨通知し、同日限りで両組合員の雇用契約を更新しなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。  
判断の要旨  争点(会社が、平成28年1月10日限りで本件組合員2名の雇用契約を更新しなかったことは、組合員であるが故に行われた不利益取扱いに当たるといえるか。)について
1 本件雇用契約解除通知と本件組合員2名の雇用契約の不更新の関係について
 会社は、本件雇用契約解除通知に基づき、通知どおりに、平成28年1月10日を限りとして、本件組合員2名の雇用契約を更新しなかったのであるから、本件雇用契約解除通知と本件組合員2名の雇用契約を更新しなかったことは、一連のものとみるのが相当である。
2 本件雇用契約解除通知が組合員であるが故に行われたものであるかについて
(1) 本件雇用契約解除通知を行った理由について
 会社は、会社が本件組合員2名に雇用契約の終了を申し入れたのは、不採算店舗からの撤退が理由である旨、B3店の売上が回復しないことから、やむなく同店から撤退することとし、本件組合員2名に雇用契約の終了を申し入れた旨主張する。
 本件審査において会社から提出されたB3店の収支状況の表によれば、B3店は平成27年7月以降、赤字が続いており、また、会社は、平成28年1月10日にB3店から撒退していることは認められる。
 ところで、B3店で勤務していた本件組合員2名と会社との間の雇用契約をみると、本件組合員2名の勤務場所がB3店に限定されていたと認めるに足る疎明はなく、会社においては、勤務場所は1か所に限定されていなかったとみるのが相当である。
 また、平成28年1月10日にB3店から撒退した後も、会社従業員がワゴンサービスを行っているパチンコ店は、同年2月1日現在において、計44店舗あることからすると、B3店撤退後も会社においてワゴンサービスを行う店舗は存在し、しかも、その店舗には、かつてA1組合員が勤務していた店舗も含まれている。
 以上のような状況において、会社は、本件組合員2名に雇用契約の終了を申し入れた理由としてB3店からの撤退を挙げるが、これのみをもって、本件雇用契約解除通知を行った合理的な理由であるとみることはできない。
(2) 本件雇用契約解除通知の手続について
① 会社は、撤退店舗で勤務する従業員に対する雇用契約解除手続について、継続して勤務を希望する従業員には、他店舗での勤務の意向を確認することを原則としていた旨主張するところ、本件雇用契約解除通知を本件組合員2名に手交する以前に、他店舗での勤務の意向を確認したと認めるに足る疎明はない。
② 会社は、A1組合員については、他店舗で勤務する意思があるかどうかについて、会社から問いかけている旨、A2組合員については、引き続き会社で勤務する意思がないことが明らかであったため他店舗での勤務の意思の有無について問いかけなかった旨主張する。
ア A1組合員について
 平成27年12月25日、B4部長がA1組合員に対し、ソーシャルネットワーキングサービスを利用して雇用契約解除後も勤務する意思があるか尋ねたこと等が認められる。
 会社が主張する意向確認とは、上記のやり取りのことを指すものと思われるが、これらは、いずれも、本件雇用契約解除通知後になされたものであり、その内容をみても、雇用契約解除後のことを尋ねているにすぎず、会社主張は採用できない。
イ A2組合員について
 平成27年12月5日におけるA2組合員とB4部長との会話の詳細は判然とせず、A2組合員が労働組合を作って会社を潰す旨の発言を行ったと認めるに足る疎明はない。また、27.12.28会話からすると、会社会長は、平成27年l2月5日にA2組合員が会社を潰すとの意思を表明したとは捉えていないことが窺える。そして、会社において人事労務管理は、B4部長が会社役員と相談の上、決定されていたことに鑑みると、会社役員である会社会長は、A2組合員が会社を潰すとの意思を表明したとは捉えていないのであるから、会社において、A2組合員が会社で勤務する意思がないと判断するのは、拙速であるといえ、会社主張は採用できない。
(3) 本件雇用契約解除通知に至る経緯について
 会社は、平成27年12月5日に本件組合員2名が組合員であることを認識し、同月7日に組合が組合活動を開始したことを認識した翌日ないし翌々日に、本件雇用契約解除通知を本件組合員2名に手交したと認められる。
(4) 以上のことを総合すると、本件雇用契約解除通知をしたことに合理的な理由はなく、また、会社が撤退店舗からの通常の雇用契約解除の手続を踏まずに、組合が結成され、組合活動が開始した直後に本件雇用契約解除通知をしたことからすると、会社が、本件雇用契約解除通知を行ったのは、組合が組合結成や組合活動を開始したことを認識し、組合及び組合員を職場から排除することを企図して行ったとみるのが相当である。
(5) 上記判断のとおり、本件雇用契約解除通知は、組合員であるが故に行われたものであるところ、本件雇用契約解除通知と本件組合員2名の雇用契約を更新しなかったことは一連のものであるから、会社が、平成28年1月10日限りで本件組合員2名の雇用契約を更新しなかったことは、組合員であるが故に行われた不利益取扱いであって、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為である。
 
掲載文献   

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