概要情報
事件番号・通称事件名 |
大阪府労委平成28年(不)第26号及び第31号 不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X組合(「組合」) |
被申立人 |
Y会社(「会社」) |
命令年月日 |
平成29年7月11日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、会社が、A2組合員の未払賃金や有給休暇に係る賃金の計算方法等を議題とする団体交渉申入れに対し、1回目の団体交渉申入れには応じたものの、その後の団体交渉申入れにはいずれも応じないことが不当労働行為であるとして救済申立てのあった事件で、大阪府労働委員会は、団交応諾・文書手交を命じた。
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命令主文 |
1 被申立人は、申立人が平成28年5月19日付け、同年6月24日付け及び同月27日付けで申し入れた団体交渉に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
記
年 月 日
X組合
執行委員長 A1様
会社
代表取締役 B1
当社が、平成28年5月19日付け、同年6月24日付け及び同月27日付けで貴組合が申し入れた団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
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判断の要旨 |
1 争点1(28.5.19団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否に該当するか。)について
会社は、A2組合員がリストカットをし、警察が出動する騒ぎがあったと連絡があったことから、団交を行うことはA2組合員の健康状態の悪化、ひいては再度の自殺未遂に走る危険性があると判断したため、やむなく団交の開催を中止する旨の回答を行ったのであり、団交拒否には正当な理由がある旨及び組合の反論や反証がなかったことをもって、A2組合員がリストカット行為をしたことは事実である旨主張する。
しかしながら、そもそも団交の出席者は双方が自主的に決定すべきことであるから、組合からの団交申入れに対して、特定の組合員が団交に出席する可能性があること、そして当該組合員が出席した場合には、当該組合員の健康状態が悪化するおそれがあること等を理由に団交を拒否することは、認められるものではなく、会社の主張は失当である。
したがって、28.5.19団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否であって、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。
2 争点2(28.6.24及び28.6.27団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否に該当するか。)について
会社は、28.6.22団交において、組合がA2組合員を無理に出席させようとしたため、A2組合員の健康状態の悪化、再度の自殺未遂に走る危険性に鑑み、団交を拒否したものであり、正当な理由が認められる旨及び団交拒否により、A2組合員の休職期間延長に係る交渉がなされなかったとしても、A2組合員の健康状態を重視すべきであり、やむを得ず団交を開催できなかったことから、不当労働行為には該当しない旨主張する。
しかしながら、誰を団交に出席させるかは、双方が自主的に決めることであり、会社が特定の出席者を理由にあらかじめ団交の開催を拒否することは許されないこと及び組合員の健康状態の悪化のおそれも団交を拒否する正当な理由になり得ないことから、会社の主張はいずれも採用できないばかりか、当該組合員の身分にも関わる極めて重要な義務的団交事項の申入れにも、このような主張に殊更固執して団交を拒否し続けることは、使用者の対応として、誠に遺憾であると言わざるを得ない。
以上のとおり、28.6.24及び28.6.27団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否であって、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。
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掲載文献 |
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