概要情報
事件番号・通称事件名 |
大阪府労委平成26年(不)第28号 不当労働行為事件 |
申立人 |
X組合(「組合」) |
被申立人 |
株式会社Y(「会社」) |
命令年月日 |
平成29年1月6日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
|
事件概要 |
本件は、会社が、会社の従業員である組合の申立人のA2支部長に対し、①平成23年12月から同25年5月に、指示、指導、指導記録票を交付したこと、②同23年11月以降、同25年2月から同年3月の期間を除き、開発、運用等の業務を割り当てていないこと、③同24年6月に降格し、これに伴う賃金を減額したこと、④同25年6月にも降格し、これに伴う賃金を減額したことが不当労働行為に当たるとして、救済申立てのあった事件で、大阪府労働委員会は、申立てを却下又は棄却した。 |
命令主文 |
1 平成23年12月から同25年5月に、被申立人が、申立人の支部長A2に対し、指示、指導、指導記録票を交付したことに係る申立て並びに同24年6月の同人に対する降格及び賃金の減額に係る申立ては、いずれも却下する。
2 その他の申立ては棄却する。
|
判断の要旨 |
1 争点1(平成23年12月から同25年5月に、会社が、A2支部長に対し、指示、指導、指導記録票を交付したことに係る申立ては、申立期間を徒過しているといえるか。徒過していないとした場合、それぞれの行為は、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たるか。)について
平成23年12月から同25年5月に、会社が、A2支部長に対し、指示、指導、指導記録票を交付したことに係る申立ては、行為の日から一年を経過した後の申立てであるから、労働組合法第27条第2項及び労働委員会規則第33条第1項第3号により、その余を判断するまでもなく、却下する。
2 争点2(平成23年11月以降、会社が、A2支部長に対して、開発、運用等の業務を割り当てていないことに係る申立ては、申立期間を徒過しているといえるか。徒過していないとした場合、A2支部長に対して、平成23年11月以降、同25年2月から同年3月の期間を除き、開発、運用等の業務を割り当てていないことは、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たるか。)について
(1)申立期間の徒過について
本件において、平成23年11月以降、会社がA2支部長に対してのみ、開発運用業務等を割り当てない取扱いは、労働組合法第27条第2項の継続する行為に該当するということができる。
したがって、平成23年11月以降、A2支部長に開発・運用等の業務を割り当てなかったことに係る申立ては、同項に規定する期間を徒過してなされたものには当たらない。
(2) 組合員であるが故の不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たるかについて.
① 会社が、A2支部長の平成23年9月までの業務状況から、A2支部長を一人で客先に常駐させ、単独で対応させることについて慎重になり、A2支部長に同年11月以降、社外での開発、運用等の業務を割り当てなかったことは、相当の理由があるといえ、また、A2支部長は10年近くシステム運用の仕事に従事していたこと等から、会社がスキルアップのためジャバ研修を受講するよう命じたことは相当であり、組合員であるが故の嫌がらせということはできない。
② さらに、会社は、組合に対し、A2支部長に業務を割り当てられない理由についても団交等で説明しており、組合は、開発業務に従事するためのジャバ研修の受講についても一定了解していたといえる。
③ したがって、会社が、平成23年11月以降、同25年2月から3月の札幌支社での業務を除き、A2支部長に開発、運用等の業務を割り当てていないことは、A2支部長が組合員であるが故の不利益取扱いとも組合に対する支配介入ともいえないから、組合の申立ては棄却する。
3 争点3(平成24年6月のA2支部長に対する降格及び減額に係る申立ては、申立期間を徒過しているといえるか。徒過していないとした場合、平成24年6月のA2支部長に対する降格及び、これに伴う賃金の減額は、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たるか。)について
平成24年6月に行われたA2支部長に対する降格及び減額に係る申立ては、行為の日から一年を経過した後の申立てであるから、労働組合法第27条第2項及び労働委員会規則第33条第1項3号により、その余を判断するまでもなく、却下する。
4 争点4(平成25年6月のA2支部長に対する降格及び、これに伴う賃金の減額は、組合員であるが故の不利益取扱い及び組合に対する支配介入に当たるか。)について
A2支部長は、労働組合活動のため、不当に低く評価され、降格されたということはできず、また、降格の手続に瑕疵があったとはいえないことから平成25年6月のA2支部長の降格及びこれに伴う賃金の減額は、組合員であるが故の不利益取扱いにも支配介入にも当たるとはいえず、組合の申立ては棄却する。
|
掲載文献 |
|