労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成27年(不)第63号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成29年3月14日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、組合が平成27年11月2日付けで申し入れた、①A2の異動及び異動に伴う降格、減給の理由について、②介護の支援体制及び制度について、等を議題とした団体交渉に、平成27年11月27日応じたものの、当該団体交渉(以下「11.27団交」という。)において、誠実に対応しなかったことが不当労働行為に当たるとして救済申立てのあった事件で、大阪府労働委員会は、会社に対し、誠実団交及び文書手交を命じた。  
命令主文  1 被申立人は、申立人が平成27年11月2日付けで申し入れた団体交渉に誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年 月 日

 組合
  執行委員長 A1 様
会社        
代表取締役B1
 当社が、貴組合との間で行われた平成27年11月27日の団体交渉において、誠実に対応しなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。

 
判断の要旨  1 11.27団交における会社の態度が不誠実団交に当たるかについて
 11.27団交におけるやり取りにおいて、会社は、組合からA2組合員が関西勤務となった経緯並びに東京への人事異動に係る就業規則の該当条項及びその理由を明らかにするよう求められたにもかかわらず、これらについて回答していない。また、会社は組合に対し、A2組合員の降格と東京本社に異動になった理由について、関西での実績がない旨述べてはいるものの、組合が求めた神戸事業所を立ち上げる計画については提示しておらず、計画の有無についても回答していない。
 この点、会社は、団交の序盤における組合とのやり取りによって組合から威圧的な対応がなされたため、無言となった旨主張する。しかし、組合が会社に対し、序盤のやり取りで威圧的な対応を行ったと認めるに足りる疎明はなく、会社主張は採用できない。
 そうすると、会社の説明は、自らの主張の根拠を具体的に示したものであったとまではいうことができないから、11.27団交での会社の対応は、組合やA2組合員が理解し、納得することを目指して、誠意をもって団交に当たったものとまではいうことができず、誠実な対応を通じて合意達成の可能性を模索する誠実団交義務を尽くしたということはできない。
2 会社は12.10団交において誠実に対応しており、不誠実団交と評価される事情はない旨、主張する。
 会社は12.10団交において、A2組合員の異動及びそれに伴う降格の理由について、実績がなかった、成約が無かった旨の説明はしているものの、11.27団交と同様に、組合が求める事業計画や業務計画等の具体的な資料を示しておらず、具体的な根拠をあげて組合に説明していたとはいえない。また、同団交の席上で会社は組合に対し、本心を言えば組合と話したくない旨、不誠実団交と思われてもよいが、社外の組合の方を本来は認めたくない旨発言しており、誠意をもって12.10団交に当たったとはいえない。
 したがって、12.10団交における会社対応をみても、会社は誠実に対応したとはいえず、会社の主張は採用できない。
3 以上のとおりであるから、11.27団交における会社の対応は、不誠実団交に当たり、労働組合法第7条第2号に該当する。  
掲載文献   

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