概要情報
事件番号・通称事件名 |
福岡労委平成28年(不)第3号 国立病院機構(福岡病院)不当労働行為審査事件 |
申立人 |
X組合(「組合」) |
被申立人 |
Y法人(「法人」) |
命令年月日 |
平成28年11月11日 |
命令区分 |
全部救済 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、申立人組合が、平成27年10月30日付けで、「不払い残業をなくすための具体策を示すこと」との議題で団体交渉を申し入れたところ、法人が運営するB2病院が「具体策を示すこと」は院長の権限で行うものであり議題として適当ではないなどと回答し、団交に応じなかったことが不当労働行為に当たるとして救済申立てのあった事件で、福岡県労働委員会は、法人に対し、団交応諾及び文書の掲載を命じた。 |
命令主文 |
1 被申立人法人は、申立人組合が平成27年10月30日付けで申し入れた「不払い残業をなくすための具体策を示すこと」を議題とする団体交渉に、速やかに応じなければならない。
2 被申立人法人は、本命令書写しの交付の日から10日以内に、次の文書を申立人組合に交付するとともに、同組合への文書交付の日から、法人B2病院の院内LAN「デスクネッツ」のトップページ等の見やすい場所に、同文書を14日間掲載しなければならない。
(以下 略)
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判断の要旨 |
1 「不払い残業をなくすための具体策を示すこと」との議題には、超過勤務についての労働時間の管理に関わる事柄が含まれると解されるのであって、提案された同議題が「労働条件その他の待遇」に関する事項に含まれることは明らかであること、「具体策を示すこと」は「使用者に処分可能」なものであることから、本件議題は、義務的団交事項に当たる。
被申立人は、「具体策を示すこと」が院長の専権事項であるとして、本件議題は義務的団交事項に当たらないと主張するが、本件病院において、「具体策を示すこと」が院長の専権事項であると定められたとしても、そのことによって本件議題についての労働条件性が左右されることはなく、使用者の団交応諾義務が失われるものではないのであって、被申立人の主張は採用できない。
2 したがって、組合が平成27年10月30日付けで申し入れた本件議題について、本件病院が、「具体策を示すこと」は院長の権限で行うものであり議題として適当ではないなどと回答し、これに応じなかったことは、正当な理由のない団交拒否であり、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当する。
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掲載文献 |
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