労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成28年(不再開)第1号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成29年2月21日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要  1 組合及び組合の分会は、会社と専属下請契約を締結している組合員A3の定期健康診断の再開を求めて平成25年10月2日付け団体交渉申入れ(以下「25.10.2団交申入れ」という。)及び同月19日付け団体交渉申入れ(以下「25.10.19団交申入れ」という。)を行ったが、会社は、団交応諾義務はないとして、これを拒否したところ、組合は、会社が、25.10.2団交申入れ及び25.10.19団交申入れを拒否したことが不当労働行為であるとして、大阪府労委平成25年(不)第64号事件を申し立てた。
 これに対し、大阪府労働委員会は、A3が労働組合法上の労働者に当たらないとして、申立てを棄却したが、その後の取消訴訟において、同労委の命令を取り消した大阪地裁の判決が確定した。
2 本件は、大阪府労働委員会が、行政事件訴訟法第33条第2項及び労働委員会規則第48条の規定に基づき、大阪府労委平成25年(不)第64号事件の審査を再開することを決定した事件で、同労委は、会社に対し、団交応諾及び文書手交を命じた。  
命令主文  1 被申立人は、申立人が平成25年10月2日付け及び同月19日付けで申し入れた団体交渉に応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を手交しなければならない。

年 月 日
  X組合
   執行委員長 A1 殿
会社        
代表取締役B1
 当社が、貴組合が平成25年10月2日付け及び同月19日付けで申し入れた団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。  
判断の要旨  1 会社は、A3組合員が労働組合法上の労働者に当たらないため、会社はそもそも団交に応じる義務はない旨主張するが、大阪地裁判決は、A3組合員は会社との関係において、労働組合法上の労働者であると認めるのが相当であると判示しており、当該判決が確定したことから、これに係る会社の主張は採用できず、A3組合員は会社との関係において、労働組合法上の労働者であると認めるのが相当である。
2 健康診断についての25.10.2団交申入れ及び25.10.19団交申入れに対し、会社が団交を拒否していることは明らかであるから、組合の25.10.2団交申入れ及び25.10.19団交申入れの団交事項が義務的団交事項に当たるかについてみる。
 25.10.2団交申入れ及び25.10.19団交申入れの団交事項は、請負運転手に対しても実施していた健康診断を平成25年度からは実施しないとしたことに関する事項であることが認められ、それまで実施されていた健康診断についての申入れであることは明らかである。これに加えて、上記団交議題は、労働者の健康管理について使用者が法的に実施を義務づけられている事項に関するものであり(労働安全衛生法第66条第1項)、労働条件その他の待遇について交渉を求めるものであるから、義務的団交事項に当たるといえる。
 したがって、25.10.2団交申入れ及び25.10.19団交申入れに対する会社の対応は、正当な理由のない団交拒否に当たる。  
掲載文献   

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