労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  愛労委平成28年(不)第1号
不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  株式会社Y(「会社」) 
命令年月日  平成28年10月26日 
命令区分  全部救済 
重要度   
事件概要   組合は、会社から解雇を通知された後に組合に加入した組合員の解雇撤回等を求める団体交渉を会社に申し入れ、2回の団体交渉行った。その中で、会社から当該組合員の解雇理由について説明があったほか、解雇を前提とする解決金についても話し合われたが、合意には至らなかった。
 本件は、組合からの平成28年1月7日付け第3回団体交渉申入れに、会社が応じなかったことが不当労働行為に当たるとして救済申立てのあった事件で、愛知県労働委員会は、会社に対し、誠実団交応諾及び文書掲示を命じた。  
命令主文  1 被申立人は、申立人が平成28年1月7日付けで申し入れた団体交渉に、実質的な交渉権限を有する者を出席させた上で、合意形成に向けて誠実に応じなければならない。
2 被申立人は、下記内容を縦1.5メートル横2メートルの大きな白紙に墨書して、本命令書交付の日から7日以内に、C市D区Eの事業所入口に1か月間掲示しなければならない。
記(以下 略)
 
判断の要旨   組合は、本件解雇の撤回を求めていたものの、会社が第1回団交において、解雇は不当でないとし、遠隔地への派遣を受け入れなければ自己都合退職とすると強硬に述べたため、本件解雇を前提とした解決金での解決も模索せざるを得なかったといえる。そして、当該解決金の額について同団交から第2回団交まで一貫して給与約3か月分を要求する組合と給与1か月分相当を主張する会社との乖離が埋まらず、かつ、本件解雇は不当でないと繰り返す会社の姿勢を受けて、組合が、2回の団交の終了時点で本件解雇に係る協議が「平行線」になったと考えるのも無理がなかったものといえる。
 しかしながら、本件解雇に係る協議が「平行線」になっていたといえるかどうかはともかく、第2回団交後本件団交申入れまでの間に、本件解雇の契機となった派遣先からの減員要望という会社の従来の説明に合理的な疑いが生じるという状況の変化があり、また、組合として新たな提案を示す予定もあったのであるから、両者の間で本件解雇についての議論が尽くされたと評価することができない。
 したがって、会社が本件団体交渉申入れを拒否する正当な理由があるとはいえない。
 よって、会社が、組合からの本件団体交渉申入れを正当な理由なく拒否したと認められることから、当該行為は、労組法第7条第2号の不当労働行為に該当する。  
掲載文献   

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