労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成27年(不)第59号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y法人(「法人」) 
命令年月日  平成29年1月30日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   本件は、法人が、申立外学校法人の経営する大学(以下「申立外大学」という。)の継承及び移管に関する事項等を含む、組合からの平成27年11月5日付け団体交渉申入れに応じなかったことが、不当労働行為に当たるとして救済申立てがあった事件で、大阪府労働委員会は、法人に対し、団交応諾及び文書手交を命じた。  
命令主文  1 被申立人は、申立人から平成27年11月5日付けで申入れのあった団体交渉に、申立人との間で応じなければならない。
2 被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
年  月  日

  組合
  委員長     A様
法人       
理事長   B

 当法人が、貴組合から平成27年11月5日付けで申入れのあった団体交渉に応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。  
判断の要旨  1 争点(法人が27.11.5団交申入れに応じなかったことは、正当な理由のない団交拒否に当たるか。)について
(1) まず、組合からの団交要求項目が、義務的団交事項であるかどうかについてみる。
 法人が応じなかった27.11.5団交申入れにおける団交要求事項は、(ア)一時金の支給方法、(イ)服務規程改定、(ウ)賃金体系の見直し、(エ)申立外大学の継承及び移管、(オ)戦略事業法人等であり、これらの団交要求項目のうち、一時金の支給方法、服務規程改定及び賃金体系の見直しについては、明らかに組合員の労働条件に関することであって、義務的団交事項に当たる。
 したがって、組合からの団交要求項目には、義務的団交事項に該当するものが含まれているといえる。
(2) そこで、法人が27.11.5団交申入れに応じなかったことに正当な理由があるかについてみる。
① 法人は、団交申入れに応じなかった理由として、まず第1に、組合は、規約等を提出しておらず、労組法第2条及び第5条第2項の規定に適合することを立証していないこと、法人の経営問題について発言するためにつくられたもので、労組法第2条に規定する「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体」ではないことから、労組法上の労働組合に該当しない旨主張する。
 しかしながら、組合は、当委員会が実施した資格審査において労組法第2条及び第5条第2項に規定する労働組合資格要件に適合するものと認められ、その旨決定されている。
 また、組合の規約第6条には、組合の目的として、「組合員の労働条件の維持改善と福利増進を図ること」との記載があり、労組法第2条の趣旨に沿ったものであることが認められる。
 したがって、上記の法人主張は採用できない。
② 法人は、第2の理由として、組合からの団体要求項目には、申立外大学の継承及び移管や戦略事業法人といった明らかに労働条件と無関係な経営専権事項が含まれており、これらに関する要求が中心的なものであった旨主張する。
 団交要求項目のうち、戦略事業法人については、その詳細な内容が明らかではないものの、申立外大学の継承及び移管については、組合員を含む法人の教職員の労働条件に及ぼす影響の如何によっては義務的団交事項となり得るものである。また、組合の団交要求項目のうち、一時金の支給方法等は義務的団交事項に当たるのであるから、これらを一律に労働条件に当たらないとしたことは正当とはいえず、上記の法人主張も採用できない。
③ 法人は、第3の理由として、申立外大学の継承及び移管については、27.7.15法人説明会で説明済みであり、改めて団交を行う必要はない旨主張する。
 確かに、法人は、B2大学のB3キャンパスの教職員に対し、申立外大学の継承及び移管について、27.7.15法人説明会を開催したことが認められる。
 しかし、申立外大学の継承及び移管は義務的団交事項となり得るものであり、法人の主張する法人説明会と労使交渉たる団交とは、その役割、機能が異なるものであるから、法人がB3キャンパスの教職員を対象に説明会を開催したことをもって、団交における説明義務を尽くしたものと評価することはできず、この点に係る法人の主張は失当である。
2 以上のとおり、法人が27.11.5団交申入れに応じなかったことに正当な理由があるとはみることはできず、かかる法人の対応は、労組法第7条第2号に該当する不当労働行為である。  
掲載文献   

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