労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成26年(不)第60号
不当労働行為審査事件  
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成29年5月9日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、①組合員の技術手当及び基本給を減額し、奨励手当を支給しなかったこと、②団体交渉における組合員に係る申立人との確認事項を実行していないこと、③会社従業員が、組合員に対し、求人面接で組合に加入しない約束で入社させている旨発言したこと、④開催予定の団体交渉が開催されなかったこと、⑤会社が、団体交渉において組合員に対し有期雇用契約の締結を求めたこと及び同団体交渉に非組合員を出席させたこと並びに団体交渉における会社代表者等の発言、⑥会社が、非組合員によって会社内に組織された団体への参加を呼びかけたことが不当労働行為に当たるとして救済申立てのあった事件で、大阪府労働委員会は、会社に対し、技術手当、基本給等の減額がなかったものとしての取扱い及びバックペイ、団体交渉確認事項の実行及び文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。  
命令主文  1 被申立人は、申立人組合員A2に対する平成26年1月からの技術手当の減額並びに同年4月分からの基本給の減額及び奨励手当の不支給、並びに申立人組合員A3に対する同月分からの基本給の減額が、それぞれなかったものとして取り扱い、当該減額等がなければ得られたであろう基本給、技術手当及び奨励手当との差額を支払わなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、平成26年5月22日に開催された団体交渉における申立人組合員A2及び同A3に係る申立人との確認事項を実行しなければならない。
3 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年 月 日
 組合
  執行委員長A1様
会社        
代表取締役B1
 当社が行った下記の行為は、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。
                 記
(1) ①平成26年1月分から貴組合員A2氏の技術手当を減額し、②同年4月分から貴組合員A2氏及び同A3氏の基本給を減額し、③同月分から貴組合員A2氏に奨励手当を支給しなかったこと(第1号・第3号違反)。
(2) 平成26年5月22日に開催された団体交渉における貴組合員A2氏及び同A3氏に係る貴組合との確認事項を実行しなかったこと(第2号違反)。
(3) 平成26年7月15日及び同月31日に開催を予定されていた、同月8日付けの団体交渉申入れに係る団体交渉に応じなかったこと(第2号違反)。
(4) 平成26年9月12日に開催された団体交渉に当社従業員B2、同B3及び同B4を出席させたこと(第2号違反)。
(5) 平成26年9月12日に開催された団体交渉において、①当社代表取締役B1が、組合云々ではなくて個人としての意見を聞きたい旨、②当社従業員B3が、組合員2名は組合に契約を投げてしまっている旨、それぞれ述べたこと(第3号違反)。
4 申立人のその他の申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 会社が、平成26年1月分から、A2組合員の技術手当を減額し、同年4月分からA2組合員及びA3組合員の基本給を減額し、同月分からA2組合員に奨励手当を支給しなかったことは、組合員加入通知や不当労働行為の救済申立て等を契機として、組合員であるが故に行われた不利益取扱いに当たる。
 また、会社が、組合と事前協議し、合意に至ることなく基本給の減額等を行ったことは、7.3.28確認書等に違反しており、かかる行為は組合に対する支配介入に当たる。
2 会社が、26.5.22団交におけるA2組合員及びA3組合員に係る組合との団交事項を合理的理由もなく実行していないことは明らかであり、このような会社の対応は、組合にとって団交の成果である合意を無視し、交渉を実質的に無意味にするもので、不誠実であるといわざるを得ず、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。
3 平成26年5月28日、B2工場長及びB3社員が、A3組合員に対し「求人面接で組合に加入しない約束で入社させている」と発言したと認めるに足る事実の疎明はなく、当該発言は会社による組合に対する支配介入であるとの組合の主張は採用できない。
 その余を判断するまでもなく、この点に係る組合の申立ては、棄却する。
4 会社が、平成26年7月15日及び同月31日に開催を予定されていた団交へ出席しなかったことに、正当な理由があるとみることはできず、かかる会社の対応は、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為である。
5 26.9.12団交に係る会社の対応について
(1) 会社が、26.9.12団交において、A2組合員に対して、有期雇用契約の締結を求めたことは不利益取扱いには当たらない。
(2) 会社が、非組合員3名を26.9.12団交に出席させることで団交の円滑な進行が阻害される状況となることが容易に推測できた状況であるにもかかわらず、非組合員3名の出席を会社の代表として認め、うち1名には出席を依頼している。
 非組合員3名が出席したことにより、26.9.12団交は進行を妨害されたといえることから、会社が26.9.12団交に非組合員3名を出席させたことは不当労働行為に当たる。
(3) 26.9.12団交において、B1社長が、組合云々ではなく個人としての意見を聞きたい旨述べたこと、B4社員が、雇用契約は会社内の契約で組合と締結しないにもかかわらず、組合員2名は、組合に契約を投げてしまっている旨述べたことは、組合への支配介入に当たる。
6 会社内に非組合員に組織された団体があったということはできないから、その余について判断するまでもなく、(会社が、当該団体への参加の呼びかけを行ったことが組合に対する支配介入に当たるとする)組合の申立てを棄却する。  
掲載文献   

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