労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  大阪府労委平成27年(不)29号
労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  有限会社Y(「会社」) 
命令年月日  平成28年11月11日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要  ① 平成27年4月9日、組合は、会社において配送業務に就いている組合員A2ら2名の組合員(以下「本件組合員ら」という。)の未払残業代等について、会社と団体交渉を行ったが解決に至らなかったことから、同月16日、組合は、労働基準監督署に、未払い残業代の申告をした。
② 同月22日、A2組合員は、会社の取締役とやりとりした後に、会社において行った行為(以下「4.22行為」という。)について会社から警察に通報され、同月24日、出勤停止を通告された。
③ 同月.27日及び同年5月1日、組合は、会社前で抗議活動を行うとともに、A2組合員の就労禁止、未払い残業代等5項目の団体交渉を申し入れ、また、同月7日には、当該5項目に加え、賃金体系の一方的不利益変更を議題とする団体交渉を申し入れたが、会社は、申入れに応じなかった。
④ 本件は、会社が、組合が行った抗議活動等を理由に、団交申入れに応じなかったことが正当な理由のない団交拒否に当たるか否かが争われた事件であり、大阪府労働委員会は、会社に対して文書の手交を命じた。  
命令主文   被申立人は、申立人に対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
 組合
  委員長A2様

有限会社Y  
代表取締役B
 当社が、平成27年5月1日付け及び同月7日付けの貴組合からの団体交渉申入れに速やかに応じなかったことは、大阪府労働委員会において、労働組合法第7条第2号に該当する不当労働行為であると認められました。今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。  
判断の要旨  1 27.4.27団交申入書及び27.5.1団交申入書及び27.5.7団交申入書の記載等に鑑みると、組合は、A2組合員の4.22行為に至る経緯とその後の出勤停止問題、組合員らの労働時間や賃金についての問題について団交を申し入れたというのが相当であり、これらの問題が義務的団交事項に当たることは明らかである。
 会社は、組合が、本件申立てに至るまで上記各申れ書に対し返答していない。
 また、組合が、団交申入れへの対応を繰り返し求めていたにもかかわらず、会社は、27.4.9団交以降本件申立てに至るまで、団交申し入れに応じていない。
2 会社は、団交が円滑に行われなくなった原因として、抗議活動等の組合の行為が会社に著しい不信感を抱かせたことを挙げる。しかし、会社の組合に対する不信感のみをもって団交に応じられない正当な理由とみることはできず、団交応諾義務が免じられるものではない。
3 (27.4.9団交における会社の発言や労働基準監督署へ申告しようとする組合に対する会社の発言を鑑みると)会社は、本件組合員らの長時間労働と未払残業手当問題に関する組合からの問題提起に対し、誠意を欠いた対応をするばかりか組合からの追求自体を妨害するかのような対応まで取っていたというのが相当である。
 この後、組合が会社前で抗議行動を行うまでの会社の行為についてみても、会社が、組合からの就業時間や賃金についての問題提起に対し、真摯に対応しようとしたことを窺わせる疎明はない。
 また、27年4月27日及び同年5月1日の抗議活動において、組合に今後協議を行うことが困難とされる程度の粗暴な行為があったと認めるに足る疎明も見当たらないことから、組合の抗議活動とこれに至る経緯を考慮しても、会社に団交に応じない正当な理由があったはいえない。
4 したがって、会社は正当な理由なく、27.4.9団交以降、組合からの団交申入れに応じなかったというべきであり、かかる行為は労組法第7条第2号に該当する不当労働行為である。  
掲載文献   

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