労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  福岡労委平成28年(不)第4号
方城福祉会不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y法人(「法人」) 
命令年月日  平成29年3月10日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要  1 平成25年5月24日、法人はA2に対して、就業規則の懲戒解雇理由に該当する行為があったとして、平成24年9月24日に遡及して懲戒解雇したところ、A2は法人との間の雇用関係の確認及び法人に対する判決確定までの未払賃金の支払い等を求めて福岡地裁田川支部に訴訟を提起した。
 平成27年9月18日、同支部は、A2の職務怠慢行為を認めたが、当該行為は懲戒解雇事由には当たらないとして、A2と法人の間の雇用契約を確認するとともに、法人に対し未払い賃金等の支払いを命じる判決を言い渡したところ、法人は控訴せず、同判決は確定した。
 A2は、従前、育成課介護職をしていたが、法人は、平成28年2月1日、同人の復職後の配置先を総務課(営業修繕)とした。
2 本件は、法人が、組合の組合員A2を平成28年2月1日付けで、育成課から総務課(営業修繕)へ配転を行ったこと(以下「本件配転」という。)、②A2に対して平成27年季賞与を支給しなかったこと、③A2の育成課への復職等に関する、組合の平成28年2月1日付け、同月29日付け及び同年3月18日付け団体交渉申入れに応じなかったことが不当労働行為に当たるとして救済申立てのあった事件で、福岡県労働委員会は、法人に対し、団交応諾及び文書交付を命じ、その余の申立てを棄却した。  
命令主文  1 被申立人法人は、申立人組合が平成28年2月1日付け、同月29日付け及び同年3月18日付けで申し入れた各団体交渉要求に速やかに応じなければならない。
2 被申立人法人は、本命令書写しの交付の日から10日以内に、次の文書を組合に交付しなければならない。
平成 年 月 日
組合
執行委員長 A1 殿
法人     
理事長 B
 
 当法人が、貴組合からの平成28年2月1日付け、同月29日付け及び同年3月18日付け各団体交渉要求に応じなかったことは、福岡県労働委員会によって労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為と認定されました。  
 今後このような行為を行わないよう留意します。
3 その余の申立てを棄却する。  
判断の要旨  1 本件配転について
① 総務課においては、本棒のほかに調整手当(本棒の4パーセント)が支給されるが、育成課で勤務すれば支給される特殊勤務手当(本棒の12パーセント)、夜間業務手当(1回当たり6,000円)等が支給されないため、賃金が減額になる。よって、本件配転には不利益性は認められる。
② 法人は、27年10月8日までにA2を育成課には配置しない方針を決め、遅くとも同年11月11日までに同人の復職後の配置先を総務課(営繕業務)とすることを決めていたと認められる。
  一方、組合が法人に対し、A2の組合加入を通知したのは、同年11月19日であり、同日以前に法人が同人の組合加入を知っていたとは認められない。
  以上のように、法人は、A2の組合加入を知る前に本件配転を決めていたのであるから、その余を判断するまでもなく、本件配転は、同人が組合員であるが故に行われたとは認められず、労組法第7条第1号に該当しない。
2 27年冬季賞与の不支給について
 27年冬季賞与の支給対象期間は、裁判により無効とされた解雇期間及び会社の都合による自宅待機期間に当たることから、A2の27年冬季賞与を不支給とした法人の判断に疑問がないとはいえない。
 しかし、法人は、支給対象期間の就労の有無により賞与の支給を決めていたと認められ、このような取扱いは、A2の組合加入の前後を問わず、一貫しており、同人の組合加入によって対応を異にしたとは認められない。
 法人がA2に27年冬季賞与を支給しなかったことは、同人が組合員であることを理由としたものとは認められないから、労組法第7条第1号に該当しない。
3 団交拒否について
(1)被申立人は、組合が申し入れた協議事項については、これら3回の団交において大きな隔たりがあり、団交は平行線をたどっていた旨主張する。
① 3回の団交でのやり取りからすれば、A2の育成課への復職そのものに関しては、双方の主張が根本的に対立し交渉が進展する見込みがなくなったものと見られなくもない。
 しかし、育成課への復職に関する事項には、28年2月29日付け団交申入書の要求事項2に「平成28年2月以降の賃金不利益分を支払うこと」との記載もあるように、配置転換に伴う給与減額についての問題も含まれている。育成課から総務課(営繕業務)への配置転換により、A2の育成課での給与21万5,500円から1割以上の減額となることから、その点に関する代償措置や激変緩和措置などが協議されることも十分考えられるところであるが、法人が配置転換に伴う給与制度上の減額の内容を説明したことは認められるものの、代償措置などの点についての協議は行われておらず、それらの点について、いずれかの譲歩により交渉が進展する見込みが全くなくなったとはいえない。
② A2の懲戒解雇に係る未解決事項について、法人は、第1回団交で、A2の懲戒解雇以降の未払賞与、昇給分不足額、処遇改善加算金等の支払を内容とする「11.19要求書」に対する「12.11回答書」の内容を説明したのみであり、未払賞与、昇給分不足額などの各支給について、いずれかの譲歩により交渉が進展する見込みが全くなくなったとまでは言い難い。
(2) 被申立人は、組合が団交において具体的な意見を出さなかったとも主張する。
 しかし、組合は27年12月11日の第1回団交で初めて本件配転を知らされたこと、開催された3回の団交の合計時間が2時間30分程度にとどまること、及び28年1月28日の第3回団交は2月1日の復職日が迫る時期であったことからすれば、3回の協議がいずれもA2の配置先の問題に集中し、組合から配置転換後の給与の減額内容やそれに対する対応及びその他の処遇といった事項について具体的な意見が出されなかったこともやむを得なかったものと考えられる。
(3) そうすると、組合が28年2月1日にA2に対し総務課営繕業務を命じる辞令が交付されたことから、同日以降、改めて本件配転後の給与減額の問題などの具体的な事項を加えて団交を申し入れたことには相応の理由があったものと考えられる。
 他方、法人においても、実際にA2が総務課(営繕業務)に従事するようになった同日以降では、団交での協議内容も異なってくることは十分予測し得たものである。
(4) 以上のように、本件団交要求に対し、法人がこれを拒否する正当な理由があるとは認められないから、本件配転について、法人が、本件団交要求に応じなかったことは、労組法第7条第2号に該当する。  
掲載文献   

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